2021年(令和3年)2月27日

​今週の妻有新聞

 

第8回展の作品概要を説明する北川フラム総合ディレクター(18日、段十ろうで)

進化する清津峡渓谷トンネル

第8回大地の芸術祭 「地球環境時代の美術」、良品計画が市街地で展開

 第8回大地の芸術祭は今夏7月25日から9月12日までの50日間、十日町市と津南町で開くことを18日の実行委員会で発表。コロナ禍での開催の芸術祭となるが、外国のアーテイスト作品はリモート製作で取り組み、国内作家や製作スタッフ、サポーターこへび隊など関係者は、最大限の感染予防を行い開催準備に入る基本方針を決めた。18日の実行委で総合ディレクター・北川フラム氏は第8回展を『地球環境時代の美術』とし、従来作品を「作品以上の芸術祭」と各施設の充実によりスケールアップし、大地の芸術祭の象徴作品「まつだい農舞台・棚田」の作家「イリヤ&エミリア=カバコフ」(ロシア)作品を集中的に展開するなど、妻有エリアの核的な作品や施設に注力し、初回からのテーマ『人間は自然に内包される』を世界に発信する。注目の一つは、前回展以降、年間18万人余が来訪する清津峡渓谷トンネルが新たに進化する。人気スポットがさらに話題を集めそうだ。北川総合ディレクターは「秋山郷が今回は大きな関心を呼ぶだろう。県境の閉校した大赤沢小学校で作品展開し、秋山郷への人の動きを創り出す」と新展開の方向性も見せている。

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 大地の芸術祭・第8回展について北川総合ディレクターは日本経済・産業の基本、さらに人と社会のあり方を創り上げた渋沢栄一氏の理念に共通すると話し、「大地の芸術祭は人に役立つ動きをしており、コロナ禍で動きが変わる可能性があるが、人間は自然の一部である理念は変わらない。それが世界的な組織や企業の関心を呼んでいる」として、「世界銀行がスリランカの一つの県で、世界銀行がお金を出し大地の芸術祭を参考に地域づくりに入っている。さらにケンブリッジ大学が新しい講座を作り、大地の芸術祭の日本や欧州の作家と科学との対話をさせる活動に入っている。これは注目すべき世界的な動きだ」と芸術祭の世界規模の広がりを話す。

 第8回展は「作品を通して施設や場所の魅力を表に出していく。最終目標は雇用の創出である。これまで活動してきた人たちが生活していけることにつなげる」(北川総合ディレクター)としてエリア9作品・施設を特徴化する。『キナーレ・地域を代表する現代美術館』で回廊部分、2階展示を全面的に刷新、良品計画が作品展開する。『絵品と木の実の美術館・作家と密接に結びついた施設』、『まつだい農舞台&城山・カバコフ作品を中心に自然と人の営みを見せる』、『旧清水小学校・芸術祭アーカイブ施設&世界規模の芸術文化ライブラリー』、『奴奈川キャンパス・FC越後妻有、自然と人間の関係を見つめなおす』、『清津倉庫美術館・磯辺行久作品と妻有エコロジー』、『上郷クローブ座・パフォーマンス中心施設』、『秋山郷かたくりの宿・石垣田と秋山郷を魅せる』、『三省ハウス・作家、サポーター、来訪者の出会い・交流拠点』などと位置付ける。

 実行委員長の関口芳史市長は「東京五輪の開催も心配だが、大地の芸術祭は屋外の芸術祭でありコントロールできる分野。あらゆる困難を想定し、コロナ感染対策を万全に来訪者を迎える。妻有の人たちにはさらに楽しんで頂けるよう盛り上げていく」と述べ、電子パスポートなど情報ICT活用で万全なコロナ対策を行い、動画配信も行う計画だ。

 一方、副実行委員長・桑原悠町長は「大地の芸術祭が積み重ねてきた歴史は、ここに住む私たちの発見の連続ではなかったか。ここに生き続け、発展させることが私たちの希望になる。コロナ禍で生活様式や価値観が変わったが、これを一つのチャンスと捉えたい。開催には様々な困難があるがこの困難の先には、まだ見たことのない未来を見ることになるのではないか」と開催への期待感を述べている。

 第8回大地の芸術祭は過去7回とは大きく取りまく開催環境が異なるが、実行委員会で北川総合ディレクターが述べた言葉に、期待感が膨らむ。「自分で言うのも変だが、めちゃめちゃ面白い芸術祭になるだろう。世界でもこれほどの芸術祭はないだろう」。

 

語る会で新年度事業を説明する桑原悠町長(20日、旧中津保育園で)

保育園再編、「育ちを支援」

 町立保育園5園体制を3園に再編し、少子化に伴い将来的には1園を視野に入れる津南町の桑原悠町長(34)は、25日開会の新年度予算案を審議する3月定例議会に保育園再編による増築計画を予算提案している。議会審議を前に20日から3日間、6会場で開いた「町長と語る会」で保育園再編の必要性を話し理解を求めた。

 語る会で桑原町長は保育園再編の目的を説明した。「行政が持つ限られた人材、財源のなかで待機児童を出さない持続可能な保育園運営を行う必要がある。混合保育の解消により同年同士での育ちを促し、統合で大きな集団も、小さな集団も多様な集まりができ相互の育ちを促したい。家族の就労支援を保育サービスで支え、病児病後児保育、土曜1日保育を実現したい」と3点を強調した。

 再編計画は、町中央部のひまわり保育園に、ゼロ歳児から2歳児の定員100人の保育園を増築。3歳児から5歳児の定員150人を現園舎改修で対応し、増築園と現園舎をつなぐ増築計画。これにより全体定員250人規模の保育園に再編する統合計画。3年継続で総事業費11億4千万円、補助金や交付税措置で町の実質的負担は約3億円と見込んでいる。

 語る会の各会場では「規模が大きく、保育士の目が行き届かなくなり親の不安が増す」や「今は兄妹で違う保育園に行かざるを得ず家庭負担が大きい。ある程度の子の数の同年の友だちと共に育ってほしい。統合には賛成」など様々な意見が聞かれた。25日開会の新年度予算議会の審議の行方に関心が集まる。(「語る会」の詳細および課題と参加者の声など関連記事を本紙5面に掲載)

十高生物部が枯木又の阿部さん(右)に受賞を報告(11日)

鱗1万枚、県高等学校総合文化祭で最優秀賞

十日町高校生物部 「シナイモツゴ」の研究、報告も

 新潟市で昨年12月に行われた第12回県高等学校総合文化祭の自然科学系クラブ活動報告・研究発表会で十日町高校生物部(2年・廣瀬洋介部長)が、市内の池に棲む体長5〜6㌢程の淡水魚『シナイモツゴ』の調査をまとめてポスター発表部門に出場し最優秀賞を獲得。今年7月、和歌山県で開催の第45回全国高等学校総合文化祭(総文)自然科学部門の出場を決めた。

 同生物部の4人は11日、調査でお世話になった中里、松代等を回り住民に受賞報告。このうち中条山間部の枯木又では私設の民俗資料館を作った阿部三代継さん(88)に「枯木又の龍王池でも調査したシナイモツゴの発表で総合文化祭の最優秀賞を獲ることができました」と喜びを伝えた。

 さらに、前部長で3年生の水落麻友さんは国立長野大学・環境ツーリズム学部受験のため、生物部での経験と阿部さんに話を聞いて選考員用の配布資料を作り「阿部さんの資料館の話も交えて発表し、長野大に合格できました」と感謝した。阿部さんは「おめでとう。若い人が昔の暮らしや絶滅危惧種のシナイモツゴを大事にしようという思いは貴重。知っていることは伝えて応援したい」と顔をほころばせた。

 同生物部では平成29年からシナイモツゴの研究を続け、長野総文と佐賀総文で入賞しており、今回は部員8人全員で約1万枚の鱗の調査をし、DNA研究も取り入れ、形態的特徴に加えて遺伝的特徴も発表に盛り込んだ。発表者で1年生の若井鈴加さんは「部員全員で協力して大量のサンプルを採り、研究の精度を上げたことが結果に表れました」と振り返った。

 顧問の馬場吉弘教諭は「今後、論文審査や発表の機会を設け、信州大の専門家の指導を受けるなど、できるだけのことをして総分での入賞をめざしたい」と語った。

 
 

「プラゴミ処理に精査が必要」と燃えるゴミ委託協議を続ける意向を示す桑原町長(22日)

ごみ焼却委託、「プラ処理精査を」

津南衛生施設組合 年度内方針延期、新処理方法も研究か

 燃えるゴミの十日町市委託は協議継続—。焼却施設の老朽化が進み、燃えるゴミ処理の十日町市への委託を2014(平成26年)から検討している津南地域衛生施設組合(管理者・桑原悠町長)。総会を22日に開き、桑原町長は現焼却施設設置から29年が経ち老朽化が進み継続使用には大規模な修繕が必要となっている点を改めて指摘したが、「燃えるゴミ処理を十日町市と協議しているが、プラスチックゴミ処理の精査の時間が必要なため、引き続き協議していく」と方針。桑原町長は昨年、今年度中に委託について結論を出す姿勢を示していたが、再度協議を継続することを明らかにした。

 参加議員から「十日町市で委託した場合、どれくらいの経費がかかるかなど分かり次第議会にも教えてほしい」との質問に桑原町長は「現在はプラスチックゴミを燃やしており、(十日町市のように)最終処分場で処理する形ではない。費用の面など考えるともう少し検討が必要」と返答。加えて津南町・栄村議会で研究を進めている熱分解ERCMへの見解を問われ「様々な処理の形式があるのは承知している。清掃行政を行うのに必要なのは安定性と衛生性。昨日はできて今日はできない、ではいけない。今後もこの2点を重視し進めて行く」とした。

 総会では2億8865万円の新年度予算を全会一致で承認。新年度からは松之山・中里地域のし尿処理は十日町市で行う形となり、2016(平成28年)の燃えるゴミに続きし尿処理も同組合から抜ける。同組合運営の財政負担は津南町・栄村の2町村にとって大きいものとなっている。

 また新年度から斎場の火葬場使用料の一部を値上げ。12歳以上の一体利用料が5千円増の「2万5千円」となる。2000年(平成12年)以来、21年振りの料金改定となる。小島孝之事務局長(町税務町民課長)は「一体の火葬経費は7万2867円で、使用料2万5千円は近隣の水準と合わせた金額。値上げで年140万円の使用料の増をみている。上昇する処理経費に充てていきたい」と話した。

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