2020年(令和2年)10月24日

​今週の妻有新聞

 

住民6355署名を提出の佐藤会長(中央)、受け取る藤山局長(左)。21日県庁病院​局で

「知事、グランドデザインを」

県立松代病院問題 

​存続署名6355名提出、関口市長「新たな競技の場を」

 国の医療機関再編に上がり、県が進める県立病院再編で地元自治体主体の運営が示されている県立松代病院の県立県営での存続を求め、地元松代・松之山など旧東頚地域が今春から取り組んだ「存続署名6355人」を地元代表者と関口芳史市長は21日、花角知事あての署名簿を県病院局・藤山育郎局長に手渡し、「県立県営での存続を強く求める」と直接要望した。地元まつだい地域振興会・佐藤實会長は「少子高齢化のなか県内屈指の条件不利地域であり、民間医療機関の参入もままならなず、他の医療機関へ行く交通手段もない地域と、利便性の良い他の所とを同じ土俵に上げないで議論してほしい」と切実な地域事情を訴えた。同行の関口市長は「昨年末も訪れたが、市と県の議論が深まったとは到底言えない状況であり、松代病院の問題を含め、圏域の医療と介護の体制をしっかり詰める新たな協議の場が必要と考える」と、新たな県と市との協議の場の必要性を示した。

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 署名運動は4月から始め6月にはまとまっていたが、新コロナ自粛で直接要望を先送りし21日ようやく実現。今回は旧東頚地域7398人(松代2915人・松之山1584人・大島1415人・高柳1222人)に加え仙田地域(542人)の5地区で取り組み、同住民7940人に対し6355署名、80%を超える住民が賛同し、関心の高さを示している。

 署名趣旨は「県営から十日町市主体の運営を前提に協議が進むことになり…山間へき地に暮らす私たちにとって、とりわけ高齢者は大きな生活不安を抱く。私たちの血の叫びを県知事に訴え、県立県営での存続を強く訴える」と切実な地域事情を訴える。

 署名提出には地元から佐藤会長、松之山自治振興会・樋口一次会長、両会事務局の武田芳夫局長、中島一男局長の4人。市から関口市長、鈴木部長、樋口、福原両支所長。尾身・小山両県議も同席。佐藤会長は「我々が暮らす地は県内屈指の条件不利地域であり、民間の医療機関参入はままならないなか、松代病院は県立県営でなんとしても存続をしてほしい」と繰り返し切実に訴えた。

 これに対し上越市出身の藤山局長は「この問題はまだ緒についたばかりであり知事も話している通り、地域の了解がない中での、県の一方的な都合で対処することはあり得ないことであり、皆さんと引き続き様々な議論を重ねながらより良い方向性を探っていきたい」と話した。冒頭5分以降の懇談は非公開となったが、佐藤会長は「局長から明確な回答はなかったが、我々が県庁に持ってきた地域の思いを真摯に受け止めますという言葉が聞かれ、もやもやが少しは取れた思いだ」と取材に答えた。松之山・樋口会長は「今後は県と市とのキャッチボールで検討を進めるという言葉を聞きで、地元の皆さんに報告したい」と話した。

 一方、関口市長は昨年末の訪問以降、進展がない点にふれ「県から医療と介護の連関が重要という指摘があったが、昨年末以降、これまでに市と県の議論が深まったとは到底言えない状況である。今回の要望を受けた県の意見と、我々がそれをどう受け止めることができるか、今後キャッチボールの頻度を上げ、議論の熟度を高めていく必要がある。新コロナのせいかどうか、この1年間の議論はほとんど進んでいないというのが事実。ペースアップできると思っている」と話し、「松代病院の問題を含め圏域の医療と介護の体制をしっかり詰めていく、新たな協議の場が必要と考える。知事含め、大きなグランドデザインを県が示すことが必要ではないのか。それが地域住民の第一の安心につながると病院局長にお願いした。知事からお答え頂きたい」と地元行政トップとしての姿勢を示している。

 

畑に現れたクマ(9月5日、倉俣・大中田で、十日町市提供)

津南町沖ノ原に仕掛けたクマ罠(18日、同所には2基設置)

クマ出没、「新世代クマか」

十日町市・津南町・栄村で目撃120件

 冬眠期を前にクマ(ツキノワグマ)の出没が多発している。十日町市・津南町・栄村の調べでは8月から今月20日までの3ヵ月余で65件の目撃情報が寄せられ、20日には十日町市中条地域で人が乗った車にクマが向かってきて衝突する事故が発生するなど出没頻度が増している。各市町村では音が出る物の携帯やクマと遭遇した場合の対処法などメールや広報無線など呼びかけている。新潟県鳥獣保護員に20年余在職した前保護員は「里に棲むクマと、奥山に棲み里に出てこないクマがいる。人が暮らす里では食料にありつける学習をして、親が子にそれを伝えている。新世代のクマが育っている」と、人の居住エリアとの距離がなくなっている現実を話している。

 今月20日早朝、十日町市中条八幡の旧桂スキー場脇を150㍍ほど入った林道で地元男性がクマを発見。停車した軽自動車にクマが向かってきて衝突し山に逃げ去り男性は無事だったが、現場は民家から3百㍍ほどの場所。この他にもクマと遭遇したケースや国道横断するクマを目撃するなど今月に入り出没が急増。市町村では猟友会の協力を受け危険排除に乗り出し、十日町猟友会(池田富夫会長、85人)、津南町猟友会(大口友一会長、19人)、栄村猟友会(阿部徳太郎会長、24人)が出動要請を受け対応している。

 地元自治体推薦で県が認定する新潟県鳥獣保護員は担当エリア決め配置される。20年余り在職し今春3月退任した中山弘氏(67)は、クマの生態や生息地である秋山郷や奥清津地域の実情をよく知る保護員でもある。「木の実が不作と言うが、山に入ると例年並みの木の実がある。出没多発の要因は山の不作というより、里山での生息方法が親から子へ伝えられ、それが冬眠時期を迎えると頻発に里に出るようになっている」と話す。その要因の一つはクマの食料となる農作物、特にスイートコーンの栽培の拡大という。「クマは20㌔先の匂いが分かる。コーンの甘さの匂いは相当離れていてもクマは分かる。母クマが子を連れてコーン畑に行く。それを子グマは学習する。それが代々引き継がれ、山奥でなくても食料を得られる術を知る。里山で生息できる環境を人間が作り出しているともいえる」。

 中山氏は、里山で人の暮らしと野生動物の境界をしっかり作ることが必要という。「クマが身を隠す場所を里山近くではなくすこと。草刈りは大変だが一定の広さに草を刈り、そこに電柵を張り、ここから先は立入禁止だと、身をもって分かる措置が必要」と言う。だが、「本当に厄介なのはイノシシ。これは確実に人に向かってくる。クマより始末が悪いし、人への被害が心配だ」とも話す。

 

■クマ出没状況

 十日町市=今月21日時点で目撃31件(昨年33件)。10月だけで9件の目撃。川治や姿、鉢などでは民家近くに出没。実際の目撃ではないが畑に落ちたクリ、未収穫の柿を食べた痕跡や畑に残る足跡を確認。20日は中条八幡地内の林道で車とクマが衝突する事故が発生するなどしている。市では捕獲の罠を1ヵ所に設置している。

 津南町=目撃数は28件(昨年23件)。10月だけで10件の連続目撃。沖ノ原や津原などの農地での目撃に加え「国道117号線を横切るクマを見た」の通報が今井や小下里地内であり民家近くに出没の可能性がある。町は捕獲罠(円筒形型)を4ヵ所に設置している。

 栄村=目撃数は69件(昨年86件)。国道117号線の森から白鳥間で通行人やドライバーが「斜面を登るクマを見た」など通報が多い。国道沿い住宅の柿を食べた痕跡も見つかり民家近くでの確認もされている。村では捕獲罠を2ヵ所に設置し対応している。

クルミの木に登っているクマ

クマ出没が相次ぐ今年。栄村白鳥地内で夜9時頃、クルミの木に登るクマを地元の月岡健治さんが撮影。「毎年クマが来ているので、一度撮影しようと思って何度も通い、張っていた。ずっと静かにしながらなんとか撮れた。実際に民家近くまでクマが来ているのは事実」とする。(2020年10月12日)

十日町市倉俣甲5290番地付近に出没したクマ

9月4日から6日、ほぼ同一場所に出没したクマ(十日町市産業観光部農林課提供)

 
 

農福観連携で町内宿泊者に贈る新米を詰める作業を共同で行った(9日、すみれ工房)

津南町 コメ農家と女将、農福観連携で

 新米をプレゼントします|。新型コロナウイルスにより打撃を受けている旅館女将と農家が再びコラボレーションPRを始めた。『コメ農家×女将 また会いにこらっしゃい』プロジェクトが今月4日からスタート。コメ生産農家や集出荷業者らが新米の津南産魚沼コシヒカリを無償提供。町内旅館宿泊者全員に2百㌘(2合)の新米を贈る。袋詰めは就業支援B型施設・すみれ工房(福原吉重施設長)で実施。『農福観』の連携で事業に当たる。プロジェクトは来月末まで行う。

 年々コメ消費が減少傾向にあるなか、新型コロナによる飲食業停滞もあり、コメ農家も厳しい状況。「観光客に津南産コシヒカリの美味しさを知って貰いファンを増やそう」と初企画。新米期と紅葉期を迎え、GoToトラベルによる来町者が増加傾向にあるなかで津南産米を積極アピールする。農家は現在16個人団体が協力。各30〜60㌔の新米を提供。さらに協力者を求めている。生産農家と旅館女将のコラボはユリに続き第2弾だ。

 同プロジェクトは宿泊者への新米配布に加え、同封の用紙にあるQRコードでアンケートを回答すると最大60㌔の新米が貰える「コメ1年分プレゼントキャンペーン」、宿泊者を飲食店や小売店に誘導する「スタンプラリー」(11月7日〜12月27日)、津南PR動画「コメ農家×女将プロモーションビデオ撮影」など実施。県「消費喚起・需要拡大プロジェクト」事業補助金3百万円、町補助金100万円の計4百万円で行う。

 農家と旅館女将らは9日にすみれ工房を訪れ、袋詰め作業に協力。貼り付けるコメ型のシールには津南の田園風景を載せ『こいぶみ—あなたに、また、逢えますように』の女将からのメッセージを記載。JA津南町・稲作生産改善組合の樋口貴幸組合長(43)は「コメ消費が年々落ち込むなかどうPRすればいいかを考えていた。自分たち農家はなかなか宣伝活動に手が回らないが、旅館の方ならできる。旨い水で作る津南のコメファンになる人が増えてほしい」。一方、旅館も国施策もあり来客が増加傾向にあるなか、次に繋がる魅力発信の契機として期待。旅館雪国の女将のひとり、風巻志穂さん(41)は「こうして津南米をアピールするチャンスができて嬉しい。うちは今年リニューアルし20周年でもあり、このプレゼントと合わせながら津南PRしたい」と話した。

 

「薬湯山塩」試作品(撮影・大塚眞)

松之山温泉水を使い塩造する「まつのやま塩倉」メンバーら(撮影・大塚眞)

まつのやま塩倉を伴走支援、事業化サポートしているastoの大塚眞さん(右)

まつのやま塩倉 松之山温泉水で塩造、asatoが支援

 約1200万年前の化石海水が温泉となった「松之山温泉」で作った塩を商品化する動きが進んでいる。30〜40代のUIターン者が連携、プロジェクト名を「まつのやま塩倉」と名付け、年内に法人化し、塩販売開始をめざす。塩造事業は十日町市のシェアアトリエasto(滝沢梢主宰)のサポートを受けNIKO(にいがた産業創造機構)のチャレンジ応援事業に採択。同応援事業の採択は県内3件のみで、今後の取り組みに関心が高まっている。

 地殻変動で原始海水が地下3千㍍に封じられ、現代に湧き出ている「ジオプレッシャー型温泉」の松之山温泉。塩分濃度は高く、物資不足の戦中戦後は温泉を煮詰め実際に塩造を行っていた。松之山黒倉の嶋村彰さん(41)はこの歴史を知り、温泉で塩造りしぬか釜で炊いたコメと一緒に朝ごはんに食べるキャンプ企画を3年前から継続。「商品化するといい」と好評を受け模索するなか、今年3月に十日町市で開いた起業イベントに参加。自家製釜と自然エネルギーを活用したプランは最優秀賞に選出。同イベントを通じ仲間が増え、事業化を本格化。農家、土建業、レストランスタッフなど多様な職業の6人が集い検討。源泉は兎口のものを使い、同所に3段式の塩釜を先月設置。塩は『薬湯山塩』と命名。刺々しさはなくまろやかな味が特徴。試験製造を続け、燃料は地域の廃材や間伐材を貰い受け使っている。

 取り組みは国連採択のSDGs(持続可能な開発目標)を意識。地域にある材料を使い、地域の燃料で作り商品化し地域循環する仕組みを模索。現在は化石海水温泉を使った塩の物語などブランディング、資金調達方法など検討中。「マイクロプラスチックなどの海洋汚染の問題で海の塩も危なくなって来ている。日本三大薬湯の化石海水温泉で作る安心安全で美味しい薬湯山塩、という物語ある商品にこだわりながら作りたい。将来は収益の一部を地域の森林整備などの環境保全にも当てたい」と意欲。すでに妻有ビールから『塩ビールにできないか』と言う依頼があり、都内レストランも関心を寄せている。

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 まつのやま塩倉の活動を初期からサポートしているのが「asto」。市内本町2丁目にシェアオフィスを展開、昨年10月には十日町市で唯一の県認定のスタートアップ支援拠点として活動。起業支援、シェアオフィス貸出、資金確保のアドバイスや補助事業の申請相談など、起業をめざす個人・団体を支えている。Astoメンター(仕事上の助言者)の大塚眞さん(29)は「まつのやま塩倉のNICO認定は県内わずか3件のうち一つ。当初から伴走支援を続けていたので嬉しい。これからも活動をサポートしていく」と笑顔。採択を受け、販路開拓や資金調達、クラウドファンディングでの支援呼びかけなどのサポートを進める。なおastoはクラウドファンディング・CAMPFIREの公式パートナー認証を受けている。

 

中条小2年・小山さんの模型県知事賞「すてきはっ見!つまりの里山植物マップ」

県発明工夫・模型展、11賞獲得

 第84回新潟県発明工夫展・第69回新潟県模型展結果はこのほど発表。模型では県知事賞に小山ひかりさん(中条小2)「すてきはっ見! つまありの里山しょくぶつマップ」の選出を始め、上意賞を十日町市の児童生徒で独占。全15賞のうち11賞を獲得。学校賞でも千手小が県知事賞、水沢小が県教育長賞となるなど、模型展での高評価が目立った。

 一方、発明工夫展では学校賞は水沢小が県知事賞、県発明協会長賞が津南小、西小が県教育長賞と妻有勢が独占。個人入賞でも全15賞のうち6賞に妻有の子どもたちが選ばれている。

 妻有地域の入賞者は次の通り。

 【発明工夫展】◎個人▼県教育長賞=「簡単長ぐつ洗いブラシ」(植木葉月、水沢小5)▼県工業技術総合研究所長賞=「ぬれないカサ」(津端蓮、津南小4)▼日本弁理士協会長奨励賞=「かたむかない物干し」(髙橋隼太、川治小5)▼新潟日報社賞=「車でラクラクおきがえカーテン」(小山愛心、津南小2)▼NST賞=「おしゃれなはたけシート」(山崎結衣、水沢小2)▼UX新潟テレビ21賞=「種植えやすーい」(齋藤煌、川西中2)▼エフエムラジオ新潟賞=「かんたんミルクあげ機」(小磯悠真、西小3)◎学校賞▼県知事賞=水沢小▼県発明協会長賞=津南小▼県教育長賞=西小

 【模型展】◎個人▼県知事賞=「すてきはっ見! つまりの里山植物マップ」(小山ひかり、中条小2)▼県発明協会会長賞=「ダンボール製火焔型土器」(髙橋姫蘭、千手小6)▼県教育長賞=「日本遺産『十日町スト—リー』」(石澤正義、水沢小4)▼県工業技術総合研究所長賞=「松代の芸術!『だっぴする家』」(若井謙成、松代小5)▼日本弁理士会会長奨励賞=「ぼくの海」(南雲海里、西小4)▼発明協会会長賞奨励賞=「秋の縄文」(小川史桜、貝野小6)▼日本放送協会新潟放送局長賞=「芯ライオン」(石沢暖、千手小4)▼BSN新潟放送賞=「オオオニバスと二千年ハス」(樋口礼衣、水沢小4)▼NST賞=「木の公園とヘリコプター」(小海楽空、吉田小6)▼TeNYテレビ新潟賞=「不思議なビーズの木」(水落まお、鐙島小3)▼UXテレビ新潟21賞=「ぬけがら君のスイーツランド」(植木詩乃、鐙島小4)◎学校賞▼県知事賞=千手小▼県教育長賞=水沢小

 
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