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社説
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社説

20代、30代が見る移住先とは

 「知らない若い人が増えているねぇ」、街なかで時々耳にする声だ。地域外からの人が街を行きかう姿がある。その人たちの多くは『移住者』。この声を示すデータがある。共同通信が全国市町村対象に実施の移住者動向アンケート。1690自治体(全体の97%)回答によると「増えている」が33%、560自治体ほどが「移住者増加」している。それも「20代、30代」が多く、人口減少に直面する地方自治体にとって、人口増加のベースになる世代の移住増は、大きなプラス要素だ。

 十日町市は「女性人口を増やす」政策に市職員プロジェクトが動き出している。津南町は「若い夫婦の移住」を促す事業に取り組み、子育て環境整備と充実を政策に掲げる。栄村は「村初の分譲地」事業を、移住促進につなげたい方針だ。

 自治体アンケートは受入れ側の「移住支援」を聞いている。効果があった政策では「住居・家賃支援」が最も多く、次に医療費補助や保育料支援など直接的な子育て支援策。この支援策は妻有3自治体でもすでに取り組み、高校卒業まで医療費無料の自治体もある。一方で移住者が選んだ行政の支援事業のトップは「良い子育て環境」、全体の40%。若い移住者はその先の子育てを視野に入れており、自治体にはより具体的で手厚い支援策が求められる。

 ただ今回のアンケート調査で明らかになったのは「移住増加」は『西高東低』。中京・関西から西日本地域への移住率が高い。これは地域おこし協力隊の希望地とも重なる。トップは愛知県市町村の60%が増加。次が宮崎県58%、さらに静岡56%など。雪国では長野県が40%台にあるくらいだ。

 だが、ここ妻有の気象条件は大きな「個性」。豪雪が由縁の四季折々の自然は他にはない。さらなる子育て環境整備と支援策により、さらに魅力アップし、選ばれる地にしたい。

れいわローテーション、「議員とは」

 住民代表の議員のあり方、選び方が大きな転換期にある、そんな印象を抱く「れいわ・ローテーション」。十日町市議会は議会改革特別委員会を設け、議員定数・報酬・デジタル化・議員倫理など議員活動すべてに関わる見直し・改革に取り組んでいる。今年10月に改選を向かえる津南町議会は一足早く定数削減を決め、すでに改選に向けて動きが始まっている。栄村議会は定数10というギリギリの議員数で、村の資源である自然保護に向け、議会主導で新たな自然保護条例制定に取り組んでいる。

 れいわ新選組の山本太郎代表が打ち出した「参院議員ローテーション」は奇策ではあるが、「議員とは?」の大きな疑問符を突き付けている。参院議員任期6年を1年交代で、5人のれいわ議員が務めるという国政の政党政治を逆手にとった議員活動だ。発表後、各政党、各メディアから総じて批判的な声、論調がいっせいに上がった。その最たるは「1年間で議員がどんな活動ができるのか。参院は腰を据えて法案審議に取り組む良識の府である」。これに対し山本氏は「6年間、腰を据えて、本当に国益に資する議員はどれくらいいるのか」と言葉を返す。この反論に正面から答えられる議員はいるのか、有権者の思いを代弁している。

 国の法律には「してはならない」と禁止事項を規定する法律は犯罪行為などに限られる。公職選挙法では買収など悪質行為を禁止、厳罰化している。だが、市町村の議員定数などについての規定事項はない。国レベルでは導入されていない「クオータ制度」を市町村議員に取り入れることはできる。一定割合を女性議員が占める、あるいは年代別の議席配分なども検討の余地はある。ただ、法的な根拠がないだけに「市町村独自ルール」の域は出ないが、選び方の転換期に来ている。

 まさに「議員とは」、である。

高校再編、地元主導の論議の場を

 子どもの数が少なくなることは、教育現場のあり方に直結する。それが公立学校なら「再編」という取り組みを迫られる事態になる。昨年7月、新潟県教委が公表の「県立高校3ヵ年計画」では、2023年3月の中学校卒業生は全県で前年比426人減という驚くべき数字だ。まさに少子化、いや少子社会が確実に進んでいる現実だ。

 県内公立高校で、国公立大学進学率で確実に実績を上げている県立津南中等教育学校は今期8年ぶりに定員超過し、その学習内容と「若き芽を育てる」教育環境が評価されている。この先、さらに少子社会が進むことを考えると、この妻有エリアの高校教育機関は、「相当なる俯瞰的視野」、全体的なあり方を見る必要が出てきている。

 2020年6月。「津南中等校、募集停止か」を本紙は速報した。県教委の動きを察知し、関係者取材で紙面化した。同時に地元行政は「存続要請」を県教委に直訴し、その年の「高校3ヵ年計画」には記載されず、2年間の「猶予」が与えられた。その時間が流れ、2023年6月に出される3ヵ年計画での取り扱いに関心が集まるが、今期の定員超過で記載は見送られるだろう。だが、高校再編の方針は変わらず、特に「県立中高一貫校は一定の役割を果たした」と、県事業としての取り組みがひと段落すると、次は再編となるだろう。ここが焦点だ。

 魚沼エリアには県立高校9校、中高一貫校は津南中等の1校。昨年数字では中学卒業生は前年比116人減少している現実を見ると、公立高校の再編は必然課題となるだろう。「県財政と教育環境の整備」を同列に論じることは、事の本質を見誤るが、この少子社会の進行は、その本質論さえも押しやる進度で深刻化する。

 やはり「テーブル」が必要だ。魚沼の教育のあり方を考える場だ。地元主導こそ、何が重要かが見えてくる。

永瀬教授が語る驚くべきデータ

 人口減少が、かなり深刻な状況で進んでいる。その象徴的なデータが「非婚化傾向の増加」。2021年・出生動向基本調査が昨秋公表され、独身率が男性17・3%、女性14・6%と共に過去最多だ。2021年に生まれた子は81万1622人とこれも過去最少で、2022年は80万人を切るデータが出るようだ。妻有地域では男性の30代・40代で4割余と、さらに深刻度を増している。

 「結婚しない若者の増加」をテーマに、お茶の水女子大・永瀬伸子教授が新年10日の毎日新聞で論考し、女性の意識変化を述べている。「未婚女性で結婚意思がない人はこれまで一桁台を推移してきたが、今回の結果では未婚女性3人に1人という結果が出ている」。専門は労働経済学の永瀬教授。この根底には「子どもを持つ未来が描きにくい」社会になってきていると指摘。その最たるが「若者の非正規労働者の増加」。永瀬教授は語る。「2018年調査で高卒未婚女性のうち非正規は4割を超える。大卒未婚女性と高卒男性の約2割が非正規雇用。大卒男子は1割程度。雇用が不安定で家族を持てなくなってきているのではないか。非正規で働く人がキャリアを構築できるように支援しなければならない」。この国の社会構造が、少子化・人口減の根源的な誘因になっている現実がある。

子育て支援に行政は力を入れている。一方で、永瀬教授が指摘する現実には、なかなか支援策が行き届かない現状がある。民間企業に行政が手を入れることは難しいが、この現実を目にすると、もはや待ったなしの状況だ。この国の大手民間は過去最多の内部留保を抱き、その使途は企業維持に優先し、労働現場への手当は二の次が現実だ。その証左が巷の声。「物価をどんどん上がるが、賃金が上がらない」。

 経済の後押しは、その業態により多様だが働く人は同じ。支援策が急務だ。

新5区、新時代へ

 選挙はあるのか、ないのか…。年頭早々から衆院選の話題で賑わう。「10増10減」の定数改定で新潟5区は次期衆院選から「5区」になる。新潟県から国会議員が1人削減されること自体、中央政治から距離が置かれる状態だが、そこは選出する人材に託したい。

 新5区は文字通り「魚沼選挙区」と言える。5区の大票田・上越市を抜きに考えられない選挙区だが、ここ妻有エリアの運命共同体は「魚沼」。昨年7月の参院選データでは、十日町市・津南町の有権者5万1093人。南魚沼市・魚沼市・湯沢町は8万2301人。この魚沼エリアは13万3千人余の有権者が次期衆院選では新たな選挙環境を体験する。

 衆院選挙区は地域住民の生活に直結する政治地図でもある。新5区、それも魚沼圏の課題は共通項が多い。まさに真っ只中の雪対策などはその最たる課題。政治的な地図と連動するのは行政事業でもある。この5自治体の広域行政での取り組みでは、ご当地ナンバーで何度かテーブルが設けられたが結局、成就せず。観光面では雪国観光圏があるが、行政というより民間主導の要素が濃い。この5自治体が定期的に課題を論議・検討・研究する場は、あるのだろうか。

 地域高規格道・六日町インター接続の遅れに目途がつき、十日町市と南魚沼市のトップが同席した。だが、産業面では2024年合併をめざしているJA農協合併は、単独メリットを求めるJAみなみ魚沼が離脱、魚沼一体化は実現しない。だが、教育面では県立津南中等教育学校に南魚沼地域からの通学者が増え、列車やバス運行の利便性を広域連携で実現している。 

 広域行政のリーディング自治体は、そのトップの経験年数による場合が多い。十日町市・関口市長は4期在職中。5自治体では最多。新5区の新時代への取り組みを始める時だ。

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