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社説

 

JR東に物申す…が

 「これが現実です」。JR東が公表した地方路線の輸送密度と営業収支は、「実態を知ってほしい」JR東の思いだろう。だが沿線は、そうは取らない。「だから、どうした」に続く言葉は、「これは脅しではないのか」。だが一方で、JR東の思いを受ければ「これはチャンス」かもしれない。

 JR東に「では、どうする」と聞き返したいが、収支公表に続く言葉を想起すれば「皆さん、どうしたいですか」であり、さらにその先には『私たちJR東は協力します』の言葉が続くのではないか、いや続かせるべきだろう。あまい、そんな言葉も聞こえるが、現実はその方向にある。ならば地元利益第一に取り組みを始めるべき時、そのタイミングをJR東の「収支公表」は意味しているのではないか。

 『豪雪と闘う飯山線』。昭和38年のNHK「現代の映像」アーカイブで視聴できる。黒煙を吐きながら雪に埋もれた飯山線の行くSLを空撮し、沿線住民の足の確保に昼夜取り組む保線区職員の懸命な姿を映す。国道は雪に埋もれ、人が歩く一本道がまっすぐ続くだけ。物流の要は飯山線。この「命の道」を死守する当時の国鉄の気概が映像から伝わってくる。

 その飯山線が営業収支公表で実態の一部が明らかになった。日々の乗客状況を見れば想像がつく「赤字路線」だが、数字以上に飯山線の重要性は大きい。民営化後のJR東の飯山線は、大きな意味を持つようになった。それは11年前の津南町上郷・大根原踏切事故で毎年、JR東の社長が現地に来て、飯山線を体感している。飯山線と並行して流れる千曲川・信濃川からの取水の水力発電事業はJR東にとって、さらに大きな存在意義を持つ。

 その沿線で作る「飯山線沿線地域活性化協議会」は自治体など16団体で動く。JR東が呼び水を撒いた。鉄路をどう活かすか、地元主導で動く時だ。

学校、飯山線、地域医療、難題次々

 広域連携が求められる重要課題が、次々と現れている。県立十日町高校・松之山分校の募集停止・統合問題。県立中高一貫校・津南中等教育学校の今後。国交省検討会が打ち出したローカル鉄道・飯山線の今後のあり方。どの問題もかなり濃度が濃く、関係自治体の広域連携が不可欠で、先が見えない難題ばかりだ。県境を越えた課題もあり、この「雪国圏域」の難題にどう向かうか、自治体トップの連係プレーが、さらに重要になっている。

 広域的な課題はまだまだ多い。最たるは「地域医療」だろう。この難題はすでに広域行政で協議・検討のテーブルで定期的に会合を重ね、地域医療のあり方を模索している。さらには衆院新5区の政治地図のあり方。現5区と6区の選ばれた人たちの動静に関わるが、選ぶ有権者は、誰が立つのか、この一点だけの関心だ。

 教育環境の整備再編は、当事者である学生に直接影響するだけに、困難性は高い。特に津南町における公立中等教育の環境は困難性を極める。魚沼唯一の中高一貫校・津南中等教育学校は県内有数の国公立大への進学率を達成しており、県が求めた中高一貫校のモデル的な存在になっている。だが、続く「定員割れ」を県教委は課題視している。その津南町からは、タイムリミットが迫る松之山分校問題も切迫している。分校の全校の3分の1前後が津南町から通う。その通学支援を財政支出しているが、分校存続には行政、町教委としての積極姿勢が見えない。

 飯山線の今後は、さらに重要性が高い。教育環境の一つ、通学の足である。赤字路線ながら、飯山線の重要性はJR東が一番認識しているだろう。それは首都圏を動かすJR宮中取水ダムの地元であるから。この存在は大きい。地域交通の視点と水利権問題は別物だが、それが一つの地域に併存しているのが、ここ妻有の地域事情だ。

『松高問題』、地域教育の象徴だ

 「やっと、松高へ行こう、という雰囲気が出来てきたのに」、小野塚さんは無念の言葉を口にする。県立十日町高校・松之山分校が三度「募集停止」という表記が、昨日22日、県教委が公表の3ヵ年計画に記載された。「様々な事情で学校に足が向かない子たちが、松高に進学して、ここでの3年間で自信をつけ、大学進学など新たな目標を見つけ、卒業している。こんな大切な教育の場を、なぜ県は『数』だけを取り上げ、なくそうとするのか」。これまでは疑問符が膨らんだが、県教委のかたくなな姿勢に怒りに近い感情がふつふつと沸いてきている。

 県教委の計画発表は、来年令和5年度の生徒募集を停止する、つまり来春の新入生はなく、在校生が卒業する2年後には「松高」はなくなるということ。この分校、地元松之山の人たちは『松高』と呼び、分校ながら独立校と同等に見て、通学学生を見守り、活動を全面支援している。小野塚良男さんはその松高支援連絡会の会長。旧松之山町の全戸加入の組織で、その財源で松高通学バスを独自運行し、十日町市から津南町を経由し、松高まで送迎している。「なにより先生たちが素晴らしい。親身になって、という表現がぴったりで、その思いが生徒に伝わり、3年間の松高生活で自信をつけ、目標に向かって卒業している」、言葉を繰り返す小野塚さんは、切実感を言葉に込める。

 地元行政の十日町市・関口市長は「魚沼地域の高校のあり方を示すことが協議の前提だ」と強い姿勢を見せるが、22日公表の募集停止に対し今後どう出るのか。生徒多数が通う津南町・桑原悠町長はどう動くのか。津南中等校では即座に県庁に向かったが、松高への対応は見えてこない。十日町市議会も津南町議会も、住民は注視している。

 松高問題は、地域教育の問題であり、そこにはじっと我慢している子たちがいる事を、忘れてはならない。

大地の芸術祭、145日間の挑戦

 145日間、この長期間、実行委員会の地元行政は何にチャレンジしようとしているのか。大地の芸術祭。3年に一度の「アートトリエンナーレ」を表題から外し、コロナ対策を前面に打ち出しているロングランは分かる。これまでは「暑く熱い51日間」で、集中的な発信を行い、それに応えるように国内外から来訪者が越後妻有をめざし、その体感の声を世界に発信してくれた。今回はどうだろうか。SNSの発達でいつでも、だれでも、どこからでも発信できるが、今回の大地の芸術祭は、従来に比べその発信は多い印象はない。それはなぜなのか。仕掛けが不足している印象だ。

 スタッフ不足は、次への取り組み不足を招いている。それはアナウンス効果を低下させ、来訪者との接点を少なくしている。作品の地元民が懸命に来訪者と交流し、「おもてなし」で妻有をアピールする姿は、ここ越後妻有の大地の芸術祭発信の大きな支えである。その接点をどう次につなげるか、それは地元行政の役目だ。「情報が向こうからやって来る」、それが大地の芸術祭であり、来訪者の言葉に地域づくりのヒントがあり、その言葉集めこそ、次につながる地域づくり、持続可能な自治体づくりではないのか。

 これから来訪者の集中時期に入り、学生の夏季休業が終わる9月中旬までがピークだろう。この時、次につながる発信が145日の会期の意義になる。10月の紅葉期では初めての大地の芸術祭開催である。野外アートがこの妻有地域の紅葉とどう共演するのか、ここにも盛り上がりの山を作る、その取り組みが求められる。

 145日間。かつてない挑戦であり、次にどうつなげるかの挑戦だ。全国で展開するアート展。大地の芸術祭来訪者の言葉からも、その様子が分かる。この夏、来訪者との関りが次につながる、そこに145日間の意義が見える。

新5区、「雪・豪雪圏」の特性を

 次期衆院選から再編新選挙区になるここ6区。新5区となる人口41万人の46%を占める上越市の人口比はいぜん大きい。今回の参院選で見る新5区の有権者割合も上越市が45%を占め、再編後の新小選挙区5区は、上越市を核とする上越地域が大きなウエイトを占める。だが、新5区の最大の特徴は豪雪地域が一つになること。つまり新5区「豪雪圏」の誕生であり、ここの発言力をどう高めるかが、再編後の最大課題になる。

 この豪雪圏、5自治体で15万5千人余り。南魚沼市5万4千人、十日町市4万9千人、魚沼市3万4千人と続き、津南町8千9百人、湯沢町7千7百人余り。地域高規格道・八箇峠道路の開通後、十日町地域と南魚沼は相当近くなった。4年後には待望の六日町インター接続が実現する。さらに十日町道路の実現で、人的にも物流的にも関連性がさらに深まる。

 この新5区における豪雪圏の存在をどう高めるか。5自治体の首長では十日町市・関口市長が4期で一番のキャリア。再編新5区のあり方にどう取り組むか、ここは関口市長のリードが必要だろう。地域医療では広域的なテーブルで協議が進むが、新5区を視野に入れた文字通りの広域行政のあり方、さらには政治的な取り組み課題など協議する常設的なテーブルが必要だ。

 新5区の最大の課題は「雪・豪雪」であるが、これは一方で最大の特徴であり個性である。かつて「ご当地ナンバー」論議があり、「雪国魚沼」が住民運動の反対で頓挫した経過があるが、雪・豪雪という地域特性を打ち出した広域連携が、新5区スタートでさらに求められ、発信力が求められる。

 新5区における政治とは。雪のハンディを特性に変え、地域オリジナルをどう打ち出すか、広域連携と運命共同体的な「連帯」が求められる。先ずは顔合わせテーブルの設置だろう。

松高問題、ピンチをチャンスに

 これほど地域の声が届かないのは、なにが足りていないのか、大きな疑問符が浮かぶ。「松高」、県立十日町高校松之山分校の存続問題だ。この問題、市町村合併前の松之山町時代からの20年来の地域課題だ。歴代の松之山町長・村山政光氏、佐藤利幸氏ともども、真正面から「松高存続」に取り組み、首都圏に暮らす町外の多くの松之山出身者と連携し、松高を残そうと懸命な努力を続けてきた。合併後もその運動は変わらず、さらに危機感を増し住民らは「松之山自治振興会」と松之山全戸が加入する「松高支援連絡会」という二重の運動体を作り、県教委や地元選出県議らに存続要請してきた。だが、近く公表される「新潟県高校再編整備計画・3ヵ年計画」に三度『松之山分校募集停止』が載ることが濃厚になっている。いよいよ正念場を向かえる松高問題、地元十日町市と津南町の取り組み姿勢が大きく問われる。

 先月17日、今春4月就任の新潟県教育長・佐野哲郎氏が松之山を来訪した。ここでどんな話が交わされたのか、地元関係者の口は重く、言葉から読み取れるのは「難しい」状況。県立高校としての存続、さらに「小規模校の良さが良く出ている」と語る地元松高関係者は、通学バス運行など献身的な取り組みを続けている。さらに、「ここの3年間で、自分に自信を持ち、新たな自分を見つけ出し、目標を見つけ、胸を張って卒業している姿を見ると、これこそ教育と思う。そんな大切な教育の場を、なぜ簡単に募集停止できるのか」。関係者の声は、疑問から怒りに変わりつつある。

 新たな取り組みは大地の芸術祭が後押しする。北川フラム氏は「芸術系の教育の場」を提唱し、地元関係者と動くが、いまだ具体的な実現性は見えていない。ここは関係する全ての人材が動く時だろう。「松高」が新たな「松高」に変わる、大きなチャンスでもある。

「衆院10増10減」、「市町の議員定数」

 選挙が続く。我々の代表を選ぶ選挙だが、国政・県政・市町村行政と、その選ぶ顔は違うが共通しているのは「数」。先月、衆院新区割り案が公表され、全国「10増10減」で新潟県は定数1減。ここ新潟6区は「新5区」に再編され、現6区に南魚沼市・魚沼市・湯沢町が入り新5区となる再編案が示されている。現行制度で選ばれた国会議員の反応は様々で、該当する市町村の行政長の受け止めも多様だ。

 今回の衆院・小選挙区新区割り案の現状を表す場が、今月10日投開票の参院選だ。新潟選挙区は全県区だが、開票結果は市町村別に出る。新5区の各政党の開票結果は、次期衆院選の選挙活動のベースになる。

 定数問題では、十日町市議会と津南町議会も、現在進行形で「議会改革」に取り組んでいる。先行するのは津南町議会で、有権者アンケートを5月に配布、6月10日締切で集計を進める。町議会は来年11月、任期満了を向かえ、10月下旬に改選を行う。「津南町議会・議員定数等特別委員会」は来週6日の月例全協で中間報告するが、アンケート設問ではストレートに聞いている。「定数は何人がいいか」「議員報酬の金額は」。10代から80代以上の各世代60人の有権者480人に聞き、今年12月定例議会までに方向性を出す方針だ。

 一方、「十日町市議会・議会改革特別委員会」は論点整理から入り、課題解決への取り組みをテーマ別に議論・検討し、議会改革への絞り込みを行っている。市民の一番の関心事の議員定数にストレートに取り組むのではなく、議会改革全体の中で定数も検討する姿勢だ。市民・町民代表の市議・町議の「存在意義」を含めた論議が求められると共に、市民・町民の声をどう反映するかにも注視したい。

 選ばれる人たち、選良とも言われる人たち。その報酬は我々が納めた税金である。このことがすべてのベースだ。