​妻有に生きる

シリーズ連載

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社説

 

総裁選であぶり出される党員数

 政権与党・自民党の総裁選報道が、連日TVや新聞を賑わせ、垂れ流しと揶揄されるほどの情報の洪水だ。この総裁選で明らかになることがある。それは自民党員の数。報道各社を総合すると現在の自民党員は全国で110万人といわれる。すでに党員には投票用紙が郵送され、27日までに投函することになっている。都道府県ごとに集計されるが、ほぼ市町村ごとに支部組織を持つ自民党である。ぜひ、市町村ごとに開票結果を公表してほしい。自分が暮らす市町村の党員数、政権与党を支える党員の実態が明らかになる。

 衆院比例、参院比例選で政党得票が公表されるが、それは党員以外の投票も含まれる。党員しか投票権がない今回の自民総裁選は、その党員数に大きな関心が集まる。かつて自民党員547万人時代(1991年)をピークに、政権与党に帰り咲いた2012年は73万人まで落ち込み、現在は110万人党員と言われる。政権を支えるのは党員ばかりではないが、政党政治を標榜する現政権、その実態を今度の総裁選が具体的な数値として表出させる。ここ妻有地域の十日町市、津南町、さらに栄村での実態はどうか。いわゆる「真水の実態」が明らかになる、明らかにしてほしい。

 近年の国政選挙はじめ各種の選挙では、圧倒的に無党派層が多く、当落の決め手は無党派層の取り込みになっている。一方で今回の総裁選のように、政権与党という看板だけで、これほどの過熱気味の報道合戦。失礼ながら一握りの党員の政党トップを選ぶ選挙にしては「騒動」の度が過ぎる。圧倒的多数の無党派は、相当に冷ややかに見ていることを、党員は自覚すべきだ。

 新しい自民党総裁は29日に決まる。同時に都道府県の投票状況、さらに市町村別も公表されるだろう。党員数の実数は表に出せないと得票率公表の可能性もあるが、それは政権与党の責任として、大きな疑問符を掲げたい。

学校再編統合、「見えない価値を求める」

 時代が求める流れに逆行していないか。新型コロナで社会活動、生活全般が大きな転換を迫られている。人口密集地から移住する脱都会の傾向は、コロナ禍以前から見られるが、この感染禍でその流れは太くなっている。

 十日町市は小中学校の「学区適正化」、再編統合を進める。小規模校が多い周辺地域から疑義の声が上がる。中里地区では考える会が定期的な通信を発行、地域に「教育とは」を呼びかける。下条地区でも、川西地区でも、松代地区でも、住民が「学校とは、教育とは」に向き合い、声を上げている。

 市教委は学区適正化の基準を示す。『小学校が1学級以上、中学校が2学級以上』。この条件を満たせば「地元の意向に沿う」と市議会や住民説明会で表明している。1学級40人が文科省基準。35人学級も視野に入る。だが移住を考える子育て世代の思いは明確だ。「自然豊かな所で子育てしたい。できれば20人前後の同級生の中で」。

 9月市議会で「デュアル・スクール」が取り上げられた。国の「区域外就学制度」を活用し、地方と都市部など複数の学校を行き来きし、教育効果と地域間交流を促す取り組み。2013年実施の徳島県美波町が先駆けで、長野・塩尻市、秋田県などで取り組む。市は「ニーズの高まりに合わせ検討する」と前向きとも、後ろ向きとも取れる答弁。要は地元地域のやる気、それを行政がバックアップすると読める。

 教育の場の問題は、高校再編にも通じる。松之山分校の「2023年度募集停止」は地域に大きな不安を与えている。「数の論理」で推し進める無理押しは、コロナ禍が突き付ける大転換の必要性には、もはや通じない。

 限られた財源。その財源を教育に集中することが妻有地域の魅力になる。移住先の選択につながる。見えない価値こそ、求めるべきもの。「見えている形は、価値の化身」、大地の芸術祭が実証している。それが教育である。

「目覚まし時計」は現れるのか

 騒動というべきか、混乱なのか、国を司る人たちの「劇場」が繰り広げられている。脚本なき芝居は、民衆の思いを余所に、思惑と利欲、保身と主従に縛られ、時々刻々と情勢が変わり、朝の新聞は、前日の真逆が紙面を賑わせる。9日朝刊で『民主主義の目覚まし時計』という表現に目が留まった。全国の都道府県紙で北海道新聞と共に知名度・論調で知られる信濃毎日新聞にあった。あの田中康夫知事の事実上の生みの親、八十二銀行頭取・茅野実さん。既成概念の瓦解、行政システム改革…、だが創造に至らない田中県政に引導を渡したのも茅野さんだ。今月2日の訃報を受けた紙面で、田中県政誕生を『長野の民主主義の目覚まし時計』と表現した人。衆院選は11月が濃厚。国政の目覚まし時計、ここ新潟6区の目覚まし時計は、現れるのか。  数週間後に政権トップを退任する人が、その退任直前に友好国を訪問する必要性は何なのか。今月末で自民党総裁、同時に内閣総理大臣・首相を退任する菅氏が今月下旬に米国訪問し、同地で開くオーストラリア、インドを含む4ヵ国首脳会合に出席するという。名目は中国対策という。「日米豪印・クアッド」の枠組み強化の姿勢誇示をいうが、退任首相が…疑問符は大きい。  2000年に誕生した長野・田中県政は、脱ダムなど既成概念を次々と打ち壊し、まさに茅野頭取の表現「民主主義の目覚まし時計」だった。3期務め、その3回の知事選投票率は70%台という高い関心。だが「鳴りやまぬ目覚まし時計を、もう止めましょう」と、生みの親責任から信濃毎日に新聞広告を出し、田中県政にピリオドを打たせた。地域経済を牽引する、真の経済人の姿を見た思いが、よみがえる。  政治は人。人は生活。生活を支えるのが政治。繰り広げられる「混乱劇場」は主人公を忘れてはいないか。カウントダウンが始まった衆院選、目覚まし時計は現れるのか。

希少野生動植物、どう守る

 驚くべき実態が明らかになった。身近な里山で、共に暮らす生き物たちの乱獲の現状は、もはや看過できない事態だ。オオクワガタ、ギフチョウ、ミヤマカラスアゲハ…、自然すべてに興味が向く幼少期から少年期に、お世話になった生き物たちだ。人の暮らし、そのすぐ側に当たり前のようにいた彼ら、彼女らの乱獲は、ここ妻有地域だけではないだろうが、「豊かな自然」を謳いあげる地域であるなら、早急なる手立てが必要だ。

 人が寝静まった夜、経口1㍍もの大型サーチライトを森や谷に向けて照らし、光に集まる習性を利用し、オオクワガタなど希少甲虫類を採集する。8月上旬、その現場を栄村の住民が目撃。それまでも採集の様子は聞いていたが、その驚きの現場を見て住民は警察に通報。職務質問すると「趣味で採っているが、オオクワガタ以外はすべて放している」、さらに「ここには規制する条例はないでしょ」と事も無げに話したという。同行した住民は「趣味ではないだろう。業者も入り、同じようにライトを照らし乱獲している。驚いたのはオオクワガタ1匹20万円でインターネット・オークションに出ていた。業界誌には秋山郷採集とまで記載されている」と話す。

 地域の野生動植物の乱獲は以前から問題視されてきた。特にコロナ禍になってから増加傾向という。「職を失った人やバイトがなくなった学生など、ちょっと知識があれば手軽な日銭稼ぎになる。買い上げる業者もいる。このまま放置しては、この地域の自然は、すべてが換金の対象になってしまう」。事態は深刻度を増している。

 自然界に市町村の境界はない。31年前、1990年に自然環境保護条例を制定した栄村。調査活動を通じ実効性ある条例改定をめざす。隣接の津南町、十日町市にはまだない。魚沼市は2016年、かなり踏み込んだ条例制定した。まさに広域連携が求められる。

新型コロナ、先が見えない

 新型コロナは、我々の日常生活を侵食し、その触手は人と人との関係性、さらに心情までも侵食しようとしている。先の東京五輪の開催の可否で、同じこの国に暮らす人たちの思いを分断し、その思いはパラリンピックにまで及んでいる。足下を見ると、同じ地域内で新型コロナの感染者が出ると、どこの、だれ、探り合いが始まる。コロナ禍は人の本性をあぶり出している。「先が見えない」とは、こういう事かと痛感する。今この時も医療従事者は命を守る最前線で懸命な医療活動にあたる。感謝の言葉を重ねても足りない。

 昨年から「新型コロナ」の言葉が載らない紙面はない。変異ウイルスは、人間社会の慌てぶりを弄ぶように、変異の姿を変え、感染力を増し、感染の連鎖を広げている。新潟・長野県境の人口6万弱の妻有エリアにも変異ウイルスは確実に入り込み、その感染力で感染連鎖が続いている。先月末には津南町で集団感染、今月中旬から十日町市では連日の感染者発生で、先週末、集団感染が発生し、小学生も家族感染するなど、夏休みが終わろうとするこの時期、9月からの学校生活に不安を投げかけている。

 感染予防の徹底、何度も何度も繰り返されるが、変異ウイルスによる感染拡大を止まない。「いつ、だれが、どこで」感染するか分からない、それが今も続いている。ついにと言うべきか、2回ワクチン接種した住民の感染が明らかになっている。まさに新型コロナ禍は「新たな局面に入っている」。ワクチン接種の先進国では3回接種の方針を決めている。「この先、どうなるのか」、分からない、が正直な所だろう。

 このコロナ禍、地域に暮らす人すべてが被害者である。誰が、誰になど関係ない。感染拡大を防ぐために保健所は感染ルート・濃厚接触者への対応に懸命に取り組む。予防の徹底、この先も変わらないだろう。「少しぐらいは…」、この気の緩みが危ない。

「地域おこし協力隊」、考える自治体

 考える自治体は、考えているんだなぁと感心した記事が日経にあった。2009年度に制度がスタートした「地域おこし協力隊」。今年度、全国で1万人余が活動する。単年度の最多は50人を採用する北海道・東川町。2020年度、町が運営の日本語学校を通じた国際交流業務や毎年夏に開催の写真の祭典「東川町国際写真フェスティバル」の運営などを担当し、国内外に東川町の魅力を発信しているという。

 ここまでできるのか、と感心したのは熊本県・高森町。2020年度に地域おこし協力隊で女性歌劇団を創設した。なんと新型コロナの収束後の観光誘客に備えるという。その導火線は漫画・アニメ。漫画家を招請し地域由来の人気作品を生み出してもらうことで「アニメの聖地」の創出をめざし、なんと併せて漫画を原作としたミュージカルを展開するという相乗効果をねらう壮大で、アイデア満載の取り組みだ。この人材に地域おこし協力隊を募集する、この着想に参った。

 この高森町の担当者コメントが載っている。新型コロナで興行業界が全般的に落ち込むなかで、この時期に逆行するように人材募集を発信したわけだ。「将来、人気者になってくれそうな有望な若者が集まった」という。初公演後は、全国巡業も視野に入れているという意欲的で斬新な取り組みだ。

 この動き、実はジャスト・タイミングともいえる。新型コロナで従来の就業形態が大幅に見直され、一方で脱首都圏の志向が高まり、地方への移住、移動が始まり、その選択肢のなかに「感覚の琴線に響く」取り組み情報が目の前にあれば…、この先が高森町であり東川町なのだろう。

 十日町市は制度スタートの初年度から受け入れ、その定住率は7割近い。大地の芸術祭効果がある。津南町も受け入れるが、魅力発信が課題。「考える自治体」は、これから伸びる。考える自治体には考える人材が必要だ。

変異ウイルスが突き付ける

 新型コロナウイルス感染は、新たな局面に入っている。インド発祥と言われる変異ウイルス「デルタ株」、さらに南米からの「ラムダ株」が、新たな脅威を広げている。新型コロナのワクチン接種も「3回」が接種先行国で方針決定され、日本もその方向で検討に入っている。この新型コロナウイルスはどこまで「進化」するのか。ワクチン開発と共に、その治療薬にも大きな関心が集まり、日本でも製薬会社で開発が進む。首都圏の感染拡大、さらにワクチン接種7割以上の各国でも感染拡大が続く現状を目の当たりにすると、このウイルスは人類に大きな警鐘を鳴らしているようにさえ感じる。

 妻有地域では先月中旬まで感染者ゼロの日が続いたが、先月下旬から再び感染者が出始めている。ウイルスの種類は検査結果が公表されず不明だが、デルタ株が多くを占めると推測される。感染率が初期の新型コロナの2倍から5倍と強くなり、それだけ感染者1人からの感染拡大が懸念される。

 不安と同居の中で迎えるお盆の帰省シーズン。「自粛を、中止を」と呼びかけてもこの時季は特別だ。特に昨年は「みんなで我慢」しただけに。妻有地域のワクチン接種はほぼ計画通り進み、65歳以上の多くが接種を終え、16歳から64歳の接種が始まっている。だがこの世代の感染者が全国的に急増。五輪で緩んだ自粛意識はそう簡単には戻らない。変異ウイルスの感染力を考えれば従来以上の予防が求められる。

 「もう充分に予防し自粛している」、そうだろう。感染予防を徹底しながらも感染してしまう、それがいま我々が直面する感染社会だ。「いつ、だれが、どこで」感染してもおかしくない新型コロナ禍。人の生きざままでも問う場になっている。衣・食・住は暮らしの三原則だが、その全てに人と人との関わりがある。これまでの営みを考え直す、その機会を新型コロナウイルスは、我々に突き付けている。

変異ウイルス、「局面が変わった」

 「子どもたちの思い出づくりに」、「子どもたちを元気づけたい」…、真っ当な思いが新型コロナの直撃を受けてしまった。津南町で発生した集団感染は、夏休みの体験活動の場が感染拡大の場になってしまった。同行した大人、子どもたち多数が感染し、その家族にも広がってしまった。まさに感染症の脅威を見せつけられている。一時期の感染者多発から感染者ゼロが続き、感染拡大が「よその事」と傍観的になっていた気のゆるみは、誰にでもある。まさにその盲点を突かれた今回の集団感染、クラスター発生だ。

 「7月の4連休の影響はこれから出てくる。そこにお盆連休。2年続きのコロナ禍でのお盆。ワクチン接種が進み、このお盆の帰省は要注意。帰省は止めてほしい」。医療関係者は厳しい言葉で警告を発する。だが、人の気持ちと動きは止められない。公共交通機関の予約状況など見ると昨年比では格段に伸びており、来週11日から人の動きがいっきに始まる状況にある。

 クラスター発生の津南町は8月中の行事すべてを中止した。地域の祭りや行事も中止が多い。「昨年はワクチン接種もなく、ただただ自粛の思いだけだったが、今年はワクチン接種が進み、少しは動けるかと思っていたが…」。津南町の住民の声は、多くの人の思いでもある。だが、現に集団感染を目の当たりにすると、さらなる感染予防と自粛が求められるのは事実だ。

 オリンピックは8日閉幕。24日からパラリンピックが開幕。同時進行で衆院選の前哨戦が本番さながらに活動が始まる。人の動きは収まるどころか、今秋に向けてさらに活発化する。この国の政権者は「ロックダウン」を視野に入れているのだろうか。感染力が5倍、10倍ともいわれる変異ウイルス・デルタ株で、まさに「局面が変わった」。

 夏休み真っ只中。今夏も楽しい思い出づくりができない子たち。家族の支えが、なによりも大切だ。

五輪駐在の外国メディアの視点

 日頃は外電、外国からの報道などで「外からの日本」を知るが、東京オリンピックはその外国報道メディアが日本国内から「内なる日本」を日々報道している。これは、この国に暮らす人たちの肌感覚に近い報道視線であり、この国に暮らす我々が感じている感覚でもある。 その中でここ数日、外国メディアから同じような発信が目立つ。それは『オリンピック開催が決まっていたのに、なぜ新型コロナのワクチン接種がこれほど進んでいないのか』。極めて素朴な疑問だ。29日、五輪のメイン会場である東京都はついに過去最多3865人、全国でも最多の1万人をこえる感染者数になっている。

 「高齢者接種は進んでいるが、50代以下の接種が進んでいない」、国や東京都の見解である。『7月中に65歳以上のワクチン接種を完了する』、『8月からは64歳以下の接種を加速する』、『これまでの市町村配分で余剰ワクチンがあり余剰自治体の配分を1割減に』、『配分削減は撤回する』…。その場しのぎと言っては失礼だが、コロコロ変わる政府方針。振り回される自治体。その方針転換で奔走させられる担当職員…。これまでの行政組織、指示系統、役割分担が根底から崩れているようにも感じる。

 五輪で日本に駐在する外国メディアは、自国との対比を刻々と報じている。新型コロナ対応は、当然国によって違う。その良し悪しはその後の感染抑え込み、感染拡大が実証しており、外国報道はそうした視点から、この国の現状をリポートする。そこには国内メディアとは違った視点があり、傾聴すべき論点を感じる。『五輪開催が決まっていたのに、なぜワクチン接種が遅れているのか』、まさにその通り。

 遅れの理由はいくらでもあるだろう。だが、現実としてワクチン接種が進まず、感染拡大が進む現状は、やはり素直に直視し、反省すべきだろう。不思議なのは、この国の、政府の、自己正当化論しか聞こえて来ないことだ。

広がる「二地域居住」の視点

 「ふるさと回帰」なのか、「脱東京・脱都会」なのか、「新たなライフスタイルを求めて」なのか、東京はじめ首都圏や都市部から、地方移住が広がっている。静岡や長野が人気という。首都圏から数時間圏が条件で、それは「いつでも動ける距離感」。利便性を手放したくない「都市生活者」は、そのまま居住拠点を置きつつ、数時間で行ける地方に新たな居住拠点を持ち、その時の気分や環境変化で「今月はあっち。来月はこっち」など、2拠点生活が流行りのように広がっている。ひととこに定住する生活スタイルから、複数の居住地を持つ「二地域居住」の増加は、今後も傾向として広がるだろう。その地に、ここ妻有も選ばれつつある。

 首都圏から3時間前後。当然選択エリアに入るが、長野や静岡に比べると、そのイメージが違うようだ。新潟ではあるが妻有は長野や群馬エリアに近く、その距離感がなかなかイメージ的に広まらないようだ。妻有の優位性を押し上げた一つは大地の芸術祭。その枕詞は「越後妻有」、だがどうも新潟県に結び付きにくい。梅雨明けも、関東甲信北陸でいつも「越」が取り残される。新潟県を超える『越後妻有』を、すべての分野で前面に出すべきだ。

 やはり発信力なのだろう。本紙1面の角栄さんの時代、あの角さんの新潟県、これですべてが通じた。やはり政治家の存在は大きい。その政治家を選ぶ選挙が今秋9月にあるが、あの時代を知る有権者にとっては、いまの政治家は物足りないだろう。

 国は今年3月、「全国二地域居住等促進協議会」を設立。二地域居住(デュアルライフ)への取り組みを本格化する方針を発表した。新コロナの影響でテレワークや郊外暮らしが進み、都会と地方に居住拠点を持つ「二地域居住」が広がりを見せている。地方行政に新たな局面と対応が求められている。主拠点を妻有に置く、その必然性を生み出すことこそ、人口政策でもある。

「モヤモヤ」と尾崎会長の言葉

 「総モヤモヤ現象」に覆われるこの国。為政者への不信感、この言葉に尽きる。東京オリンピックは23日開幕。妻有の地にもホストタウンの十日町市にクロアチア選手団が事前キャンプに来訪。若い選手の表情、迎える子どもたちや住民の笑顔を見るとモヤモヤは吹き飛ぶ。だが我に返ると再熱するモヤモヤ。この繰り返しが五輪期間中も続くのか。為政者・国への「信頼感」の重さを痛感する。

 新コロナ感染拡大が世界的に広がり、ニュージーランドはいち早くロックダウン、さらにドイツもロックダウン。偶然なのか必然なのか、アーダーン氏、メルケル氏と共に女性リーダーのこの国の人たちはトップを「信頼」、従った。結果は時間の経過が証明している。

 モヤモヤが飛び火している。有観客から無観客へ。宮城県知事は有観客方針を示す一方で、開催地の仙台市長は無観客を要請。住民の生命を守る最大使命を司る行政トップで分かれる対応。さらにモヤモヤが増す。妻有の思いを一身に受けオリンピック挑戦のマラソン・服部勇馬選手が走る北海道・札幌は結局、無観客レースとなり、妻有からの応援団は行けなくなった。

 オリンピック開催の最大のサポートパワーになるはずだったワクチン接種。妻有地域ではほぼ計画通りに進むが、主導する国の見通しの甘さ、供給量の確認不足、接種体制の不備などで全国各所でトラブルが発生している。さらにモヤモヤが増幅している。

 だが、オリンピックは開幕する。東京都医師会・尾崎治夫会長の言葉は、ストンと胸に落ちる。「家で競技観戦するスティホーム・オリンピックのすすめである。この2週間で人流をどんどん減らすことで、感染拡大を防ぐことになり、この期間は有効な対策になる。東京五輪を、コロナ感染をくい止めたと言われる五輪にできる。これこそコロナに打ち勝ったオリンピックではないか」。モヤモヤが少し吹き飛ぶ。

衆院小選挙区「1減」、どうなる6区

 5年ごとの国勢調査は、地域の実態をズバリ表現した。先月2020国勢調査速報値が公表され、これを基に2016年成立の『衆院選挙区・10増10減』の試算結果を公表した。選挙区定数の再編・見直しで、新潟県は小選挙区1減、つまり定数1減の方針が出ている。現在の新潟県小選挙区は6区。これが5区になる。それほど新潟県人口はこの5年間で減少している。数では10万2千人余だが、一つの中核都市規模がなくなっている現実でもある。

 試算はあくまでも机上試算だが、ことはそう簡単に進んでは困る。住民代表の議員の減少、それも国会議員の減少は、市町村議員や県議の減少と、その影響度は相当に大きい。現行の小選挙区6区には、その時々の時勢により指定席的な議員もいるが、ここにきて与野党対決を繰り返すなかで、政治地図の濃淡にかなりの変化が見られる。大きく世論が動きつつある中での今回の小選挙区の区割り変更だ。そう簡単には事は進まないだろうが、自民・政府は来年の通常国会に区割り変更の公職選挙法改選案を提出したい方針だ。

 ここ新潟6区。6区人口の82%が上越エリアが占め、十日町・津南は18%余り。圧倒的な地域差がある。これまでの衆院選でも、上越を制すればほぼ当確と言われ、事実結果がついて来ていた。十日町の古老に言わせると「上越は遠い。新幹線利用はすべて南魚。生活圏も南魚が近い。俺は角さんの頃から、南魚に入った方がいいと言ってきた」そうである。確かに地勢的にも上越圏より魚沼圏だが、政治地図はそう簡単には塗り替えられないのは、時代が証明している。

 だが今回は、法律で決めたことに従わざるを得ない現実がある。その場は『衆院議員選挙区画定審議会』のようだが、その前段はやはり県レベルの政治勢力だろう。誰が主導するのか、その論議を誰がリードできるのか。実力政治家不在の新潟県の真価が問われる。

あれから3年、あと1年

 早い、もう7月。今月9日で在職3年を迎える津南町・桑原悠町長。1986年・昭和61年生まれと聞けば、「若い」と先ず口に出るだろう。8月で35歳になる。町長就任時は31歳。この数字を見ただけで、高齢化率41・9%の津南町の人たち、同じく39・9%の十日町市、さらに53・2%の栄村から見れば、その若さは際立っている。3年前、町長選突入時に聞こえたのは「若ければいいってもんじゃない」、「若さで津南を変えてほしい」。津南町の人たちは若さを選んだ。あれから3年、である。

 地方自治体、とりわけ市町村トップに初就任の首長に対し、失礼ながら我々は「賞味期限」と表現する期間がある。全国的にも女性首長で最年少トップの誕生となれば否が応でも注目を集める。その注目される「賞味期限」である。最年少、女性という好条件が揃うと就任から1年はマスメディアは追いかける。この間の言動など「良い事、そうでない事」を追いかける。

 桑原悠町長はどうだったか。記憶に残るのは「トップセールス」。津南産ユリを持ち込み、当時の東京築地市場のセリに参加、ご祝儀ながら相当なる高値がつき、都内の花屋でもトップセールスで津南をアピール。次は…と期待したが、新コロナの直撃を受けている。

 3年が過ぎ、カウントダウンが始まっている。町長選である。従来の後援組織に加え新たな支援グループも立ち上がり、「最強の2期目」に挑む。十日町市・関口芳史市長は一足早く5月に再選し十日町市政初の4期在職だ。親子ほどの世代差の両市町長だが、ここにきて良好な連携関係にあると聞く。

 津南町はこの夏から秋にかけ改選に影響する場面がある。桑原町長の看板政策「保育園再編」は11億円を投じる。その建設費の入札と着工、議会はどう判断するか。新コロナ打撃で喘ぐグリーンピア津南問題。医療再編に迫られる町立津南病院。行政手腕が問われる懸案が続く。あと1年だ。