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社説

生の言葉が届かない

2020.8.29

 政治家は言葉がすべて、と言っていい。その信頼できる言葉が聞かれない不幸は、自治体に暮らす人たちの不幸だ。歴史に残る人の言葉は、自身の処世訓にしておけばよい。挨拶に引用する愚は、過去の多くの政治家が実証している。

 8月4日、34歳になった津南町・桑原悠町長の言葉が聞こえて来ない。その誕生月の下旬、「津南町にお住いの皆様へ」と郵便料金別納の印の脇に記された『ツナンタイムス』なる桑原はるか後援会発行のA4版1枚が町内全戸に郵便配達された。そこには「ツナンタイムスは、津南町長桑原はるかのこれまでの取り組みと今後の展望を町民の皆さまにお伝えするための町政報告紙です」とある。津南町外の皆さんは、津南のお知り合いに聞けば、見ることができるだろう。その報告紙の中身を取り上げたいのではない。本人の生の声を、町民は待っているのだ。

 選挙公約でもあり、町長就任の看板政策である「観光地域づくり法人DMO」の設立。今月7日、DMO設立検討委員会の初会合があった。開会冒頭、型通りの挨拶後、わずか5分で退席した桑原町長。その2回目が26日あった。検討委員から当然というべき発言があった。初回でも出た意見だ。「桑原町長の看板政策であり、DMOにより具体的にどういう津南町を作り上げようというのか、そのイメージを聞きたいし、そこを共有できないと次に進めない。具体的にどんな津南町を作り上げたいのか、しっかり描ける説明を聞きたい」。

 だが、この日の町長出席はなかった。委員は話した。「町議の時から口にしていたDMOであり、相当な思いがあるはず。なぜしっかり具体的な話をしないのか。自ら動かない限り、このDMOは成就しないだろう」。

 政治家。有権者が選ぶ人間の言葉は、相当に重く、重要だ。それが意識の共有となり、「よしっ、一緒に頑張ろう」につながる。言葉は政治家の命だ。

もっとトップ同士の話し合いを

2020.8.22

 「連携」がキーワードになって久しい。市町村行政が関わる公共政策分野では必須にもなっている。この背景にあるのが「財政難」。一つの自治体でできる事は限りある。広域連携により効率化を進め、さらに効果的な事業展開ができる。 その典型はすでに実施済みだが福祉分野の広域連携。介護度の認定事務作業、施設入所の情報共有、人材の相互交流、さらには運営母体の広域化など、本格化している高齢社会を支える屋台骨になっている福祉分野の広域連携だ。

 ここで考えたいのは、保育と教育分野。津南町が進める保育園再編整備。規模拡大により保育運営の集中を進める桑原町政。これに対し、「津南らしい自然たっぷりの保育」などを求め、保育業務・施設の集中に疑問を抱く住民グループがある。署名運動は人口の3分の1を超える3200余に。十日町市は小中学校の再編整備方針を市民に示すが、校区民の反応は懐疑的な意見が多く聞こえる。ここにも集中に対する疑問符が多く浮かんでいる。

 十日町市5万1415人、津南町9313人、6万人余のエリア。市行政、町行政は独立した自治体だが、保育・教育分野の『人を育てる』大義に市町の境界はない。行政運営における財源難を嘆くより、ここは文字通り連携を模索する時期ではないか。

 保育行政。津南に隣接の中里なかよし保育園。木を多用した施設は、これからの方向性にも通じる。運営は公設民営、運営定員にはまだ余裕がある。「保育園で友だちができ、小学校入学でバラバラになる」と不安視する親がいるが、ならば都市部の子たちは進学のたびに再編を迫られている。こうした「社会経験」が人を育てる。

 市町を超えた通園・通学。その前提は行政連携、さらにそのベースは自治体首長の意識の共有だ。トップ同士の話し合いが少なすぎる。自立は「内国主義」ではない。もっと会話を、だ。

角さんを想う

2020.8.15

 先月27日は新潟県にとって、ある意味での「記念日」。1976年・昭和51年7月27日、田中角栄氏が逮捕された。経済成長が陰りを見せ始める1970年代を象徴する「ロッキード事件」。所得倍増計画の池田隼人内閣で44歳の若さで大蔵大臣に就き、続く佐藤栄作内閣でも蔵相を続けた角さん。大蔵省への初登庁で職員を前にした初めての訓示は語り草だ。朝日新聞時代、希望して赴任した新潟支局で角さんを取材した早野透氏の著書『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』(中公新書)を引用させていただく。

 「私は小学校高等科卒業である。諸君は日本中の秀才代表であり、財政金融の専門家だ。私は素人だが、トゲの多い門松をたくさんくぐってきて、いささか仕事のコツを知っている。われと思わん者は誰でも遠慮なく大臣室に来てほしい。上司の許可を得る必要はない。できることはやる。できないことはやらない。すべての責任はこの田中角栄が背負う」

 早野氏は取材記で『魅了される官僚たち』と表現している。わずか50年ほど前、いやもう50年か。この雪国が生んだ一人の人間の言葉は、いまも色あせてあない。いや、責任という言葉があまりにも軽く扱われる今のこの国との格差を、痛感せずにはいられない。ロッキード事件での金銭の授受を最後まで認めず、衆院選16回当選の角さんは1993年・平成5年12月16日、75歳の生涯を閉じた。

 歴史に「たら・レバ」はないが、いま角さんがいたら…この新型​コロナで国中が閉塞感に陥り、民心が混乱している時、どんな言葉を発しただろうか。リーダーへの不信感が増し、それが様々な社会現象と連動し、不安が不信を増幅させ、疑心暗鬼の世情が蔓延する。リーダーの言葉の重さが、改めて大きく問われている。それは、国や県ばかりではなく、身近な市町村でも同じこと。信頼感を抱ける言葉がほしい。

新コロナ、地方自治体に財源と裁量権を

2020.8.8

 新コロナの感染拡大が続くなか、大移動「お盆シーズン」を迎える。関口市長は3日の定例会見と市あんしんメールで、桑原町長も3日、町の広報メールで感染予防の徹底を呼びかけた。『飲食を伴う多数での会食、長時間の会話は避ける』『地域外から戻った場合、人にうつすかもしれないという自覚で行動を。家庭内でもマスク着用。具合が悪くなった場合、ためらわず保健所に連絡を』『地域内での飲食・会食は業界ガイドラインを順守する飲食店で。感染予防表示の飲食店で。飲食業者は安全予防の徹底を』など、5月連休の『自粛要請』よりドーンダウンしているが、全国で感染拡大の現状を見れば、深刻度は確実に増しているといえる。

 国の「責任逃れ」が目に余る。来週は全国的な「お盆の帰省時期」。西村経済再生大臣は「国民の行動を規制するものではないが、自覚ある行動を」と控えめ。だが首都圏の若い家族が祖父母を訪問する危険性を「おじいちゃん、おばあちゃんとの食事では飛沫感染が心配」と事実上の自粛要請。一方、トップの代弁者、菅官房長官はGO Toトラベル継続を打ち出す一方で「感染予防は万全に」と自己責任論を示唆。医療関係者は「帰省は控えてほしい」と明確に発信。立場で違う言いようは、責任所在をうやむやにしている。だが、経済の落込みの危機感は強く、相当に深刻だ。

 国民1人10万円や事業者救済の給付金など、緊急的支援で国は相当なるお金を投入している。一方で、5月連休とは一変の国の不明確な態度。国の責任回避なら、地方自治体に相当なる財源を給付し、自治体裁量を増すべきだ。医療情報の全国共有は当然だが、地域事情で対応が異なり、自治体裁量で取り組める感染予防対策の財政的なバックアップが求められる。

 この夏休み、それでもGo toする人はいる。国の一律対応から自治体単位の個別対応への変化の兆しだ。地方自治体への財源委譲だ。新コロナは新たな段階に入ったようだ。

新コロナ、大切な提言、なぜ実現できない

2020.8.1

 新型コロナウイルスの感染拡大対策で、ポイントになる具体的な取り組み提言が出ている。だが、それが実現しない現実に、この国の政府の危機感の薄さを感じる。児玉龍彦・東大名誉教授の正式役職は「東京大学先端科学技術研究センターがん・代謝プロジェクト プロジェクトリーダー」。先月3日、日本記者クラブで講演した動画がアップされている。

 「なぜ、検査機器も人材も整う大学を活用しないのか。授業はオンライン、大学構内へは立ち入り禁止。大学の検査機能を使えば、すぐにでも1日数万件のPCR検査ができる。国はなぜ取り組まないのか」。児玉教授は話す。全国の保健所はオーバーワークをはるかに超える業務に直面し、すでに4ヵ月が過ぎた。この間、検査機器も人材も整うこの国の大学は、門を閉ざし続けている。

 先週のNHK日曜討論。東京都医師会・尾崎治夫会長の言葉。討論に出席の真向かいに座った加藤勝信厚労大臣に向かって放った言葉に、大臣はうなずくしかなかった。『新型コロナの専門医療機関を作るべきだ。そうすれば他の医療機関は安心して日常の医療に取り組める。いまは新コロナに対応しつつ、ガン治療に、循環器医療に、新コロナ感染を気にしながら取り組んでいるのが現状。早急に新コロナの専門医療機関を設ける必要がある』。尾崎会長は、これを感染拡大の初期から訴えている。だが、国はいまだ動かない。

 さらに、感染数を連日報じるメディア。その数値報道にも指摘が多く出ている。「感染数と同時に陽性率、PCR検査数を同時報道すべきだ」。29日、一日の感染者が全国で1千人を超えた事実は大きいが、その中身こそ、我々は知りたい。医療機関・保健所の献身的な取り組みには感謝の言葉を重ねたい。なにか、この国の取り組みは「大切な思い」が足りない。

 「時間の問題でしょう」。妻有地域への感染拡大、予防の徹底しかない。

農業経済も新コロナで激変か

2020.7.25

 新コロナは、農業分野も直撃している。専業・兼業とも農業所得や生活を支えるコメ農業への影響を心配する声が日ごと強まっている。「コメの消費量が激減している」。自粛生活で一般家庭のコメ消費はそれほど減少していないが、消費量が桁違いの業務用コメの消費が激減し、それが価格にも影響しかねない情勢にあるという。ここにも新コロナが色濃く影響している。

 2月から深刻度が急速に増した新型コロナウイルス感染拡大により、物流のストップ、消費動向の激変、飲食店の営業自粛など、コメ消費動向はかつてない激変にさらされた。「この3ヵ月間、すべてがストップし、食糧消費の量的な影響は計り知れない。コメもその影響を受けている。だが、ある程度の保存ができるコメの場合、その影響は今秋のコメ収穫以降になるだろう」と関係者は見る。

さらに、「いつ梅雨が明けるのか、まったく見通しができない今年の気象状況だが、日照不足は確実。今後の出穂時期にどういう気象になるか、そこが問題。例年並みの収量になると、確実にコメ余りになり、当然価格に影響する。新コロナによるコメ農業への影響はこれからだろう」。予測がつかない今後の気象状況。さらに新コロナの「第2波」など感染拡大状況も予測がつかない。春の3ヵ月のような「自粛生活」の再来となれば、影響は相当に大きく、その経済的なダメージは計り知れない。

 コメ農業は今秋の収穫状況による部分が大きく、消費減退の影響はまだ把握できない現状だ。新コロナのさらなる感染拡大によっては収穫を直撃しかねない。業務用米激減はそのまま一般主食用米に跳ね返る。主食米と同品質程度が業務用に回っている場合が多く、コメ余りで同品質の安い業務用米が一般米で流通すると、価格ダウンは避けられない状況になる。

 農業経済も例外ではない。いや、この経済激変は続くと考えるべきだろう。

「ピンチをチャンスに」、文科省の高校新学科再編

2020.7.18

 これは追い風だ、いや、ようやくか。2年後の2022年春を目標に高校学科の新設再編に取り組む文科省方針が明らかになった。高校生の7割が通う普通科は進学をめざす「寄り合い所帯」が現状で、これを、いくつかの異なる学問分野にまたがる「学際」的な学科、地域社会の課題に向き合う地域探求学科、さらに独自学科の新設など、現状の寄り合い所帯を、より目標を明確にした学科の新設再編だ。これは好機だ。十日町高校松之山分校、中高一貫校・津南中等教育学校の今後が大きな課題となっている妻有地域にあり、これを「ピンチをチャンスに」したい。

 公立高校しかない妻有地域では、その選択肢は限られ、「とりあえず進学」をめざすなら普通科となる。総合学科で「目標実現に自らカリキュラムを選択」できる十日町総合高の存在は、その内部的な改革だったが、当初目標の姿にはまだ至っていない現実がある。この総合的な学科を、より明確に、より目的意識を具体化する学科を、高校の看板に掲げる、それが今回の文科省の改革のように見える。

 松之山分校を支える地元松高支援連絡会の「独立校運動」は、まさにこれに合致する。大地の芸術祭との連携で、国内外のアーティストを講師に、芸術系高校をめざす、これこそ文科省が示す新学科への再編だろう。さらに、津南中等教育学校も同様だ。中高一貫6年間の教育。力を入れる英語教育、希望者が多い理数系、さらに国際教養など、より絞り込んだ学科新設がすぐにできる環境にある。ここは、文科省が示した新学科再編の先例モデルになる取り組みを始める時だろう。そのベースがすでにできているからだ。

 利便性に教育は関係ない。この地だから取り組める教育があり、その実証をすでに津南中等校で、松之山分校で取り組んでいる。この実現には地元行政との連携が不可欠だ。医療の連携のように、教育の連携が求められる。

津南中等・松之山分校、山間地モデルに

2020.7.11

 教育現場の主人公は、いうまでもなく学生だ。「学校問題」は、その多くが設置する責任者の価値観で論議され、当事者たる主人公は「こちらに置いておいて」と、協議の場に入れない場合が多い。県立高校の再編整備問題が新潟県の教育行政を揺らしている。「募集停止」の言葉が地元を直撃、住民不安を増幅させている。

 県立津南中等教育学校と十日町高校松之山分校。一時は共に「募集停止」方針だったが直前の「直訴」で津南中等校は「検討事項」に。一方の松之山分校は3年後、2023年募集停止を明記。地元「松高支援連絡会」は地元行政の意向を確認後、県教委への「直訴」を考えている。両校は全国的にも特徴的な要素を持つ。共通は過疎地域の高校。片や東大現役合格を輩出する新潟県トップ3の中高一貫校。片や世界的な知名度の大地の芸術祭総合ディレクター・北川フラム氏が関わる活動に取り組み、「芸術系の特色化で全国から学生を」「中学時代から一変、大きな成長」と、小規模校ながら3年間の濃い充実度を見せる。

 この両校は、人口減少・少子化が加速する全国地域のモデルではないのか。県立という財政的な裏打ちで成り立つ高校だが、この有用性は、定員割れという効率論理では図れない重要な要素を感じる。県教委が方向転換した後の県議会審議を聞くと、地域意識と枝葉論議に終始する姿は事の本質を追いやっている。両校は山間地における教育の在り方を実証している。

 「求められる人材」と民間企業はよく言う。つまり求めたい人材、それは学歴ある人材でないことは明白。就職活動時期になると企業トップは口を揃える。『雑草の逞しさ・高い問題意識』。一律的な教育では、逞しさは育たない。地理的なハンディは、人を育てる。この地に存在する意義を考えたい。勉学に向かう者は、不便さを口にしない。親の価値観が問われている。

PCR検査、求められる自治体連携

2020.7.4

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。この3ヵ月を経て、ひと山超えた、そんな雰囲気が漂うが、首都圏では拡大が続く。その首都圏から地方への人の拡散が加速度的に広まっている。第2波というより続く感染拡大、そう考えるべきだろう。そこで大きな課題は「感染しているのか、していないのか」、つまりPCR検査体制。新潟県は新たに南魚沼市など検査センターを増やす方針。だが、まだまだ不足だ。隣国韓国の検査キットをこの国は国交悪化から見向きもしていない。「安全・安心に国境はない」、まずは検査体制の相当なる充実だろう。

 十日町保健所管内のPCR検査数は、6月23日時点で94人が検査を受け、全員が陰性。感染者はいない。3週間ほどで10人余増えている。その大部分が濃厚接触者。検体採取の検査センターは十日町市が市独自でも実施しているが、現状は十日町保健所職員が新潟市の検査機関に運び、検査実施しているのが実情。国内では簡易判定できる検査キットも開発されていると聞く。ただ、大きな課題はその場で「陽性反応」が出た場合の、その後の対応だ。受け入れ病院、隔離体制、感染拡大防止策など検査結果後の処置対応が、限られた地域では困難性が伴うようだ。ここに検査体制の難しさがある。

 新十日町病院が9月11日、全体開院を迎える。ようやく新病院の誕生だ。吉嶺院長は新コロナの今後を注視している。「感染拡大が続き、魚沼エリアでも感染者が増えると、魚沼基幹病院だけでは受け入れが困難になり、協力病院である十日町病院での受け入れとなる。新病院はその体制を常に考えている」。だが、妻有地域での感染者発生は避けたい。感染拡大の当初の言葉「正しく怖れる」があるが、日常の衛生管理の徹底だろう。

 不安解消の先手は、やはり検査体制の充実。それには自治体連携が求められる。検査は「安心」に直結する。

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株式会社 妻有新聞社

津南支局  〒949-8201新潟県津南町下船渡丁2461-2 TEL.025-765-2215 FAX.025-765-5106

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