社説

地方移住、「国の本気」にどう対応するか

 国は本気のようだ。新コロナが追い風とは違和感があるが、地方移住を考える人が増えているのは事実。今週21日、総務省発で『移住生活を体験できる取り組み開始へ。地方移住を後押し』が流れた。同じ日の日経に『地域おこし経験者、移住に最大650万円、自治体雇用で報酬』が載った。人口過密・深刻な過疎化・地方移住促進など新コロナ前の国の政策は多い。だが波は起きず、コロナ禍でいっきに流れが生まれ、地方移住が始まっている。そこに国は「後押し」という支援事業を立ち上げた。これは本気なのだろう。

 地方移住の後押しは、新年度事業で補助額など制度設計はこれからだが、「2週間から3ヵ月の期間、移住生活を体験できる事業補助」。国から生活費などの支援を受けながら、その地域の活性化活動などに参加することで地元民と交流をはかり、その地域で生活体験する、それを国が後押しする。これまでも市町村は体験ツアーやお試し生活体験など実施し、わが村、わが町、わが市へどうぞと取り組んできている。今度の国支援により、「生活体験したいと思わせる地域の魅力」がさらに求められ、魅力度競争が加速する。 

 一方、地域おこし経験者の移住に最大650万円は、総務省が新設の「地域プロジェクトマネジャー制度」で、専門的な見識から特産づくりやイベント開催に関わり、現場責任者として事業全体を統括する人材。総務省は地域おこし協力隊の経験者や民間コンサルタントなどの人的な参加などを想定している。自治体支援は、協力隊と同様に交付税措置で積み増す方針だ。こちらも当然ながら地域定住が前提だ。

 この2つの国の支援事業は、すでに市町村独自で取り組んでいる事業でもある。そこに国が乗り出すことは、コロナ禍による『過密の弊害』が相当に深刻である証左ともいえる。受け入れ側の、さらなる本気度が試される。

 

ドカンと初雪、考えたい「雪資源」

 気象予報通りの雪だ。平地は14日が初雪、その雪が降りやまず、2日後に130㌢を超え、3日後に170㌢超の積雪。豪雪には慣れっこの妻有人だが、初雪が根雪はそうない。昨冬は2月に雪がなくなる「記録的な少雪」。今冬のスタートダッシュは、「ちょっと待って」と言いたくなる出足だ。

 最近の積雪状況。「豪雪の津南町」の役場前観測所の最高積雪が3㍍を超えたのは2015年308㌢、2013年306㌢、2012年329㌢と、結構降っている。特に記憶に残る大豪雪は2006年362㌢。「平成18年豪雪」の名が残り、津南町役場前に全国ネットのTV中継車が1週間ほど停車し、フランスなど外国の新聞にも取り上げられ、一躍「豪雪の津南町」が世界を駆け巡った。この年の雪消えは5月5日。あの「59豪雪(1984年)」の5月12日に次ぐ「遅い春」となった。

 豪雪で、津南を上回るのが実は松之山。松之山町時代、時の町長は「嫁が来なくなる」と積雪数値の公表を控えた逸話も残るが、地形から松之山地域の雪の多さが分かる。日本海の季節風を関田山脈など褶曲する山並みが受け、盆地地形に集落が点在し、山が雪雲を受け、多くの雪を降らせる。津南町と栄村は上信越国立公園が季節風を遮り、同様に多雪地域といわれる。

 「雪は資源」と言われて久しい。だが連日の除雪最優先の雪国では、その分野への取り組みは遅れている。雪冷熱活用のデータセンター、雪室で農産物の付加価値化、貯雪で夏イベントなど実現している。「雪がとけたら、なんになる」、『春になる』の小学生の名答は快哉だが、「雪解け水」の「商品化」はできないか。

 毎冬、積雪累計が公表される。自治体面積で換算するとその「貯雪量」が出る。1立方㍍の雪が水になる量を基数に、その冬の「貯雪ダム」の「融雪水量」が出る。これは「水資源」。発電事業者への「商品」と考えられないか。

 
 

立花高校の斎藤校長の言葉

 ふと目が覚め、手元のラジオのスイッチを入れると聞きなれた音楽と共に流れてきたのは「ラジオ深夜便・明日への言葉」。朝4時を回っていた。『立花高校の斎藤眞人校長』と聞けば、あの人とピンとくるだろう。「できないことを嘆くより、できていることを認め合う」、この一貫した取り組みで生徒たちと向き合う、いや、高校生活を共に生きていくその姿は、年間100を超える講演依頼が、今の時代に求められる教育現場の姿ともいえる。

 理由や原因を見つけ出して、それをもっともらしく説明し、問題解決に向かう大人社会の姿を、当事者たちは相当に冷めた目で見ている、それが「不登校」と括られる児童・生徒のまなざしだ。斎藤校長は、さまざまな理由で学校に通えず、義務教育を終え、その先の進路を考える子たち、親たちの思いをすべてしょい込み、「いいんだよ」と何の構えもなく入学を受け入れる。

 「学校の近くまで来た、そこまで来ることができたこと、それを認め合う。ならば、そこで授業を受けられるようにしようと、近くの公民館など使って学校外教室を設けました。子どもたちは安心するんです。認めることがものすごく大事なんです」。斎藤校長の教育方針を言葉にすると『寛容の精神が醸成される社会にしていきたい』と漢字が並ぶが、それは「認めること」。 

 この立花高校は『全日制の単位制』という珍しい組み合わせを実践している。「高校は3年間で出なければならないのですか。4年かかたって、5年かかたっていいではないですか」。卒業後も支援を続ける。就労支援のNPOを立ち上げ、社会への助走路を用意している。教育界で多用される「有用感」。だが現実は、その有用感を感じる場である環境の価値観が、そもそも違う。

 40分ほどのインタビューに聞き入った。そのまま出社したが、まだ暗い国道沿いの家々、すでに灯りが灯る家が多くあった。スカッとした朝だった。

市長選と市議選、市民は見ている

 「まだ早い」、そんな声が聞こえる十日町市の市長選・市議選の前情報だ。来年4月18日の日曜告示、1週間後の25日投票が決まった。すでに市議選は動き出している。新人3人が名乗りを上げ、地域活動への取り組みをスタート。4年前に挑戦、議席に至らなかった新人が再度の挑戦を始めている。さらに複数の挑戦者の動きがある。女性の動きも見られる。県内20市で女性議員が多い十日町市議会だが、できれば半分、少なくとも3分の1は女性が議席を占めてほしい。そう毎回願うのだが、現実はなかなか厳しい。

 だが、世界を見れば「遅れている十日町市」を実感させられる。フィンランドの女性首相と主要女性閣僚が30代のビッグニュースは世界を駆け巡った。米国次期トップのバイデン政権の報道官と広報中枢幹部は全員女性、時代が求める証左である。来春、十日町市の市政・市議会に、新たな女性の姿は何人見られるのか。

 12月市議会で関口市長の進退を問う一般質問が出ている。7日午後2時からの予定だ。今期で退任意向を固めている市議会最キャリアの庭野政義氏が問う。亡き白川勝彦氏を国政に送り出した勝友会・青年部長を務め、関口市長誕生に寄与し、関口市政を支えてきた元議長経験者。真正面からその去就を言葉にするのが、人の道だろう。周辺から聞こえる「まだ早い」という感覚は、有権者・市民に対して礼を欠く。「4選」を決めているなら、明確にその姿勢を述べ、来期への取り組み、さらに「市政継続」の必要性を披歴するのが、3期12年間の責務ではないか。

 市議選は、12月市議会で大きなヤマ場を迎える。定数問題だ。こちらは「なぜ今になって」。だが、人口が5万人を割り、類似市の実態、なにより市民生活の経済的な疲弊感は、今後さらに深刻度を増す。数だけの問題ではないが、今回は数が問題だ。それだけに「今がタイミング」。市民は見ている。

 

新ライフスタイルを求めて

 流出人口、転入人口、さらに定住人口、移住人口、あるいは交流人口、関係人口など、人の動きを表現する用語を最近多く目にする。その底流にあるのは、ここ妻有地域でも最大課題になっている「人口減少」。どうあろうと人口は減少していく。それは年間出生数の推移を見れば明らかであり、さらに深刻度を増しているのが「未婚者の増加」。この数値の増加は、地域人口政策を立てる時、その深刻度を見ると、さらに絶望的にさえなる。人口減少政策は、この地域の生命線でもある。だが、その困難性は大きい。

 限られた人口の奪い合い…。いまこの国で行われる地方自治体の人口政策を、こう表現する日本の人口推移の研究者がいる。奪い合いは極端な表現だが、全国の大都市を除く市町村の多くは、この人口政策を掲げる。移住者に定住の準備金を用意する自治体、居住の家のリフォーム費用を助成する自治体などは全国に見られる。

 このコロナ禍が、その地方移住をさらに後押ししている現実がある。首都圏にある「ふるさと回帰センター」には、連日多数が訪れ、情報収集している姿がある。地方の自治体が説明会を開くと、募集定員がすぐにいっぱいになるとも聞く。確かに「流れは確実に始まっている」。それは首都圏から地方へ。

 だが、先日の日経に興味深いデータがあった。それは60代以上の夫婦は、便利な都市部での生活をこのまま続けたいという数値がかなリ高く出ている。「年と共に身体の自由が利かなくなり、やはり便利な都市部での生活がいい」、という事らしい。一方で、子育て世代は「中学生までは自然たっぷりな環境の中で子育てしたい。その先は、子ども自身が決めればいい」、こういう価値観のライフスタイルも広まっている。

 なるほど、生活の価値観が違うように、ライフスタイルも当然違っていい。移住・定住、交流・関係人口などと形にはまった言葉は、もう通用しない価値観が広がっている、そんな実感だ。

 

 Go Toが、感染を広げている、そう思う人は多いだろう。日本医師会・中川俊男会長は「きっかけになったことは間違いない」と明言する。一方のこの国の政府、「一律に自粛を要請する必要にあるとは考えていない」と加藤勝信官房長官。この2つの発言が今の国情をよく表している。この民意を知りながらも一旦休止ができない菅政権。確かに「需要喚起しなければ倒産、廃業が急増する」のも事実。一方で「命に関わることが最優先ではないのか」の言葉も大切。コロナ禍は人間社会の盲点を、どんどん突いている。だが、どんな逆境でも生きる術を見出してきた先人たちを、いま引き継いでいるのが我々である。

 民意と国の政策判断にギャップが生じている時、それが今でもある。Go Toは政策判断で実施されている。その結果の感染拡大を野放しにしているのも政策判断となるなら、この先、倒産や廃業を余儀なくされた多くの民間事業者から相次いで国への損害賠償が起きても不思議ではない。

 新コロナは今年2月の発生拡大から、地域感染を経て変異・成長し続けていると研究者は語る。無意味に不安を煽る必要はないが、ウィルス変異は脅威である。まずは感染拡大を食い止めることだろう。

 感染をキャッチするPCR検査体制が、ここ妻有地域でも整いつつある。だが、「いつでも、誰でも、何度でも」の体制にはまだ遠い。県立十日町病院、町立津南病院でPCR検査機器が整備され、今後は開業医院でも簡易検査が整備されるだろう。課題は感染リスクへの対処。毎週開かれる医療機関と行政による新コロナ対策会議で協議、検討されていることだろう。

 妻有地域の感染者ゼロは、医療関係者の献身的な取り組みと住民の予防意識の高さといえる。住民からは「これ以上、どんな感染予防ができるのか」と、予防疲れの言葉も聞かれる。安心感の第一は検査体制の充実だ。

 

 原発がジワリと再稼働へ動きつつある、そんな印象を抱くニュースがこの10日間ほど続く。東北電力・女川原発。あの3・11福島第1原発事故につながる太平洋側にある原発。宮城・村井知事と原発立地市町の3トップ会談後、事実上の「再稼働容認」を表明した。 

 世界最大級規模の柏崎刈羽原発。原子力規制委員会の保安規定の認可が出て、新潟県原子力技術委員会の福島原発事故検証は花角知事に検証結果を報告し、再稼働条件の「三つの検証」の一つに区切りがついた形だ。残るは「健康と生活への影響」「避難委員会」の二つの検証。花角知事は次期知事選で「原発再稼働の賛否を問う」方針だが、そのプロセスは「再稼働容認」に見える。

 女川原発の再稼働容認の要素に上げた中に、地域経済の振興より前に「原発は国のベースロード電源」をあげた。これは、東京五輪誘致の当時、時の首相が世界に見えを切った言葉ではないか。3・11以降、世界は「脱原発」に向けた取り組みを加速させ、再生可能エネルギーへのシフトを強めている。この国でも全国の原発がストップするなかでも、電力供給は滞りなく行われ、新電力の進出で従来の発電事業者の営業マップが大きく塗り替えられている現実がある。 再エネ事業はあらゆる分野で進み、ここ妻有地域でも木質系バイオマス発電、太陽光発電、さらに温泉熱地熱発電など、この地の自然資源をフル活用する取り組みが始まっている。さらには従来の水力発電のパワーアップ、小水力発電の事業化など、官民で事業化を探る動きが活発だ。

 さらに言えば、原発による「核のゴミ」(高レベル放射性廃棄物)の最終処分方法が未定のまま、シナリオに動かされた北海道の2町村の「立候補」は、この国の強弱関係を表出し、あの「原子力ムラ」の再構築が見え隠れする。

 次代に、我々は何を残すのか。先の総理総裁選から、この国は大きく変貌しつつある。民意の出番である。

 議会のありようが問われて久しい。10月初めに開いた新潟県町村議長会で議会活動の報告があった。その内容に「個性」を感じる。津南町議会・風巻光明副議長の出席報告は興味深い。

 市議会ではすでに導入の所もあるが、聖籠町議会は議員のタブレット端末持ち込みを可能にする条例を制定し、全議員への貸与予算を計上。議員定数は改選1年前に論議することを申し合わせる。時代に合った取り組みに、議会・議員の姿勢が見える。

 弥彦村は競輪場がある自治体。報告では新コロナで売上減を予想したが、意に反しプラス傾向という。村ながら財政確保が見える自治体は強い。議会基本条例の制定にも取り組んでいる。

 出雲崎町は先を行く。議会モニター制度を早くから導入し、従来の5人を倍の10人に増やし、議会チェック機能を充実。さらに住民への議会報告を議員2人1組で「議会から話を聞く会」を定期開催することを決めている。インターネット中継の計画も進め、同時にタブレット端末を全議員に配布し、オンライン議会を開催できる体制も進める。ここにも議会の姿勢を感じる。 

 阿賀町議会は来年改選を迎えるなか、市町村議会共通の悩み、「議員のなり手がいない」現実を報告。今期で退任する議員が多く、新たに挑戦する人がいないと、同様な課題を示す。湯沢町議会は土地柄、観光事業のダメージが大きく、大手ホテルの倒産で地域経済への打撃が深刻。支援を求める議会、難色を示す当局で紛糾しているという。

 町村議会だからでき、市議会だからできない。市議会だからでき、町村議会だからできない。そこに理由を見出すこと自体、すでに議会・議員の自覚の欠如が表出している。来春、十日町市議会と栄村議会は改選を迎える。改選から1年が経過する津南町議会。住民の目は、議会・議員活動を常に見ている。新年度予算編成期に入り、さらに「住民目線」が求められる霜月だ。

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