社説

地方移住、「国の本気」にどう対応するか

 国は本気のようだ。新コロナが追い風とは違和感があるが、地方移住を考える人が増えているのは事実。今週21日、総務省発で『移住生活を体験できる取り組み開始へ。地方移住を後押し』が流れた。同じ日の日経に『地域おこし経験者、移住に最大650万円、自治体雇用で報酬』が載った。人口過密・深刻な過疎化・地方移住促進など新コロナ前の国の政策は多い。だが波は起きず、コロナ禍でいっきに流れが生まれ、地方移住が始まっている。そこに国は「後押し」という支援事業を立ち上げた。これは本気なのだろう。

 地方移住の後押しは、新年度事業で補助額など制度設計はこれからだが、「2週間から3ヵ月の期間、移住生活を体験できる事業補助」。国から生活費などの支援を受けながら、その地域の活性化活動などに参加することで地元民と交流をはかり、その地域で生活体験する、それを国が後押しする。これまでも市町村は体験ツアーやお試し生活体験など実施し、わが村、わが町、わが市へどうぞと取り組んできている。今度の国支援により、「生活体験したいと思わせる地域の魅力」がさらに求められ、魅力度競争が加速する。 

 一方、地域おこし経験者の移住に最大650万円は、総務省が新設の「地域プロジェクトマネジャー制度」で、専門的な見識から特産づくりやイベント開催に関わり、現場責任者として事業全体を統括する人材。総務省は地域おこし協力隊の経験者や民間コンサルタントなどの人的な参加などを想定している。自治体支援は、協力隊と同様に交付税措置で積み増す方針だ。こちらも当然ながら地域定住が前提だ。

 この2つの国の支援事業は、すでに市町村独自で取り組んでいる事業でもある。そこに国が乗り出すことは、コロナ禍による『過密の弊害』が相当に深刻である証左ともいえる。受け入れ側の、さらなる本気度が試される。

 

ドカンと初雪、考えたい「雪資源」

 気象予報通りの雪だ。平地は14日が初雪、その雪が降りやまず、2日後に130㌢を超え、3日後に170㌢超の積雪。豪雪には慣れっこの妻有人だが、初雪が根雪はそうない。昨冬は2月に雪がなくなる「記録的な少雪」。今冬のスタートダッシュは、「ちょっと待って」と言いたくなる出足だ。

 最近の積雪状況。「豪雪の津南町」の役場前観測所の最高積雪が3㍍を超えたのは2015年308㌢、2013年306㌢、2012年329㌢と、結構降っている。特に記憶に残る大豪雪は2006年362㌢。「平成18年豪雪」の名が残り、津南町役場前に全国ネットのTV中継車が1週間ほど停車し、フランスなど外国の新聞にも取り上げられ、一躍「豪雪の津南町」が世界を駆け巡った。この年の雪消えは5月5日。あの「59豪雪(1984年)」の5月12日に次ぐ「遅い春」となった。

 豪雪で、津南を上回るのが実は松之山。松之山町時代、時の町長は「嫁が来なくなる」と積雪数値の公表を控えた逸話も残るが、地形から松之山地域の雪の多さが分かる。日本海の季節風を関田山脈など褶曲する山並みが受け、盆地地形に集落が点在し、山が雪雲を受け、多くの雪を降らせる。津南町と栄村は上信越国立公園が季節風を遮り、同様に多雪地域といわれる。

 「雪は資源」と言われて久しい。だが連日の除雪最優先の雪国では、その分野への取り組みは遅れている。雪冷熱活用のデータセンター、雪室で農産物の付加価値化、貯雪で夏イベントなど実現している。「雪がとけたら、なんになる」、『春になる』の小学生の名答は快哉だが、「雪解け水」の「商品化」はできないか。

 毎冬、積雪累計が公表される。自治体面積で換算するとその「貯雪量」が出る。1立方㍍の雪が水になる量を基数に、その冬の「貯雪ダム」の「融雪水量」が出る。これは「水資源」。発電事業者への「商品」と考えられないか。

立花高校の斎藤校長の言葉

 ふと目が覚め、手元のラジオのスイッチを入れると聞きなれた音楽と共に流れてきたのは「ラジオ深夜便・明日への言葉」。朝4時を回っていた。『立花高校の斎藤眞人校長』と聞けば、あの人とピンとくるだろう。「できないことを嘆くより、できていることを認め合う」、この一貫した取り組みで生徒たちと向き合う、いや、高校生活を共に生きていくその姿は、年間100を超える講演依頼が、今の時代に求められる教育現場の姿ともいえる。

 理由や原因を見つけ出して、それをもっともらしく説明し、問題解決に向かう大人社会の姿を、当事者たちは相当に冷めた目で見ている、それが「不登校」と括られる児童・生徒のまなざしだ。斎藤校長は、さまざまな理由で学校に通えず、義務教育を終え、その先の進路を考える子たち、親たちの思いをすべてしょい込み、「いいんだよ」と何の構えもなく入学を受け入れる。

 「学校の近くまで来た、そこまで来ることができたこと、それを認め合う。ならば、そこで授業を受けられるようにしようと、近くの公民館など使って学校外教室を設けました。子どもたちは安心するんです。認めることがものすごく大事なんです」。斎藤校長の教育方針を言葉にすると『寛容の精神が醸成される社会にしていきたい』と漢字が並ぶが、それは「認めること」。 

 この立花高校は『全日制の単位制』という珍しい組み合わせを実践している。「高校は3年間で出なければならないのですか。4年かかたって、5年かかたっていいではないですか」。卒業後も支援を続ける。就労支援のNPOを立ち上げ、社会への助走路を用意している。教育界で多用される「有用感」。だが現実は、その有用感を感じる場である環境の価値観が、そもそも違う。

 40分ほどのインタビューに聞き入った。そのまま出社したが、まだ暗い国道沿いの家々、すでに灯りが灯る家が多くあった。スカッとした朝だった。

市長選と市議選、市民は見ている

 「まだ早い」、そんな声が聞こえる十日町市の市長選・市議選の前情報だ。来年4月18日の日曜告示、1週間後の25日投票が決まった。すでに市議選は動き出している。新人3人が名乗りを上げ、地域活動への取り組みをスタート。4年前に挑戦、議席に至らなかった新人が再度の挑戦を始めている。さらに複数の挑戦者の動きがある。女性の動きも見られる。県内20市で女性議員が多い十日町市議会だが、できれば半分、少なくとも3分の1は女性が議席を占めてほしい。そう毎回願うのだが、現実はなかなか厳しい。

 だが、世界を見れば「遅れている十日町市」を実感させられる。フィンランドの女性首相と主要女性閣僚が30代のビッグニュースは世界を駆け巡った。米国次期トップのバイデン政権の報道官と広報中枢幹部は全員女性、時代が求める証左である。来春、十日町市の市政・市議会に、新たな女性の姿は何人見られるのか。

 12月市議会で関口市長の進退を問う一般質問が出ている。7日午後2時からの予定だ。今期で退任意向を固めている市議会最キャリアの庭野政義氏が問う。亡き白川勝彦氏を国政に送り出した勝友会・青年部長を務め、関口市長誕生に寄与し、関口市政を支えてきた元議長経験者。真正面からその去就を言葉にするのが、人の道だろう。周辺から聞こえる「まだ早い」という感覚は、有権者・市民に対して礼を欠く。「4選」を決めているなら、明確にその姿勢を述べ、来期への取り組み、さらに「市政継続」の必要性を披歴するのが、3期12年間の責務ではないか。

 市議選は、12月市議会で大きなヤマ場を迎える。定数問題だ。こちらは「なぜ今になって」。だが、人口が5万人を割り、類似市の実態、なにより市民生活の経済的な疲弊感は、今後さらに深刻度を増す。数だけの問題ではないが、今回は数が問題だ。それだけに「今がタイミング」。市民は見ている。

新ライフスタイルを求めて

 流出人口、転入人口、さらに定住人口、移住人口、あるいは交流人口、関係人口など、人の動きを表現する用語を最近多く目にする。その底流にあるのは、ここ妻有地域でも最大課題になっている「人口減少」。どうあろうと人口は減少していく。それは年間出生数の推移を見れば明らかであり、さらに深刻度を増しているのが「未婚者の増加」。この数値の増加は、地域人口政策を立てる時、その深刻度を見ると、さらに絶望的にさえなる。人口減少政策は、この地域の生命線でもある。だが、その困難性は大きい。

 限られた人口の奪い合い…。いまこの国で行われる地方自治体の人口政策を、こう表現する日本の人口推移の研究者がいる。奪い合いは極端な表現だが、全国の大都市を除く市町村の多くは、この人口政策を掲げる。移住者に定住の準備金を用意する自治体、居住の家のリフォーム費用を助成する自治体などは全国に見られる。

 このコロナ禍が、その地方移住をさらに後押ししている現実がある。首都圏にある「ふるさと回帰センター」には、連日多数が訪れ、情報収集している姿がある。地方の自治体が説明会を開くと、募集定員がすぐにいっぱいになるとも聞く。確かに「流れは確実に始まっている」。それは首都圏から地方へ。

 だが、先日の日経に興味深いデータがあった。それは60代以上の夫婦は、便利な都市部での生活をこのまま続けたいという数値がかなリ高く出ている。「年と共に身体の自由が利かなくなり、やはり便利な都市部での生活がいい」、という事らしい。一方で、子育て世代は「中学生までは自然たっぷりな環境の中で子育てしたい。その先は、子ども自身が決めればいい」、こういう価値観のライフスタイルも広まっている。

 なるほど、生活の価値観が違うように、ライフスタイルも当然違っていい。移住・定住、交流・関係人口などと形にはまった言葉は、もう通用しない価値観が広がっている、そんな実感だ。

 

 Go Toが、感染を広げている、そう思う人は多いだろう。日本医師会・中川俊男会長は「きっかけになったことは間違いない」と明言する。一方のこの国の政府、「一律に自粛を要請する必要にあるとは考えていない」と加藤勝信官房長官。この2つの発言が今の国情をよく表している。この民意を知りながらも一旦休止ができない菅政権。確かに「需要喚起しなければ倒産、廃業が急増する」のも事実。一方で「命に関わることが最優先ではないのか」の言葉も大切。コロナ禍は人間社会の盲点を、どんどん突いている。だが、どんな逆境でも生きる術を見出してきた先人たちを、いま引き継いでいるのが我々である。

 民意と国の政策判断にギャップが生じている時、それが今でもある。Go Toは政策判断で実施されている。その結果の感染拡大を野放しにしているのも政策判断となるなら、この先、倒産や廃業を余儀なくされた多くの民間事業者から相次いで国への損害賠償が起きても不思議ではない。

 新コロナは今年2月の発生拡大から、地域感染を経て変異・成長し続けていると研究者は語る。無意味に不安を煽る必要はないが、ウィルス変異は脅威である。まずは感染拡大を食い止めることだろう。

 感染をキャッチするPCR検査体制が、ここ妻有地域でも整いつつある。だが、「いつでも、誰でも、何度でも」の体制にはまだ遠い。県立十日町病院、町立津南病院でPCR検査機器が整備され、今後は開業医院でも簡易検査が整備されるだろう。課題は感染リスクへの対処。毎週開かれる医療機関と行政による新コロナ対策会議で協議、検討されていることだろう。

 妻有地域の感染者ゼロは、医療関係者の献身的な取り組みと住民の予防意識の高さといえる。住民からは「これ以上、どんな感染予防ができるのか」と、予防疲れの言葉も聞かれる。安心感の第一は検査体制の充実だ。

 原発がジワリと再稼働へ動きつつある、そんな印象を抱くニュースがこの10日間ほど続く。東北電力・女川原発。あの3・11福島第1原発事故につながる太平洋側にある原発。宮城・村井知事と原発立地市町の3トップ会談後、事実上の「再稼働容認」を表明した。 

 世界最大級規模の柏崎刈羽原発。原子力規制委員会の保安規定の認可が出て、新潟県原子力技術委員会の福島原発事故検証は花角知事に検証結果を報告し、再稼働条件の「三つの検証」の一つに区切りがついた形だ。残るは「健康と生活への影響」「避難委員会」の二つの検証。花角知事は次期知事選で「原発再稼働の賛否を問う」方針だが、そのプロセスは「再稼働容認」に見える。

 女川原発の再稼働容認の要素に上げた中に、地域経済の振興より前に「原発は国のベースロード電源」をあげた。これは、東京五輪誘致の当時、時の首相が世界に見えを切った言葉ではないか。3・11以降、世界は「脱原発」に向けた取り組みを加速させ、再生可能エネルギーへのシフトを強めている。この国でも全国の原発がストップするなかでも、電力供給は滞りなく行われ、新電力の進出で従来の発電事業者の営業マップが大きく塗り替えられている現実がある。 再エネ事業はあらゆる分野で進み、ここ妻有地域でも木質系バイオマス発電、太陽光発電、さらに温泉熱地熱発電など、この地の自然資源をフル活用する取り組みが始まっている。さらには従来の水力発電のパワーアップ、小水力発電の事業化など、官民で事業化を探る動きが活発だ。

 さらに言えば、原発による「核のゴミ」(高レベル放射性廃棄物)の最終処分方法が未定のまま、シナリオに動かされた北海道の2町村の「立候補」は、この国の強弱関係を表出し、あの「原子力ムラ」の再構築が見え隠れする。

 次代に、我々は何を残すのか。先の総理総裁選から、この国は大きく変貌しつつある。民意の出番である。

 議会のありようが問われて久しい。10月初めに開いた新潟県町村議長会で議会活動の報告があった。その内容に「個性」を感じる。津南町議会・風巻光明副議長の出席報告は興味深い。

 市議会ではすでに導入の所もあるが、聖籠町議会は議員のタブレット端末持ち込みを可能にする条例を制定し、全議員への貸与予算を計上。議員定数は改選1年前に論議することを申し合わせる。時代に合った取り組みに、議会・議員の姿勢が見える。

 弥彦村は競輪場がある自治体。報告では新コロナで売上減を予想したが、意に反しプラス傾向という。村ながら財政確保が見える自治体は強い。議会基本条例の制定にも取り組んでいる。

 出雲崎町は先を行く。議会モニター制度を早くから導入し、従来の5人を倍の10人に増やし、議会チェック機能を充実。さらに住民への議会報告を議員2人1組で「議会から話を聞く会」を定期開催することを決めている。インターネット中継の計画も進め、同時にタブレット端末を全議員に配布し、オンライン議会を開催できる体制も進める。ここにも議会の姿勢を感じる。 

 阿賀町議会は来年改選を迎えるなか、市町村議会共通の悩み、「議員のなり手がいない」現実を報告。今期で退任する議員が多く、新たに挑戦する人がいないと、同様な課題を示す。湯沢町議会は土地柄、観光事業のダメージが大きく、大手ホテルの倒産で地域経済への打撃が深刻。支援を求める議会、難色を示す当局で紛糾しているという。

 町村議会だからでき、市議会だからできない。市議会だからでき、町村議会だからできない。そこに理由を見出すこと自体、すでに議会・議員の自覚の欠如が表出している。来春、十日町市議会と栄村議会は改選を迎える。改選から1年が経過する津南町議会。住民の目は、議会・議員活動を常に見ている。新年度予算編成期に入り、さらに「住民目線」が求められる霜月だ。

 

松之山「山塩」に期待

2020.10.31

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が、あらゆる分野に影響している。この国を代表する民間企業の業績悪化が連日紙面やニュースで流れる。その数字は4桁に及び、それが億単位という現実は、庶民感覚ではなかなか追いつかず、その見込み赤字の業績が伝わるだけでも相当なる影響と想像できる。数千億円の赤字。もはや事業継続が不可能とも思われるが、そこは大企業なのだろう、国の様々な支援策があり、なんとか「3年後には黒字転換」などと企業トップが話すのを聞くと、ここにも企業間格差を感じてしまう。

 今年4月以降、地元飲食業界、中小企業は相当なるダメージを受けている。国や県、地元市町村の支援策を受けているが、本来の事業展開ができない以上、「先行きが見通せない」の本音だろう。だが、従業員を抱える事業主にとっては、そうも言っていられない現実がある。「止めるに、止められない」、これも本音だろう。

 起業という動きに関心が向き始めたのは、地方の時代が言われた30年余り前から動きとしてはある。ベンチャーであり、フロンティアであり、文字通り開拓者である、その人たちのパワーを地域は求めている。松之山の「山塩」事業化は、その一つだろう。

 かつて、松之山温泉の高濃度塩分質に着目し、その温泉から塩を作り出していた歴史を掘り起し、30代・40代グループが再現を試み、みごと「山塩」を作り出すことに成功した。これは「埋もれた資源を掘り起こした事業化」と、言葉では表現できるが、その着眼はまさに地域のリーディング・グループだろう。この事業化は、地域の元気を掘り起こす事業でもあり、その30・40代のエネルギーが、新コロナで停滞する地域に活力を与えている。

 新コロナで削がれ消沈している地域だが、実は地域にある資源を見直す時でもある。「山塩」は大きな希望だ。

県庁14階の心に響いただろうか

2020.10.24

 地域医療の不安要素が、住民不安を増している。県立松代病院の存続を求める地元住民の切なる願いを形にした「6355」の分厚い署名簿。妻有から100㌔離れた県庁14階の病院局長室まで運び込み、花角知事あての存続要望書を知事代理の病院局長に手渡した。この道程が、そのまま新潟県行政の格差感を表出している。これが真冬の1月、2月だったらどうか。屋根に迫る雪深い地から、住民の願いが詰め込まれた署名簿を、雪がほとんどない県庁14階に運び込み、2時間余をかけてたどり着いた県庁の対応は、わずか30分ほど。届けた署名簿の厚さに込められた住民の切なる思いの重さを、冬でも長靴を必要としない県庁は、その切なる願いを肌感覚として分かるのだろうか。21日、県庁14階に足を踏み入れ、率直に感じた。

 県立松代病院は、旧東頚エリアのまさに「命の砦」。県立病院再編は県財政の大きな足かせになっているが、県民の命を守る拠点であることは、それがどこにあろうが、変わるものではない使命を持つ。21日、要望提出に同行した関口市長は、踏み込んだ言葉で地元民の思いを伝えた。「知事から(地域医療の)大きなグランドデザインを示して頂きたい」。すでに任期折り返しの花角知事。中条第二病院問題では精神医療の全県的な医療体制の構築を打ち出した。さらに大きな地域医療問題で求められるのは『命を守る県政』。県は松代病院を地元自治体主体の運営方針を示しているが、それは「責任逃れ」だろう。

 ならば、魚沼圏の地域医療のグランドデザインは、県の責任で示すべきだ。それを求める住民の意思表示が、21日の要望書提出とも言える。

 「利便性の良い地域と同じ土俵に上げないでほしい」、佐藤会長の言葉は、14階の心に響いただろうか。その地に暮らす安心感の支えは頼れる医療環境である。この冬、花角知事には妻有の冬の暮らしを、ぜひ体感してほしい。

変貌する若者気質

2020.10.17

 新コロナで大学生、特に今春入学した学生は、なんとも理不尽さを感じているのではないか。大学構内は立入禁止、授業はオンライン、同期生と顔を合わすことすらなく、夏休みが過ぎ、ようやく本来の授業が始まった大学もあるが、依然、オンライン授業の大学もある。「高い授業料、入学金を払っているのに、これは大学ではない。授業料の一部返還を求めたい」。学生の言葉を新聞で見た。グループや団体で大学に求める動きもあるようだ。新コロナの影響をここにも見る。だが一方で、若者気質の変化は、予想以上に進んでいる。

 7月の都知事選、「選挙に行く時、候補者の主張を調べます。でも、距離を感じてしまうので、多数派から支持を得ている人に投票するようにしています」。9月の自民党総裁選、「隣のクラスの学級委員決めでしょう」。朝日新聞Globe編集部の1971年生まれ玉川透記者が10月号テーマ「民主主義と私」で若者の声をリポート。「私がこれまで取材した若者はみな、政治を語るのを嫌った。個をさらすことに、私の世代より敏感だ。若者は告白した。『もし来月から独裁的な政権になるって言われたとしても、今はそういう時代なんだと受け入れてしまう、そんな自分がいるんです』。最近の若いのは…、そうぼやきたくなる人もいるだろう」。現実にこうした若者が増えているようだ。それは、7年8ヵ月続いた前政権への、若者の高い支持が物語っている。

 「同調圧力」。新コロナの感染拡大で、しばらく身を潜めていた言葉と共に、そうした圧力的な風潮が蔓延している。新コロナは、人間が本来持つ資質の悪しき部分を、あぶり出している。前政権を継承すると公言する菅政権。その同調圧力を政治利用し、真っ当な世論の知見を封じ込める術を、7年8ヵ月で身に付けたようだ。

 選挙は年明けのようだ。どうも世の動きがおかしい、そう感じる秋冷だ。

地域おこし協力隊が人気

2020.10.10

 地域おこし協力隊が、新コロナで人気という。兵庫・豊岡市の募集に3週間で56人応募があるなど全国的に応募数が増加傾向にある。その仕組みが見えてきた。マッチングサイト「SMOUT(スモト)」登録が4月の700人余から7月には1800人に激増している。山口・萩市は9人に対し22人応募があり、「脱都会」志向が後押ししている。何を求めるのか。「価値観の多様化で、求める志向も多様。自分の志向に合致する市町村を見つけ出している」。担当者コメントにはうなずける。

 ここ妻有の誘因は「大地の芸術祭」だろう。事実、応募者の動機に「…大地の芸術祭の地なので…」が聞かれる。全国の先駆けで導入の十日町市は、その定着率70%余で全国トップクラス。国内有数の豪雪の地だが、ここにも「大地の芸術祭」効果が見える。だが、地域おこし協力隊の応募は、「選ばれる」段階に入っている。

 国の補助は全国一律だが、これに市町村独自の「加算」を積み、さらに活動内容の特色化を打ち出す市町村が増えている。地域おこし協力隊も「売り手市場」になっている。大地の芸術祭ブランドは、確かに大きな誘導要素になっているが、実は全国で展開する芸術祭は300を超えるというデータがあり、全国がモデルにしている大地の芸術祭だが、その知名度的な濃度が薄まってきている現実もある。

 地域おこし協力隊の定住には、全国的な傾向がある。地域に根付く大きな要因は、生業をどう見つけるか、パートナーとのめぐり逢い、という。それは「新ライフスタイル」を創り出すプロセスであり、3年間、行政や地域がバックアップする取り組みでもある。

 妻有に定住を決めた協力隊経験者は、確実にその地域を元気にしている。国が打ち出した政策でこれほど地域を助け、事業化が成功した補助事業は、そうないだろう。受け入れ市町村に求められるのは、人材としての協力隊の思いを、がっちり受け止めることだ。

ここにも、人材はいる

2020.10.3

 34歳のサンナ・マリン首相と並ぶ同世代の若い女性閣僚4人。一方、先月16日発足の70代「おじさん首脳陣」が並ぶ菅首相と対比する写真が、新聞やテレビで何度も掲載されたのはつい先月。30日のアメリカ大統領選候補2人による公開テレビ討論会も、政策論争とはほど遠い「酷さ」を感じる場面の連続だった。フィンランドのマリン首相の登場は、同国では驚くべき社会現象ではなく「当たり前」の首相就任と聞く。社会保障の充実度、教育への国あげての取り組みなど、人が暮らす社会であるべき当然の姿を、政治が作り出している。そのトップに、男性が就くか、女性が就くか、その性別論議さえ無用であり、「相応しい人物」を選ぶ、それだけを主眼に置いた国のリーダーの選出だ。

 市町村は10年計画を策定している。総合計画、総合振興計画など名称は多種だが、いま十日町市の合併後の第2次総合計画策定の審議会の真っ最中だ。委員30人、公募委員9人。女性委員は10人。先月28日の第4回審議会は9人欠席ながら活発な質疑で、その多くが女性の発言だった。市議5人が傍聴するなか、多分野テーマで市行政の取り組みに意見し、総合計画にどう反映するか高い関心を示していた。

 想起したのが来春の市議会の改選。審議会が取り組む54の施策テーマはすべて市行政、市民生活に直結する分野。いわば市議会で論議しているテーマでもある。市行政の取り組み不足を指摘する意見や、新たな知見を提供する意見など、その情報能力と分析力の高さは、審議会の名に相応しい内実を伴っていた。

 すでに感じているだろう。フィンランドの国情、日本の現状、さらに妻有の実情。なにが不足、なにをすべきか、その場が来春である。住民の生活はその自治体行政と有権者が選択する政治家にかかっている。ここにも、人材はいる。

 

良品計画 金井会長との「縁」

2020.9.26

 世界31ヵ国に1033店の商業施設を設け、グループ全体売上4387億円のブランド「無印良品」を世界市場で展開する良品計画。隣接、長野の豊野町(現長野市)生まれの金井政明会長は、今回の十日町市との連携協定の思いを語る。「縄文時代から脈々と暮らしを積み重ねる妻有の皆さんの営みに、我々が巻き込まれながら、汗を流していきたい」。十日町市、さらに津南町など妻有地域とは飯山線でつながる「縁」だ。その橋渡しは大地の芸術祭・北川フラム総合ディレクター。これも「長年の縁」。この縁をさらに太い絆につなげたい。

 住民、特に津南町の人たちは疑問が湧いたのではないか。30年余前、長野県境の標高900㍍の広大な地に「無印良品津南キャンプ場」がオープンし、春6月、まだ積雪が残る高原地でキャンプ場開きを行い、良品計画の担当部長が来訪している。他ではできない雪上キャンプが人気だ。その津南町は今回、どう動いたのか。大地の芸術祭の北川フラム総合ディレクターの橋渡しと聞けば、妻有一体での連携協定が視野にあったと考えたい。十日町市と津南町、隣接ながら「意思の疎通」が足りない現状だが、ここは人口9300人余の思いをすべて背負い、34歳の津南町のトップの出番だ。金井会長は思いをしっかり受け止めてくれるだろう。

 良品計画は「世界最大規模」の店舗を今夏、上越市・直江津に開業し、その山間地エリアに大型バスを改造した「移動販売バス」を運行している。金井会長の言葉通り、「地域に暮らす人たち」をしっかり見ている会社姿勢が感じられる。その移動販売バスが来月10日、十日町市を来訪し、市内3ヵ所で店開きする。人気商品など300点を満載している。

 地域の活性化という。地域だけでは限界性があり、どうパートナーを見つけ、タッグを組むか、そこに地域づくりのセンスが求められる。

雪国妻有の「冬の農業」、広域研究を

2020.9.19

 手垢のついた表現だが、「古くて新しい課題」、それは『雪国の冬の農業』だろう。秋収穫を終えると、翌春まで「冬眠状態」の妻有の農業。この課題に先人たちは様々な挑戦をしてきたが、いまだ決め手はない。AI・ICTなど最先端技術の時代にあり、この課題への取り組みは見えてこない。ここは雪国連携だろう。先ずは妻有の市町村の連携から始めたい。

 稲刈り真っ盛りだ。「これほど多くの田んぼが倒伏しているのは、最近見たことがない」、と言われるほど、多くの田んぼの稲がベタベタに転んでいる。7月の長雨と8月の猛暑続きが影響しているという。最新の大型コンバインが見る見る間に刈り取っていく。機械力のすごさを見る思いだ。このコメ収穫が終わり、畑作園芸が終わる頃、妻有は冬を迎え、妻有農業は「冬眠」に入る。取り組みは、ここからだ。

 冬の妻有農業への挑戦に、先人たちはアイデアと苦労を重ね挑んだ。先ずは施設栽培。雪に強いハウスによる温室栽培。熱源は重油のため原油高騰が大きな障害。次は雪のない群馬や埼玉への通勤農業。冬場だけ耕地を借り、寒さに強い作物を作った。だが通勤費用を価格転嫁できず先細りに。先人たちのチャレンジはいまに通じているが、それを後押しするバックアップが求められる。それは公的機関だろう。それは研究部門であり、可能性を果敢に探る意欲的な取り組みだろう。それは自治体を超えた雪国連携であり、その先には雪国の地場産業が見えてくる。

 新潟県高冷地農業技術センターが標高450㍍余の津南町津南原台地にある。昭和50年開設の県の研究機関であり、その名称の通り高冷地や山間地の農業の技術面を担っている。その研究データは相当蓄積され、いまだ実証化されていない貴重なデータもあるのでは。ここを活用したい。「稼げる農業」は選挙時の宣伝公約ではない。広域連携、いま始める時だろう。

問われる議員資質と住民意識

2020.9.12

 「議会改革」、イコール「定数削減」となるが、そればかりではない。住民に選ばれ議席を得ている議員で構成する議会。その運営、議員と住民の関係性、さらに議員活動と議会活動のあり方など課題は多い。十日町市議会は来年4月末、4年の任期満了を迎える。栄村議会も来春、同様に任期満了になる。津南町議会は11月で改選1年を迎える。市町村議会は議員数の差はあるが、担う役割と責任の重さは同じだ。

 議会・議員はとかく住民の憤懣のはけ口になる。「議会は何をしているのか」、「議員は少しも住民の声を聞こうとしない」、「イエスマン議員は要らないし、シナリオ通りの議会は全然面白くない」など、巷間に伝わる茶飲み話は厳しく辛辣だ。住民目線から見ると、どれも「そうだ、そうだ」と頷ける議会の側面と現実でもある。

 十日町市議会は改選後、「議会改革特別委員会」を設けるのが通例だった。だが今議会はその特別委は設けていない、というより「必要ない」と踏み込んだ判断で設置していない。改選を1年後に控えた今春、「議員定数を考えよう」と市議から声が上がったが、その必要はないと一蹴された。

 議会改革は当然、定数問題ばかりではない。新コロナ対策では市当局との「集中質疑」があってもいい。再生可能エネルギーを掲げる十日町市。市議会は傍観者ではない。その実現性と課題・問題に共に取り組んでもよい。人口減少対策が行政施策のすべてに関係する現実を、市議会としてどう受け止め、動こうとしているのか、市民は聞きたい。

 保育園問題に直面する津南町。今議会に住民署名3300余をバックに「大規模化計画中止」を求める住民請願が出ている。すでに議会議決した町政施策に真っ向から問題提起している。栄村議会では先の村長選の火種が燻り続けている。来春の村議改選を視野に入れたカケヒキか。

 議員・議会と住民の関係性が、様々な局面で対峙している。議員資質を問われ、住民意識も問われている。

菅氏に問う、どうする「歪な社会」

2020.9.5

 なにも変わらない、そんな印象を抱く人が多いのではないか。健康理由で、再び政権の座を任期途中で退いた首相の後任選び。神輿に乗せる人を予め決め、「寄らば大樹」「思惑の一致」で群れ、多数になると見るや雪崩現象で、そのまま数の論理を推し進める、なんとも懲りない人たちだ。またも茶番劇を見せられている。14日に選ばれるであろう菅氏は、その政治姿勢に「安倍政治の継承」を掲げる。ならば、安倍政権時代の「未解決」とされる数々の問題にも、当然向き合う責務がある。

 政治の劣化で、不幸を被るのはこの狭い国に暮らすわれわれだ。農家の息子で苦労人と聞く菅氏。いまの地位に至るそのサクセスストーリーは、演歌的な情感になびくこの国の人たちにとって、ある種の共鳴感を抱くだろう。その苦労人が、ある意味で対極にある境遇で育った安倍氏を間近で見て支え、その「格差」の不条理さを感じなかったのか、大きな疑問を抱く。同時に、その格差こそ、実はこの国が直面している最大の社会問題であり、それを作り出した政治が7年8ヵ月の安倍政権そのものではないのか。

 政党政治の原点は、確かに数の論理がベースにある。だが、それを構成する有権者に選ばれた議員個々の資質があってこそ、数の論理がまかり通る。現実はどうか。「寄らば大樹」ではないのか。『群れる心理は、その弱さの証し』とも言うが、今回の自民党の総裁選は、その弱さを数で押し切ってしまおうという、悪しき慣習がまた表出した形だ。その弱さは、言うまでもなく「個の弱さ」であり、資質の劣化でもある。

 7年8ヵ月。財を増やした人もいる。雇用形態の変化で生活不安が増した人もいる。それがさらに「格差」を広げ、圧倒的な数の生活困窮者が、富を持つ限られた人たちの社会を支えているという、歪な社会構造を作っている。

 あと1年。この間に必ず総選挙がある。「明日は」、我々の掌中にある。

 

生の言葉が届かない

2020.8.29

 政治家は言葉がすべて、と言っていい。その信頼できる言葉が聞かれない不幸は、自治体に暮らす人たちの不幸だ。歴史に残る人の言葉は、自身の処世訓にしておけばよい。挨拶に引用する愚は、過去の多くの政治家が実証している。

 8月4日、34歳になった津南町・桑原悠町長の言葉が聞こえて来ない。その誕生月の下旬、「津南町にお住いの皆様へ」と郵便料金別納の印の脇に記された『ツナンタイムス』なる桑原はるか後援会発行のA4版1枚が町内全戸に郵便配達された。そこには「ツナンタイムスは、津南町長桑原はるかのこれまでの取り組みと今後の展望を町民の皆さまにお伝えするための町政報告紙です」とある。津南町外の皆さんは、津南のお知り合いに聞けば、見ることができるだろう。その報告紙の中身を取り上げたいのではない。本人の生の声を、町民は待っているのだ。

 選挙公約でもあり、町長就任の看板政策である「観光地域づくり法人DMO」の設立。今月7日、DMO設立検討委員会の初会合があった。開会冒頭、型通りの挨拶後、わずか5分で退席した桑原町長。その2回目が26日あった。検討委員から当然というべき発言があった。初回でも出た意見だ。「桑原町長の看板政策であり、DMOにより具体的にどういう津南町を作り上げようというのか、そのイメージを聞きたいし、そこを共有できないと次に進めない。具体的にどんな津南町を作り上げたいのか、しっかり描ける説明を聞きたい」。

 だが、この日の町長出席はなかった。委員は話した。「町議の時から口にしていたDMOであり、相当な思いがあるはず。なぜしっかり具体的な話をしないのか。自ら動かない限り、このDMOは成就しないだろう」。

 政治家。有権者が選ぶ人間の言葉は、相当に重く、重要だ。それが意識の共有となり、「よしっ、一緒に頑張ろう」につながる。言葉は政治家の命だ。

もっとトップ同士の話し合いを

2020.8.22

 「連携」がキーワードになって久しい。市町村行政が関わる公共政策分野では必須にもなっている。この背景にあるのが「財政難」。一つの自治体でできる事は限りある。広域連携により効率化を進め、さらに効果的な事業展開ができる。 その典型はすでに実施済みだが福祉分野の広域連携。介護度の認定事務作業、施設入所の情報共有、人材の相互交流、さらには運営母体の広域化など、本格化している高齢社会を支える屋台骨になっている福祉分野の広域連携だ。

 ここで考えたいのは、保育と教育分野。津南町が進める保育園再編整備。規模拡大により保育運営の集中を進める桑原町政。これに対し、「津南らしい自然たっぷりの保育」などを求め、保育業務・施設の集中に疑問を抱く住民グループがある。署名運動は人口の3分の1を超える3200余に。十日町市は小中学校の再編整備方針を市民に示すが、校区民の反応は懐疑的な意見が多く聞こえる。ここにも集中に対する疑問符が多く浮かんでいる。

 十日町市5万1415人、津南町9313人、6万人余のエリア。市行政、町行政は独立した自治体だが、保育・教育分野の『人を育てる』大義に市町の境界はない。行政運営における財源難を嘆くより、ここは文字通り連携を模索する時期ではないか。

 保育行政。津南に隣接の中里なかよし保育園。木を多用した施設は、これからの方向性にも通じる。運営は公設民営、運営定員にはまだ余裕がある。「保育園で友だちができ、小学校入学でバラバラになる」と不安視する親がいるが、ならば都市部の子たちは進学のたびに再編を迫られている。こうした「社会経験」が人を育てる。

 市町を超えた通園・通学。その前提は行政連携、さらにそのベースは自治体首長の意識の共有だ。トップ同士の話し合いが少なすぎる。自立は「内国主義」ではない。もっと会話を、だ。

角さんを想う

2020.8.15

 先月27日は新潟県にとって、ある意味での「記念日」。1976年・昭和51年7月27日、田中角栄氏が逮捕された。経済成長が陰りを見せ始める1970年代を象徴する「ロッキード事件」。所得倍増計画の池田隼人内閣で44歳の若さで大蔵大臣に就き、続く佐藤栄作内閣でも蔵相を続けた角さん。大蔵省への初登庁で職員を前にした初めての訓示は語り草だ。朝日新聞時代、希望して赴任した新潟支局で角さんを取材した早野透氏の著書『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』(中公新書)を引用させていただく。

 「私は小学校高等科卒業である。諸君は日本中の秀才代表であり、財政金融の専門家だ。私は素人だが、トゲの多い門松をたくさんくぐってきて、いささか仕事のコツを知っている。われと思わん者は誰でも遠慮なく大臣室に来てほしい。上司の許可を得る必要はない。できることはやる。できないことはやらない。すべての責任はこの田中角栄が背負う」

 早野氏は取材記で『魅了される官僚たち』と表現している。わずか50年ほど前、いやもう50年か。この雪国が生んだ一人の人間の言葉は、いまも色あせてあない。いや、責任という言葉があまりにも軽く扱われる今のこの国との格差を、痛感せずにはいられない。ロッキード事件での金銭の授受を最後まで認めず、衆院選16回当選の角さんは1993年・平成5年12月16日、75歳の生涯を閉じた。

 歴史に「たら・レバ」はないが、いま角さんがいたら…この新型​コロナで国中が閉塞感に陥り、民心が混乱している時、どんな言葉を発しただろうか。リーダーへの不信感が増し、それが様々な社会現象と連動し、不安が不信を増幅させ、疑心暗鬼の世情が蔓延する。リーダーの言葉の重さが、改めて大きく問われている。それは、国や県ばかりではなく、身近な市町村でも同じこと。信頼感を抱ける言葉がほしい。

新コロナ、地方自治体に財源と裁量権を

2020.8.8

 新コロナの感染拡大が続くなか、大移動「お盆シーズン」を迎える。関口市長は3日の定例会見と市あんしんメールで、桑原町長も3日、町の広報メールで感染予防の徹底を呼びかけた。『飲食を伴う多数での会食、長時間の会話は避ける』『地域外から戻った場合、人にうつすかもしれないという自覚で行動を。家庭内でもマスク着用。具合が悪くなった場合、ためらわず保健所に連絡を』『地域内での飲食・会食は業界ガイドラインを順守する飲食店で。感染予防表示の飲食店で。飲食業者は安全予防の徹底を』など、5月連休の『自粛要請』よりドーンダウンしているが、全国で感染拡大の現状を見れば、深刻度は確実に増しているといえる。

 国の「責任逃れ」が目に余る。来週は全国的な「お盆の帰省時期」。西村経済再生大臣は「国民の行動を規制するものではないが、自覚ある行動を」と控えめ。だが首都圏の若い家族が祖父母を訪問する危険性を「おじいちゃん、おばあちゃんとの食事では飛沫感染が心配」と事実上の自粛要請。一方、トップの代弁者、菅官房長官はGO Toトラベル継続を打ち出す一方で「感染予防は万全に」と自己責任論を示唆。医療関係者は「帰省は控えてほしい」と明確に発信。立場で違う言いようは、責任所在をうやむやにしている。だが、経済の落込みの危機感は強く、相当に深刻だ。

 国民1人10万円や事業者救済の給付金など、緊急的支援で国は相当なるお金を投入している。一方で、5月連休とは一変の国の不明確な態度。国の責任回避なら、地方自治体に相当なる財源を給付し、自治体裁量を増すべきだ。医療情報の全国共有は当然だが、地域事情で対応が異なり、自治体裁量で取り組める感染予防対策の財政的なバックアップが求められる。

 この夏休み、それでもGo toする人はいる。国の一律対応から自治体単位の個別対応への変化の兆しだ。地方自治体への財源委譲だ。新コロナは新たな段階に入ったようだ。

新コロナ、大切な提言、なぜ実現できない

2020.8.1

 新型コロナウイルスの感染拡大対策で、ポイントになる具体的な取り組み提言が出ている。だが、それが実現しない現実に、この国の政府の危機感の薄さを感じる。児玉龍彦・東大名誉教授の正式役職は「東京大学先端科学技術研究センターがん・代謝プロジェクト プロジェクトリーダー」。先月3日、日本記者クラブで講演した動画がアップされている。

 「なぜ、検査機器も人材も整う大学を活用しないのか。授業はオンライン、大学構内へは立ち入り禁止。大学の検査機能を使えば、すぐにでも1日数万件のPCR検査ができる。国はなぜ取り組まないのか」。児玉教授は話す。全国の保健所はオーバーワークをはるかに超える業務に直面し、すでに4ヵ月が過ぎた。この間、検査機器も人材も整うこの国の大学は、門を閉ざし続けている。

 先週のNHK日曜討論。東京都医師会・尾崎治夫会長の言葉。討論に出席の真向かいに座った加藤勝信厚労大臣に向かって放った言葉に、大臣はうなずくしかなかった。『新型コロナの専門医療機関を作るべきだ。そうすれば他の医療機関は安心して日常の医療に取り組める。いまは新コロナに対応しつつ、ガン治療に、循環器医療に、新コロナ感染を気にしながら取り組んでいるのが現状。早急に新コロナの専門医療機関を設ける必要がある』。尾崎会長は、これを感染拡大の初期から訴えている。だが、国はいまだ動かない。

 さらに、感染数を連日報じるメディア。その数値報道にも指摘が多く出ている。「感染数と同時に陽性率、PCR検査数を同時報道すべきだ」。29日、一日の感染者が全国で1千人を超えた事実は大きいが、その中身こそ、我々は知りたい。医療機関・保健所の献身的な取り組みには感謝の言葉を重ねたい。なにか、この国の取り組みは「大切な思い」が足りない。

 「時間の問題でしょう」。妻有地域への感染拡大、予防の徹底しかない。

 

農業経済も新コロナで激変か

2020.7.25

 新コロナは、農業分野も直撃している。専業・兼業とも農業所得や生活を支えるコメ農業への影響を心配する声が日ごと強まっている。「コメの消費量が激減している」。自粛生活で一般家庭のコメ消費はそれほど減少していないが、消費量が桁違いの業務用コメの消費が激減し、それが価格にも影響しかねない情勢にあるという。ここにも新コロナが色濃く影響している。

 2月から深刻度が急速に増した新型コロナウイルス感染拡大により、物流のストップ、消費動向の激変、飲食店の営業自粛など、コメ消費動向はかつてない激変にさらされた。「この3ヵ月間、すべてがストップし、食糧消費の量的な影響は計り知れない。コメもその影響を受けている。だが、ある程度の保存ができるコメの場合、その影響は今秋のコメ収穫以降になるだろう」と関係者は見る。

さらに、「いつ梅雨が明けるのか、まったく見通しができない今年の気象状況だが、日照不足は確実。今後の出穂時期にどういう気象になるか、そこが問題。例年並みの収量になると、確実にコメ余りになり、当然価格に影響する。新コロナによるコメ農業への影響はこれからだろう」。予測がつかない今後の気象状況。さらに新コロナの「第2波」など感染拡大状況も予測がつかない。春の3ヵ月のような「自粛生活」の再来となれば、影響は相当に大きく、その経済的なダメージは計り知れない。

 コメ農業は今秋の収穫状況による部分が大きく、消費減退の影響はまだ把握できない現状だ。新コロナのさらなる感染拡大によっては収穫を直撃しかねない。業務用米激減はそのまま一般主食用米に跳ね返る。主食米と同品質程度が業務用に回っている場合が多く、コメ余りで同品質の安い業務用米が一般米で流通すると、価格ダウンは避けられない状況になる。

 農業経済も例外ではない。いや、この経済激変は続くと考えるべきだろう。

「ピンチをチャンスに」、文科省の高校新学科再編

2020.7.18

 これは追い風だ、いや、ようやくか。2年後の2022年春を目標に高校学科の新設再編に取り組む文科省方針が明らかになった。高校生の7割が通う普通科は進学をめざす「寄り合い所帯」が現状で、これを、いくつかの異なる学問分野にまたがる「学際」的な学科、地域社会の課題に向き合う地域探求学科、さらに独自学科の新設など、現状の寄り合い所帯を、より目標を明確にした学科の新設再編だ。これは好機だ。十日町高校松之山分校、中高一貫校・津南中等教育学校の今後が大きな課題となっている妻有地域にあり、これを「ピンチをチャンスに」したい。

 公立高校しかない妻有地域では、その選択肢は限られ、「とりあえず進学」をめざすなら普通科となる。総合学科で「目標実現に自らカリキュラムを選択」できる十日町総合高の存在は、その内部的な改革だったが、当初目標の姿にはまだ至っていない現実がある。この総合的な学科を、より明確に、より目的意識を具体化する学科を、高校の看板に掲げる、それが今回の文科省の改革のように見える。

 松之山分校を支える地元松高支援連絡会の「独立校運動」は、まさにこれに合致する。大地の芸術祭との連携で、国内外のアーティストを講師に、芸術系高校をめざす、これこそ文科省が示す新学科への再編だろう。さらに、津南中等教育学校も同様だ。中高一貫6年間の教育。力を入れる英語教育、希望者が多い理数系、さらに国際教養など、より絞り込んだ学科新設がすぐにできる環境にある。ここは、文科省が示した新学科再編の先例モデルになる取り組みを始める時だろう。そのベースがすでにできているからだ。

 利便性に教育は関係ない。この地だから取り組める教育があり、その実証をすでに津南中等校で、松之山分校で取り組んでいる。この実現には地元行政との連携が不可欠だ。医療の連携のように、教育の連携が求められる。

津南中等・松之山分校、山間地モデルに

2020.7.11

 教育現場の主人公は、いうまでもなく学生だ。「学校問題」は、その多くが設置する責任者の価値観で論議され、当事者たる主人公は「こちらに置いておいて」と、協議の場に入れない場合が多い。県立高校の再編整備問題が新潟県の教育行政を揺らしている。「募集停止」の言葉が地元を直撃、住民不安を増幅させている。

 県立津南中等教育学校と十日町高校松之山分校。一時は共に「募集停止」方針だったが直前の「直訴」で津南中等校は「検討事項」に。一方の松之山分校は3年後、2023年募集停止を明記。地元「松高支援連絡会」は地元行政の意向を確認後、県教委への「直訴」を考えている。両校は全国的にも特徴的な要素を持つ。共通は過疎地域の高校。片や東大現役合格を輩出する新潟県トップ3の中高一貫校。片や世界的な知名度の大地の芸術祭総合ディレクター・北川フラム氏が関わる活動に取り組み、「芸術系の特色化で全国から学生を」「中学時代から一変、大きな成長」と、小規模校ながら3年間の濃い充実度を見せる。

 この両校は、人口減少・少子化が加速する全国地域のモデルではないのか。県立という財政的な裏打ちで成り立つ高校だが、この有用性は、定員割れという効率論理では図れない重要な要素を感じる。県教委が方向転換した後の県議会審議を聞くと、地域意識と枝葉論議に終始する姿は事の本質を追いやっている。両校は山間地における教育の在り方を実証している。

 「求められる人材」と民間企業はよく言う。つまり求めたい人材、それは学歴ある人材でないことは明白。就職活動時期になると企業トップは口を揃える。『雑草の逞しさ・高い問題意識』。一律的な教育では、逞しさは育たない。地理的なハンディは、人を育てる。この地に存在する意義を考えたい。勉学に向かう者は、不便さを口にしない。親の価値観が問われている。

PCR検査、求められる自治体連携

2020.7.4

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。この3ヵ月を経て、ひと山超えた、そんな雰囲気が漂うが、首都圏では拡大が続く。その首都圏から地方への人の拡散が加速度的に広まっている。第2波というより続く感染拡大、そう考えるべきだろう。そこで大きな課題は「感染しているのか、していないのか」、つまりPCR検査体制。新潟県は新たに南魚沼市など検査センターを増やす方針。だが、まだまだ不足だ。隣国韓国の検査キットをこの国は国交悪化から見向きもしていない。「安全・安心に国境はない」、まずは検査体制の相当なる充実だろう。

 十日町保健所管内のPCR検査数は、6月23日時点で94人が検査を受け、全員が陰性。感染者はいない。3週間ほどで10人余増えている。その大部分が濃厚接触者。検体採取の検査センターは十日町市が市独自でも実施しているが、現状は十日町保健所職員が新潟市の検査機関に運び、検査実施しているのが実情。国内では簡易判定できる検査キットも開発されていると聞く。ただ、大きな課題はその場で「陽性反応」が出た場合の、その後の対応だ。受け入れ病院、隔離体制、感染拡大防止策など検査結果後の処置対応が、限られた地域では困難性が伴うようだ。ここに検査体制の難しさがある。

 新十日町病院が9月11日、全体開院を迎える。ようやく新病院の誕生だ。吉嶺院長は新コロナの今後を注視している。「感染拡大が続き、魚沼エリアでも感染者が増えると、魚沼基幹病院だけでは受け入れが困難になり、協力病院である十日町病院での受け入れとなる。新病院はその体制を常に考えている」。だが、妻有地域での感染者発生は避けたい。感染拡大の当初の言葉「正しく怖れる」があるが、日常の衛生管理の徹底だろう。

 不安解消の先手は、やはり検査体制の充実。それには自治体連携が求められる。検査は「安心」に直結する。

募集停止問題、「なぜ、なぜ」の大合唱

2020.6.27

 「津南中等、募集停止」。本紙第一報は大きな反響を呼んでいる。地元や県外から「なぜ、なぜ」の連呼だ。1年前、人口9300人余の小さな町にある中高一貫校から『東大現役合格2人』は、大ニュースで全国を駆けた。さらに新潟県内の国公立進学率の昨年度実績を今春発表した。津南中等の合格率60%は県トップ3という快挙。津南中等をめぐりここ数年の活躍を見た読者は、今回の県教委方針の「募集停止」に巨大な疑問符を掲げ、なぜなぜと、大合唱の声があがる。

 厳しく表現すれば「これが花角県政の限界性か」となる。県財政の困難性を昨年度公表し、「相当なる覚悟で臨む」と、その県財政の健全化への取り組み姿勢を示した。その要因に前県政運営の実態をあげたところで、それは県民が選択した県政ともいえる。ならば、厳しい県財政で、「なにが大切なのか。花角県政はなにを守るのか」の明確な姿勢がほしい。全県的な網羅主義の県政の時代でないことは、県民は理解している。だが、守るべきもの、伸ばすべきものは明確なはずだ。それは将来を担う「人材育成」だろう。それは教育である。自明の理だ。

「義務教育最後の中学、それに続く独り立ちする高校、この期間にどれほど多くの刺激を受け、感性を磨くか、その後の人生を決める」。その6年間を用意しているのが中高一貫校の津南中等。魚沼エリアで唯一の公立一貫校だ。その津南中等が、設置責任者の新潟県も驚く実績をあげている。その教育拠点を、入学者数という効率第一主義の尺度で見ての「募集停止」はあり得ない。新潟県の将来の人材を、ここ津南中等は育てている。過言ではない。

 保護者の言葉が印象深い。「津南中等の学生は、自分たちが難関大学に入れば、あの学校へ行きたいと入学者が増えることを期待し、頑張っている」。この学校をなくすようでは、新潟県の将来は、もはや期待できない。

 

県教委方針、「反対の大合唱を」

2020.6.20

 あまりにも唐突ではないか。昨年度の新潟県内公立高校の国公立大合格率60%の県立津南中等教育学校。新潟南67%、長岡63%に次ぐ県トップ3の津南中等校の募集停止は、あまりにもショッキングだ。「まだ決まったわけではない」、その通りだが、来週25日、県会総文常任委員会で提示される「県立高校等再編整備計画(3ヵ年計画)」に示される方針だ。その唐突感と共に、県教委の姿勢に強い反発を抱く。

 17日、県教委次長と担当職員が津南町を訪れた。その次長は津南中等校開校に尽力した当時の担当者とも聞き、なんとも運命のめぐり合わせを感じる。だが現実は厳しい状況だ。5年連続の定員割れ、通学エリアが限られ、今後も志願者増加が見込めないなど県教委方針を後押しする要因はある。だが、県立高校でトップ3に入る学業実績は、そのマイナス要因を上回る『大きな存在意義』だろう。大学進学率で全国レベルの下位にある新潟県にあって、それを底上げする原動力を津南中等はしっかり担い、さらにそれを客観的な数字で実現し、これ以上はない『存在価値』を具体的に証明している。

17日の県教委の津南町への説明内容は町議会に伝えられ、地域住民の知るところとなっている。だが当事者のショックは大きい。在校生、その保護者、さらに同校卒業生、さらにさらに来期、津南中等をめざそうと志す小学6年生。その影響は計り知れない。

 ショッキングな県教委の提示に対し、地元津南町はじめ津南中等の存在意義を共有する広域エリアの連携が求められる。だが先ずは地元津南町の動きだろう。開校時の小熊牧久校長の言葉が印象深い。『所得格差が学力格差を生んではならない』。住民所得が決して高くない妻有地域。『だからこそ、国公立合格者50%以上をめざす』。掲げた目標を実現している。

 「反対運動の狼煙(のろし)」を高く掲げよう。33歳若きリーダーの出番だ。

6月議会、それぞれの事情

2020.6.13

 今月は市町村議会の6月定例会。新型コロナウイルス対策議会といえる。ならば形式的ではない議会運営を望みたい。一般質問表題を見る限り「新コロナ一色」。集中質疑で、事の本質と課題・問題点の質疑はできないのか。質問者が違うだけで当局答弁内容はほぼ同じでは、時間の浪費になりかねない。もはや通告している以上、シナリオ通りの議会運営になるが、これほど新コロナ集中議会なら、「どうするか」を議会運営委員会は考えるべきだろう。

 十日町市議会は12日開会、津南町は17日。新村長の初議会となる栄村は15日開会。今議会は新コロナ以外で、相当なる関心を呼ぶ質問や議案審議がある。十日町市議会は1面記事の通り、公式の場では初ともいえる「JR東・宮中取水ダムの改築」が質疑になる。建設から82年が経過し、100年といわれるダムなど強度コンクリート構造物の耐用年数に迫るなか、昨年10月の台風19号の大増水は過去最大といわれる。改めてダムの耐久度が問われるなかでの改築論議となる。

 一方の津南町。10日の議会全協での副町長人事の町長発言が物議を醸している。今月末任期の現副町長の「言葉」を引用した形が、当の副町長は「言っていない」。議会は混乱状態にある。保育園増築問題が尾を引く議会と町当局の関係が、さらに険悪化している。人事案件はその時の「信任投票」でもあり、19日の議会決着に関心が集まる。33歳町長の試練は続く。

 新村長の初議会となる栄村議会。一騎打ちを大差で制した新人、といっても前村長時代の教育長は、今後の4年間の施政方針で何を語るのか。人口1760人余の村、リーダーの行政センスがすべてともいえる。

 新コロナで時間が止まっていたこの3ヵ月。感染予防が日常生活に入り込むなか、住民生活に直結する市町村行政の真価が、さらに問われている。それにしてもマスクは暑苦しい。

コロナ禍が表出した価値転換、「時代の逆を行く」

2020.6.6

 社会が動き出している。だが、北九州市、さらに首都圏繁華街の感染拡大は、『1波は収束』などという状況ではないことを物語る。先週末から国道の通行量が格段に増え、沿線の道の駅など観光拠点の駐車場は平時の様子に戻りつつある。「このままでは地域経済は詰んでしまう」、事業主の声は日ごと深刻度を増しているなかでの、人を含む物流の動きだ。「不要不急」「感染しない、させない」から、『生活の総点検』の時代に入った。その一つが「暮らしの価値転換」。すでに始まっているのが『脱首都圏』。人の過密が、人の生活にどう影響するか、コロナ禍が奇しくも描き出している。

 東日本大震災後、首都圏直下型地震の発生を怖れ、人口過密の地から、地方へと転居の動きが加速した現実を、我々は目にしている。同じ価値観を今度のコロナ禍で抱く人が増えている。移住・定住の先鞭になっている地域おこし協力隊は、市町村差はあるが今も希望数の増加が続く。コロナ禍はこの動きを確実に増している。

 ここ妻有地域。大地の芸術祭に象徴されるように、里山にひろがる集落は、「3密」とは縁遠い世界。人口減少が進み、空き家が増え、生活基盤であった農地の荒廃も進む。この「住環境」はまさに『脱首都圏』の向く先だろう。都市部で暮らす若い夫婦は「子育ては自然がいっぱいの中でしたい」。コロナ禍でその思いは倍加したはずだ。

 妻有の発信の好機と捉えたい。従来型の移住・定住策は、地域の魅力度をこれでもかと強調した。だが、コロナ禍で見えてきたのは『自然の中での当たり前の生活』だろう。太陽が昇り、陽が沈む、その自然サイクルそのままの生活ができる地、それだけで充分。その地が、ここ妻有だ。

 「時代の逆を行く」。効率から非効率へ、再編から維持へ、ここにコロナ禍が描き出したキーワードがある。

新コロナ、保育園・小中学校統合 再考迫る

2020.5.30

 「新しい生活様式」を、新コロナ対応は求めている。『3密』にならない生活スタイルという。ならば、先ず取り組むべきは保育園・小中学校の現場だろう。全国で進む再編統合、新コロナはこの再考を促している。

 妻有では、十日町市で小中学校再編整備を市教委が示し、住民説明会を経て議会論議の場に入っている。だが状況は市教委が示した時と大きく様変わり、3蜜解消に分散登校や時間差授業を行い、感染予防が学校生活に影響を与えている。津南町では保育園再編統合方針が出て、町中央部の拠点保育園を増築、将来的に「1園化」をめざす。町教委が示した時と、新コロナ感染拡大予防で3密解消対応に迫られる現実となっている。

 新コロナ感染拡大の中でも、少人数の小規模校では休校措置を長引かせず、広い校舎で余裕あるスペースで授業再開した自治体もある。そこには、一律的な学校統廃合に慎重に臨み、学校の必要性と地域の将来の在り方をしっかり議論した、その結果といえる。新コロナによる「新しい生活様式」は、これまでの効率とは真逆の「非効率性」が求められる場面が多い。つまり「時代遅れが、時代のトップランナー」になった結果ともいえる。

 この先、新コロナのワクチン開発が進み、インフルエンザ対応と同程度の疾患になる可能性はあるが、今回の新コロナで感染症のさらなる実態が明らかになってきている。それは、今後も人間にとって未知なる感染症ウイルスが発生するという事実だ。興味深い研究に、海底や地層には未知なるウイルスが存在し、それが地震による津波や断層で表出し、野生生物を介して人に感染する、そんなシナリオもある。

 根本から考え直す契機だろう。コロナ禍は社会の価値観を大転換させつつある。教育現場も同様。あるべき保育園・小中学校、新コロナが示している。

 

新コロナの「真の恐怖」とは

2020.5.23

 「3蜜」(密集・密閉・密接)は、新型コロナウイルス感染拡大のキーワードになっている。これを防ぐ「新しい生活様式」が感染予防につながると、緊急事態宣言解除後、行政機関は声高に進める。これは、これまでの「共生社会・連帯社会」にとって、まさに基本中の基本となる3蜜要素を大前提にした成り立ちである。それを防ぐ、そうした状態を作らない、これはこれまでの人間社会の在り方そのものの大改革につながる、ある意味での「危機」だろう。そこに今回の新コロナがもたらす「真の恐怖」があるように感じる。

 ゴリラ研究で知られ、人間社会のありようを「動物的視点」で検証する京都大・山極寿一学長が、新聞で述べている。『人間の共感社会は、身体の共感によって得られる』。『人間は700万年の進化の歴史を通じて、身体の感覚を通じた信頼関係の輪を作ってきた。その核にあるのは家族である。身体を共有する間柄であり、日常の身体的な接触とその記憶が欠かせない。ハグをいとわず、食事やベッドを共にする』。だが、新コロナにより『それはいま禁止されている。3蜜になりかねない。これが続けば、人間にとって共に生きる力を奪われ、個人がばらばらになってしまう』。

 山極氏はこの先の社会を危惧し、大きな警鐘を鳴らす。『これからはアバター(分身)やロボットが活躍する時代だ。汚染地域や災害現場だけでなく、日常社会で私たちは生身の身体を接触させる代わりに、代替物を通じて交流するようになるかもしれない。それは信頼という原資を直接触れ合うことで作ってきた社会から、距離を保ち、ゆるやかに共鳴する社会へと移ることを意味する。それに私たちの身体や心が耐えられるかどうか』。

 新コロナの「恐怖」は、その感染力と共に派生する「求められる社会変革」にある。いまの社会を築いてきた世代から、次代を担う世代へのバトンタッチは、かなり危うい現実の中にある。

新コロナショック支援、スピード感を

2020.5.16

 「これからが本番だ」。14日、緊急事態宣言が東京や大阪など除き、多くの自治体で解除された。医療関係者、自治体関係者の言葉から、その危機感が伝わる。休業要請に応え、夜間営業を止め、営業時間短縮などに取り組んでいる飲食業関係。「これ以上続けたら、看板を下ろすかどうか、そのものを考えなくてはならない」。夜間営業や通常時間の営業再開を始める飲食店も出ている。これに連動するように、人の動きが先週10日の日曜から目立ち始め、ここ妻有地域でも日中の通行量が増えている。まさに、「これからが本番」を感じる緊急事態宣言解除だ。

 違法性がない限り、個人の行動を制限する法律は、この国にはない。今回の新コロナでは「自粛」「要請」という「お願い」の域を出ない規制措置だが、それでも4月からの人の動きは、急激に少なくなり、人であふれる渋谷、新宿の様子を映像で見ると、このお願いを聞き入れ、従っている人の多さを物語る。この傾向は全国で見られ、14日の解除につながっていると見られる。

 だが、医療関係者が訴える危機感は、まさにこの解除後のこと。「即応できるワクチン体制もなく、PCR検査が容易にできる体制もなく、感染度合を示す陽性率の公表もなく、ここで解除したら、これまで以上に拡散のスピードが増す」。人が動けば、それに伴い当然感染リスクも増し、車社会ではそのスピードは相当速く拡散する。そこの危機感を訴えている。

 大きなダメージを受けている地域経済の支援に、地元行政が動き出している。『減収50%以上は高いハードル』。国の持続化給付金の給付基準だ。1月からの月単位の減収が前年同月比で50%以上が基準。関口市長、桑原町長とも「支援する」と自治体単独での給付金創設を示唆する。まさに緊急性が求められる取り組みだ。自治体トップの主導性を住民は注視し、その実行力を期待している。

自治体トップが見せ始めた国への不信

2020.5.9

 さながら自治体トップの「力量争い」の様相だ。新型コロナウイルス感染拡大予防で国は4日、緊急事態宣言の延長を決めた。これを受ける形で都道府県、市町村のトップが「独自の取り組み」を次々と打ち出している。最たるは大阪府の吉村洋文知事の「自粛解除の基準」発表。国の先を行く判断がついに登場、といえる。緊急事態宣言の延長を決めた国は、「あとは自治体の判断」とした。ここに今の政権の限界性を見た思いだ。

 「あとは自治体の判断」。つまり、この後に起きる事態は、自治体の判断によって発生した事、よって国に責任はない、と言わんばかりの態度だ。情けない国のトップではないか。あれほど必要性が当初から言われた「PCR検査」。少ない実態をようやく認めた専門家会議。ワクチンがない新しい感染症へのアプローチの差が、ここにきて悪しき前例として具現化している。

 大阪・吉村知事が示した「自粛解除の基準」は、一つの自治体だけで事が済む問題ではないことが明白だが、吉村知事があえて発表して背景は「国への不信」だろう。その後ろには、さらに不信感を増す国民がいる。緊急事態宣言の延長後に見せる自治体トップの取り組み姿勢の違いも興味深い。だが、新型コロナウイルスの感染拡大予防は、まずは国民一人ひとりの自覚にかかっているのは、何ら変わりない。

 県立十日町病院の吉嶺院長の言葉が印象深い。『この新コロナで、大都市集中の医療体制のあり方の見直しに迫られているのも事実。妻有のような高齢化で過疎化が進む地域で、新コロナを乗り切れれば、ゼロに抑え込めれば、相当なるインパクトとして強いメッセージの発信になる』。それは『都市と田舎・過密と過疎』の構図という価値観を大きく転換させるものになる。

 医療関係者の懸命な努力に敬意を表すると共に、妻有エリアから感染者を出さない、その気概を共有したい。

迫られる対応、コロナ禍が生む「格差」

2020.5.2

 価値観の転換、社会体制の見直しまで迫る新コロナ禍だ。コロナ感染症の発症前、昨年9月、国は全国の医療機関を名指しで再編統合を示し、新潟県はそれを受ける形で11月、県立松代病院など再編統合が必要とする病院名をあげ、地元行政移管を含め方針を示し、今年9月までに一定の方針を示すように求めた。だが、このコロナ禍。その示す方針とは真逆の「地域医療の重要性」が大きく、強く表出している。

 「命の砦」。山間豪雪地の妻有地方にとって、地元の医療機関は、まさにこれだ。そこの医師はじめ医療従事者は、命の救い手であり、住民の心の拠り所でもある。「妻有地域に感染者を出さない」取り組みは、医療機関と行政・住民の三者連携で懸命の努力が続く。その医療拠点の再編を、国や県は半年前に示し、ごり押しした。いまの深刻な状況から、その論議は「実情を見ない」論点による取り組みであり、事の重要性に気づいていない、その証左だ。

 今度のコロナ禍。思わぬ展開を表出させている。高校生のネット署名が全国に広まり、全国知事会でも国会質疑でも取り上げられた『学校9月入学制』。以前から構想として何度か表出し、立ち消えになっていたが、今回の急浮上は「等しい学びの場の補償」が怪しくなり、このままでは教育格差が生じる事態になる危機感が背景にある。

 テレワークというが、その環境下にある人はできるが、それを支える多数は非正規従業員という現実は、受け入れがたい。さらに、オンライン授業の導入は、義務教育での格差を生む温床になる。県立津南中等教育学校でオンライン授業の公開取材があった。地元津南町のトップも同席したが、同じ義務教育にある町立中学校の導入はこれから。十日町市も同様。コロナ禍で教育格差を出してはならない。

 今度のコロナ感染は、格差を生む温床を様々な場面に生じさせている。非常事態、その認識が真に問われている。

そこまできている「新コロナ感染」

2020.4.25

 「陽性率56%」。先週18日のNHKスペシャルで驚くべき数字に、目を見張った。今月16日までの2週間データとして東京都・陽性率56・1%で全国トップ。埼玉17・8%、神奈川19%、千葉15・6%、そして大阪25・7%。首都圏の感染率の高さは、「すでに蔓延状態」を物語る。その首都圏には妻有出身者が相当数おられる。

 来週末からの大型連休。「どうぞ、帰省しないでください」、これが住民の思いだ。加えて観光客、「どうぞ、次の機会にお待ちしています」。この大型連休が妻有地域の最大の危機ともいえる。

 医療の最前線で感染の恐怖に直面しつつ、まさに命を懸けた献身的な取り組みを続ける医師・看護師など医療関係者への感謝は、言葉では言い尽くせない思いだ。拍手もいいだろう。言葉にしたら薄っぺらな表現しかできないが、住民は万感を込めた感謝の念を常に抱いている。皆さんが頼りです。

 あの鎌田實さんが新聞に述べていた。作家で諏訪中央病院名誉院長の鎌田医師。「感染した人に厳しい社会は、感染症に弱い社会。感染して抗体ができた人には第2波、第3波が来たときに、医療を担ったり物資を運んだりする先遣隊になってもらわないといけません」。ここに対応策の基本がある。さらに「だから、いまは必要な人は検査できるようにし、軽症者には居心地の良い場所に滞在してもらうべきだ」。感染者は次の重要な人材ということ。今度の新型コロナウイルス対応の要点だ。

 十日町市中魚沼郡医師会は今月8日、妻有地域の「危機感」を強く訴えた。本紙1面、その緊迫感が伝わるアピールだ。市町村で対策本部を設置し、臨戦態勢で職員が取り組む。この本部に専門家・医師を加え、専門的知見からの取り組みが、今後さらに求められる。新コロナは、すぐそこに来ている。

 来週からの大型連休。「最大の危機感」が、ここ妻有には求められる。

 

スマート農業、変革する現場

2020.4.18

 早い雪消えは、春耕を促している。野外の農業現場は「3密」にはならないが、準備を急ぐ農業者は「気が晴れない」という。生産者にとって、作物を作る以上に、その出荷先、売れ先が重要だ。新型コロナウイルス感染が、この先も不透明で、観光地は閑古鳥が鳴き、安定供給の学校や民間業者の休校・休業が見通せず、作った農産物が「はけない」状態を危惧する。先月から米買占めなどの情報も流れるが、その不安の要因は流通にある。人の動きが極度に制限されると、物も動かなくなる。それが続くことを、農業現場は危惧している。

 一方で、農業現場に革命的な動きがみられる。『スマート農業』。とはいえ、すでに大規模営農する秋田、千葉、さらに北海道では人工頭脳AI搭載の農業機械が、人に代わって広大な耕地を走り、夜間稼働も行う。千葉にある1枚10㌶の水田が、以前紙面に載っていたが、もはや飛行場の広さですらある。いまの技術をもってすれば、情報をインプットしたAIロボット大型トラクターが、昼夜問わず水田を走り、まさに「24時間、私、働きますから」と相当なる省力化、軽労化をしてくれる。

 こちらは、農水省の補助事業で、妻有地域に多い棚田のコメづくりに、AIやICT活用の最先端技術で、非効率の代名詞となる中山間地農業の「明日の姿」を模索する。中条の山間地・三ヶ地区での実証事業は、大手ゼネコン鹿島が主導する。地元ふれあいファーム三ヶ村の中島弘智理事は、大先輩の地域の人たちと、あと何年一緒にできるのか、不安だ。今回の実証事業で「限られた人たちでもできる持続できる山間地農業、棚田米づくりのモデルを作り上げたい」。地域農業は、規模拡大と並行して中山間地農業の維持が不可欠だ。それが人口減少を食い止める。

 早い雪消え。新型ウイルス。だが、季節は廻っている。

自粛を促す「安心」が必要

2020.4.11

 「リーマンショックを上回る緊急経済対策を打ち出す」。新型コロナウイルス感染拡大で地域経済が大打撃を受け、生活の命に関わる影響度が増しているなか、この国のトップは『国難』と表し、この言葉を繰り返している。出てきたものは「不公平感」極まりない内容だ。

 「減収世帯には30万円の現金給付」「売上減少の個人事業主には100万円給付」「中小法人企業には200万円給付」、さらに「無利子・無担保の融資」という。一方、大企業には日本政策投資銀行の「特定投資業務」を活用し出資するという。これはおかしい。

 無利子・無担保融資は借入金であり、返済を求められる。出資は返済の必要がない。その出資規模は4000億円になる見通しという。この国を支える民間企業で、これだけの「対応の差」をつける政権とは、どこを向いて政治をしているのか。どでかい疑問符をぶつけたい。

 感染拡大の予防に、国は「8割減」を7日から繰り返し広報している。人から人へと感染する新型コロナウイルス。日常生活において、人と会う事を8割減らしてほしい、ということ。業務内容にもよるが地域経済を支える民間営業職は、人に会うのが業務。そこを8割減らせとは、死活問題である。

 ならば、それを補う補償をセットで発信すべきだ。30万円給付も、個人事業主100万円給付も、中小企業200万円給付も、その給付基準とその根拠資料など詳細はこれからだ。

 「国難」と表現するなら、ここは造幣局の出番だろう。国民一律の給付、それも諸外国を上回る現金給付にすべきだ。その金はどこに?造幣局にある。インフレを心配するが、この状況下では無用の心配だ。不公平感があるから不安を抱き人は動く。人が動くことで感染を広げる。

 対策は急を要す。自粛を促す「安心」が強く求められる。

『ピンチはチャンス』にしたい

2020.4.4

 地域経済を直撃する新型コロナウイルス。最優先は感染拡大の防止。だが、すべての分野で自粛が進み、影響度の数字が積み重なる。妻有地域の大きな誘客要素で、観光宿泊の拠点でもあるニュー・グリーンピア津南が4月の1ヵ月間休業を決めた。6百人余の宿泊規模は地域で最大。3月14日に予定した全国人気のスカイランタンは、参加チケットが毎回完売の人気で、今回もグリーンピアは早々に予約で埋まり、キャンセル待ち状態だった。感染拡大予防で中止になり、その日だけで1万人余の来場がすべてゼロ。3月までの相次ぐキャンセルで相当なる影響を受けている。経営のピンチである。だが休業は、そのピンチをチャンスに変える術を考える時間ともいえる。

 妻有地域の飲食業はどこも大きな影響を受け、相当なるダメージがこれからも続くと、維持そのものさえ危うくなる。十日町商工会議所と地元5商工会は緊急情報交換会を開き、事態把握に乗り出している。今後、国が打ち出す緊急経済対策を受け、市行政と連携して「この窮地を乗り切る」取り組み準備を進める。まさに、「その時のために、いまから」が合言葉だ。

 グリーンピアの『ピンチはチャンス』は、今回影響を受けるすべての業種にもいえる。地元観光関係者の言葉が印象深い。『4、5、6月の3ヵ月休業し、その間に施設修繕と新たな営業戦略に取り組む時間にできる』。施設修繕の資金も課題だが、この時間をどう活用するか、そこにポイントがある。休業や社員の自宅待機など、経営者にとって厳しい春を迎えているが、手をこまねいてはいられない。

 とはいえ、人が動かないと経済も動かないのが地域経済の原則。近く国は「リーマンショックを上回る緊急経済対策」を打ち出すという。市町村行政はそれに連動して、次の一手を打つようだ。『ピンチはチャンス』にしたい。

動き始めた林業ビジネス

2020.3.28

 

 「林業に対する考え方が変わってきている。追い風だが責任が伴う」。追い風とはー。全国森林組合連合会・村松二郎会長、「皆さんに伝えたい事がたくさんありますが、このご時世です」。21日の十日町地域森林組合総代会で短縮の来賓挨拶。追い風は、昨年度導入の「森林環境税」に伴い市町村に交付される「森林環境譲与税」。新年度は前年の倍額が見込まれ、4年後、十日町市は4千万円を超えるという。

 ただ、「森林環境譲与税の交付金は、森林組合に直接入るものではなく、これによって経営が楽になるわけではない」。全国の森林組合624のトップに立つ村松会長は、ゆきぐに森林組合長であり、前職は新潟県議として県行政と市町村をつなぎ、中山間地域事情をよく知る。この交付金、森組経営の改善に直結はしないが、そこには「ビジネスチャンス」が内在している。

 林業は、常に優先順が後に押しやられてきた業界。住宅建材は安価な外材に押され、国や県が国産材使用を呼びかけても、なかなか需要が広がらない。そのなか導入の森林環境税。世界の流れは「環境」。16歳高校生、グレタさんの活動が世界を動かしている。CO2排出削減は人の営みに直結するが、CO2吸収効果の森林整備への着眼が新たな交付金を生み出している。

 国は、森林整備を進める森組など事業体に対し「森林経営計画」を求めている。森の整備に伴い求められるのが森林所有者の明確化、つまり国調「国土調査」。ただ山林地帯の国調は容易ではない。ドローン導入も検討にあがる。国調、十日町市は手つかず状態。津南町は終了している。森林整備に求められる森林経営計画は地元行政の承認が必要。そこで初めて間伐事業に取り組むことができる。十日町地域は林材供給100万㌧といわれる「資源の宝庫」でもある。

 林業は大きな局面を迎えている。木質バイオマス発電の供給源でもある。林業ビジネスが動き始めているが…。

妻有で見える人材たち

2020.3.21

 妻有エリアの県立高校から今春、616人が学び舎を後にした。多数が地域外での生活を来月からスタートする。だが、なんとも「気が晴れない」春のスタートだ。その主因は新型コロナウイルス。向かい受ける社会は、いつもと違う風景だ。地域の停滞感は深刻度を増し、連動して地域経済への影響が増している。その地域に新たな人材が見えているのは、この地域の近い未来の期待感であるだろう。

 起業家の動きが地域の活力になっており、そこに地域の未来を見る事ができる。地ビール(クラフトビール)の世界に、新たに挑む30代の幼馴染2人は、十日町市内の空き店舗を活用し起業する。それもAI(人工知能)やICT(情報通信技術)を活用し、自社製品と共に小規模メーカーを支援するなど、従来型の単一的な事業から多角的な事業を複合的に取り組むビジネスに挑む。頼もしき人材の登場である。それは共に32歳の岩田貴之さんと樋口啓太さん。若き感性だ。

 こちらは清酒。酒造は発酵分野でもある。伝統の造り酒屋に新規参入したのは「微細藻類・ミドリムシ(ユーグレナ)」によりバイオ技術でジェット燃料を創出した鈴木健吾氏も30代。津南醸造の筆頭株主となり、株式会社ユーグレナの管理職が津南醸造役員に入り、事実上のユーグレナ系列の酒造会社になっている。ユーグレナはミドリムシの学名で、その社名がそのまま事業ビジネスになっている。世界中が問題視するプラスチック分野も研究し、自然界に影響しないバイオプラスチック原料になるコハク酸の生産に、ミドリムシのバイオ技術で取り組み、業界の注目を集めている。

 新型コロナウイルス感染拡大を懸念し、あらゆる分野の自粛・縮小・中止で影響を受ける地域経済・産業界だが、キーパーソンの存在が地域を動かし、業績を上げている。新型コロナ騒動、それでも世界は動いている。

やって来る「その時」のために

2020.3.14

 「その時」は新型コロナウイルス感染が妻有地域で発症した、その時ではない。感染が収束した、その時である。

 いま、地域経済は完全に止まっている、というより沈下し続けている。人に関係する営業活動を生業とする事業経営者にとって、死活問題化しつつある現実が、目の前で進行し、日々の数字は落ちるばかり。国の支援策は「無利子・無担保」、これに無期限が加わればいいのだが、借入金に変わりない。すでに都市部では「白旗」をあげる事業者が出始めている。地域の経営者は語る。「タイリョク勝負、耐える力の勝負だね」。先が見えない耐力勝負だ。

 記録的な少雪の冬が明けつつある。早くも耕地が顔を出し、季節到来を促している。この地の基幹産業は「農」。耕地の雪は消えつつあるが、地域の農業スケジュールは、そう簡単に前倒しできない。だが、この「早い春」を経済に結び付けられないか、考えたい。それが「その時」のビジネスチャンスにつながるはずだ。

 感染拡大の収束が立っていない。だが、必ず収束があることを考えると、いまは、抑圧されていたエネルギーが一挙に解放される「その時」に備える時ともいえる。新型コロナ感染拡大を踏まえた開催の可否が、いまだ正式決定していない東京五輪だが、解き放されたエネルギーはいっきょに五輪景気に雪崩のごとく流れ込むだろう。いまの「静寂の時間」は、その準備時間といえる。

 では、いま何ができるのか。抑制の中で膨らむエネルギーが解かれた時、いっきに世界中に流れ出るだろう。それは情報であり、物流であり、人であり、マネーだろう。

 「農」、つまり食への関心も、その時の高まりの一つになる。魚沼米の産地、地酒、高原野菜、そして水。「その時」に備え、トータル的な戦略を、この時にこそ立てておくべきだろう。いまの時間をどう使うか、そこが知恵だ。

万一の場合どうするか、それが対策

2020.3.7

 『感染クライシス(危機)』。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。人の往来が増す時期に加え、卒業式シーズン。人と人が顔を合わす機会が多い3月、それだけに住民不安が広がる。懸念を少しでも払拭したいと行催事の中止・延期、人が集まる施設使用の中止が日ごと数を増している。どう防ぐのか、防げるのか、先ずは、日常生活で当たり前のことだが『手洗い・うがい・せき予防』の衛生管理だろう。

 この事態に対し国のトップは『号令一下』し、小中高校の一斉休業の要請を打ち出し、多くの自治体は従い、小中高校の休業を、それも事実上は新学期までの休校を決めている。さらに今度は『異常事態宣言』という。危機感は理解できるが、中身を見ると新型インフルエンザ等特措法で即対応できるもの。加えて、これまでの国政姿勢から疑心暗鬼になる国民は多い。こうした時、その素性が表出する。

 地方自治が生きている所もある。栃木・茂木町は一斉休校を取りやめ、授業を再開している。古口達也町長は「保護者の事情を考えると、学童保育の需要は高くなる。それなら学校で通常授業をしたほうが健康面、安全面で良い」と、教育委員会や町議、地元産業界などと協議し休校取りやめを決め、町内に通知した。この背景には、核家族化による共働き世帯が増え、休校による学童保育を利用する家庭が増えるため、それなら学校生活の方が衛生面、時間の管理など規則的な生活ができ、精神面や生活面の安定・安心が図られると考え、行政判断で休校を取りやめた。地方自治を見る思いだ。

 感染拡大をどう防ぐか。「家から出ない」「人と会わない」、そうした極論が出ることを懸念する。健康を害す最たる要因だが、他に防ぐ策がないのも事実。市町村は対策本部を立ち上げた。この地で感染者が発生した場合の対応、それを先ず住民に示してほしい。その心づもりが、対策を作り出す。

いまこそ、知恵出しの時

2020.2.29

 「子どもたちのために」。思いは同じなのだろう。子の親である保護者、その親の親の世代。立場立場で思いが交錯し、価値観の違いが表出。三者的に見ると「対立」している構図。その狭間にいる行政。こんな状態が、いまの津南町の保育園再編問題か。27日開会した新年度予算議会。その中に、町中央部の保育園増築の設計委託料が予算されている。「保育園再編は現場の管理化を強めるだけ」、「保育士不足による待機児童解消には再編が必要」。その論議の場、議会審議が始まった。ここは議会・議員の文字通り資質が問われ、同時に行政の執行責任が問われる。

 統合再編問題は、学校統合の場で住民感情と共に常に表出する。いま十日町市はその渦中にある。中学校統合ですでに『学校を考える会』が中学校校区で立ちあがっている地域があり、市教育委員会は、住民理解を求める術を探り、何度も説明会を持ち、事の本質の重要性を話す。だが、住民論理との距離は埋まらない。いや、「求められる人材を育てるためにも、地域の子たちを地域全体で育てることこそ重要」と、行政事情による一律的な統廃合に、大きな疑問符を投げかけている。

 津南町の保育園再編は、年間50人弱の出生数、未満児入所の増加、対応する保育士不足、定員以下の保育園、さらに園舎設備の不備、そして町財政の現状。これが相互に関係しながら、同じテーブルで論議している。当然、直接の親の価値観、その親の親世代の価値観は異なる。その端的な言葉が『時代は変わっている』と話す子育て中の親たち。親の親世代の「子育て論」の価値観とは、時代が違う…という。

 行政の住民第一は言うまでもない。行政の政策判断の賛否を示すのが議会・議員。今回の論議の過程で『両者が満足できる方策を、もっと探る必要がある』の声が出ている。この道しかないのか。保育の広域連携、民間力の活用など、まさに知恵の出し時である。

 

混迷する住民と行政、そして議会

2020.2.22

 民意と行政。その価値観のぶつかり合いが議会とすれば、議員の存在意義は地域代表・住民代表となり、いわゆる代弁者だ。だが、議員個々の資質による価値観の場となると「議会と行政は両輪」となる。十日町市では小中学校の統合再編、津南町では保育園の再編。3月定例議会でも、その論議が交わされる。価値観と価値観のぶつかり合い、それを賛否で決着をつけることの困難性は、議会の歴史が幾度となく経験し、その痕跡を残している。過去に学ぶか、未来を創るか、今回の議会も、その価値観の真っ向勝負となる。

 保育園再編。十日町市は保育園再編統合と平行し、というより民間委託に力点を置き、保育行政を進めている。一方で未満児保育、病児病後児保育など、民間経営では難しい課題を持つ分野は行政が受け持ち、一般的な保育業務は民間委託を進めている。この後を追うように課題・難題に直面しているのが津南町。6園体制が4月から5園になる。さらに中央の拠点保育園を増築して3園体制にしたい、と行政は取り組む。この間、「こども園構想」も議員から出たが、検討する余地もない、それがいまの町議会の雰囲気。運営主体が行政以外なら、新築増改築のこども園建設に国は補助金を出すという。 

十日町市の民間委託には社会福祉法人が保育園運営に乗り出している。先例は身近にあり、津南町が直面する保育園再編論議の根本的な課題も、隣の十日町市の過去事例が物語っている。

 小中学校再編統合。十日町市は伝統的に「統廃合は無理に進めない」方針。だが今回の5年先、10年先の方針に、地元から懐疑の声、動きが多く見られる。『機が熟していない』、端的なその証左だろう。教育論・子育て論は、その視点によって違うが、多くが正論ともいえる。だが、行財政が伴う小中学校再編は別次元の論議だ。それを一つのテーブルで論議する、それには無理がある。別テーブルが必要だろう。

伝統の雪まつり、次の展開を

2020.2.15

 どうなることやら…。観測史上初も過言ではない今冬1月の少雪。2月に入り、「お待たせいたしましたー」と言わんばかりに、節分寒波で積雪となり、新たなスタートとなる第71回十日町雪まつりは、メイン会場の変更など軌道修正はあるが、計画通り開幕だ。

 「ここは雪国人の心意気をみせたい」。長年、見事な雪像を仕上げる「雪像職人」。真冬の1月というのに地肌が出ていた下旬、防寒着を必要としない陽気のなかでの立ち話の言葉。毎年「雪の芸術」に参加する多くの雪像職人たちは、同じ思いだっただろう。これまで田んぼの雪原でみごとな雪像を製作したグループは、今回はさすがに積雪が少なすぎ、重機が入れない田んぼの雪原での雪像はあきらめた。だが、その熱き思いは来年につながる。

 「雪国の宿命」。4ヵ月近く雪に閉ざされるこの地にあって、「冬を楽しもう、雪を楽しもう」と、雪まつりを立ち上げた70年余前の十日町織物業界の青年たちは、まさにフロンティアー。メンバーのひとり瀧澤榮輔さん、20代の頃。雪まつりの語り部、93歳ながら熱き思いは健在だ。当時の記録写真は、本町通りで雪まつりを見守り記録した山内写真館。十日町情報館でデジタル化した記録画像が見られる。そこから感じるエネルギーは、いまも生きている。

 70年の歴史と伝統。地域のあるゆる分野において相当なる蓄積があるだろう。それが地域経済にどう結び付いて、いまに至っているかだろう。観光要素が強い雪まつり。これまでの最大の誘客要素は雪上カーニバルだった。今回は「脱カーニバル」のスタートの年。 

 ならば、世界的な知名度になった「大地の芸術祭」との連携を考えたい。まさに雪の芸術祭。国内外の美大、アーティストが『テーマ 雪』で作品展開する。融けてなくなる雪、その「具象から抽象になる世界」を見てみたい。ありえない雪の世界が見られるだろう。雪国は、それだけで個性だ。

小中校統合と保育園再編と地方創生

2020.2.8

 「地方制度調査会」。あの平成の合併が全国的な騒動になる少し前、地方制度調査会の名が全国を駆け巡った。基礎自治体という「ご都合主義の産物」と共に、市町村合併がいかに必要か、合併効果を列挙し、具体的な線引きまで登場し、合併への世論喚起にやっきになった。その地方制度調査会が昨年末、地方の小規模市町村の関心を集めた。東京一極集中に対抗する新たな「圏域」づくりを提言した。

 「政令市や県庁所在市といった地方の中核都市を重点支援し、そこを軸に圏域行政を強化する」とする政府方針を後押しする取り組み方針を示した。それは中核都市を「人口のダム」にして、東京一極集中を抑え、全国的には人口減でも圏域単位で行政を維持するという新たな「中核的な広域行政」を打ち出した。

 当然、小規模市町村から反発が出た。全国町村会は「地域の多様性で新しい価値を生むのが豊かな国。霞が関に町村の現場が本当に分かるのか」と痛烈なる訴えがあった。全国市長会も「地域でのミニ一極集中につながる。小規模自治体を切り捨てる重大な問題をはらんでいる」と。大都市・東京への一極集中と同じ構図を、地方の中核都市に作り出し、「行政効率を上げる」という、これまでと同じ「国のご都合主義」が見える。この背景には、地方交付税など地方財源対策での都市と地方の確執を抑える手法の限界性が、そこに見えているからだろう。

 その小規模自治体で進む小中学校の再編統合、さらに保育園の再編。多様性を求め、個性を尊重する幼少教育を掲げる自治体が、再編・統合を打ち出し、住民間の混乱を招いている。国が地方創生を掲げるのと同様に、市町村は中心部以外の周辺部の創生に取り組むべきが、求められる行政ではないのか。限られた財源、その取り組みで生まれる価値観は、確実に新たな人を呼び寄せる資源になり財産になる。

雪国経済、根本から考える時

2020.2.1

 異常なのか、異変なのか。明らかな気候変動が地球規模で起こっていることは間違いない。この週末、久々の寒波がやって来ている。予報では大きな雪マークだ。「雪室」が「ただの倉庫」になっては、その価値は半減どころが、期待した付加価値は全くない。それはオーバーだろうと批評も聞こえるが、「雪の争奪戦」はまんざら誇大表現ではないだろう。冬期間、ここ妻有地域は雪による恩恵が、この4ヵ月の経済を支えている。「雪国経済」からその雪の活用ができないと、根本から「冬の地域経済」を考えなくてはならない。

 その最たるものは、妻有地域の基幹産業である「農」に関わる生業だろう。「妻有農業はこの4ヵ月は冬眠の時期」になっている。秋収穫の魚沼米は、貯蔵による適時出荷で、翌春の営農へのつなぎになっている。この間、多額投資した農業機械の多くは、まさに冬眠中。その主要因は畑作営農が、冬は出来ないという妻有地域の宿命がある。ならば施設園芸は…となると、例年2㍍余の雪が大きな障壁になっている現実がある。

 ここは、知恵の出しどころだろう。新幹線で「国境のトンネル」を抜けると、快晴の群馬に出る。畑が広がる。ここに目を付けた農業者がいた。過去形だが、いまも続いていると期待するが、この快晴の群馬の耕地を借り、妻有の地から「通勤農業」を行っていた農業者がいた。冬場の低温の中での農業であり、おのずと取り組む農作物は限られていただろうが、軽トラで通い農業をしていた。冬期間使わない農業機械が、ここで元気に活躍する。

 さらに今後の可能性では、遊休施設の活用だろう。今後、さらに増える教育施設、特に学校校舎の活用を考えたい。すでに利活用する事例は多いが、そのネックは「採算性」のようだ。ここは「逆転の発想」を求めたい。「知恵出し会議」、それも従来の価値観に捉われない発送が、必ずあるはずだ。

生きている「古賀発言」

2020.1.25

 道路族の首領、元衆院・古賀誠氏の言葉は「生きている」と感じた。2017年11月25日、上越魚沼快速道・八箇峠道路開通式に出席し、テープカット後、クロステンでの祝賀会で挨拶に立った古賀氏。「あと5年。私に許された時を刻む歳月だ。5年でやりましょう」。地元へのリップサービスと聴衆から笑いと拍手が起こったが、最前列に座った国交省や県幹部の表情は、「えっ」と驚きの表情だった。それは『指示命令』に等しいから。

 この場面がよぎったのは22日、同じ会場クロステンで開いた十日町商工会議所の年賀交歓会。祝宴前のステージには古賀氏の影響下にある元建設省道路局長を務めた参院・佐藤信秋氏、地元出身の水落敏栄参院の姿があった。主催の西方勝一郎会頭は経営者に求められる『鳥の目、虫の目、魚の目』の持論を述べ、「上沼道・十日町道路の国直轄の実現は、十日町商議所70周年の今年、大きな意義がある」と経済界としての取り組みを促した。

 佐藤氏、水落氏とも十日町道路に触れた。「古賀さんは5年でやってくれと言っている。620億円、毎年100億円で6年ちょっとだ」。地元へのリップとも取れるが、この『古賀発言』は実は国レベルで相当なる影響力を広げているように感じる。それは、原発政策の要が安全性と共に「万一の場合の避難道路の確保」に傾注している現実がある。世界的に最大級の発電力を持つ柏崎刈羽原発の事故想定で、避難路で有力視されるルートの一つが「上沼道」。国交省長岡国道事務所が公表したルートで、新たに国道117号接続でハーフインターを設けている。すぐ先の信濃川寄りに十日町インターを設置するが、国道直結の必要性を考えた対応だろう。ここにも影響力を感じる。

 古賀発言を単なるリップサービスと取るか、早期実現のステップと取るか。地元運動のベースになる。巨費投資の道路整備だが、優先度がモノをいう。

 

嘆いても始まらない雪国経済

2020.1.18

 雪国経済がストップしている。一般民家の屋根除雪を毎年担当する地元建築業者は嘆く。「この3ヵ月の除雪収入は、春からの運転資金になる。仕事がない職人も、この3ヵ月の除雪の手間賃は大きい。なんとも、生き殺しだな」。

 まさに記録的な少雪だ。15日夜、久々の「降りっぷり」だったが、翌日には晴れあがり、薄化粧した妻有地域は、白一色になったが、その雪は20㌢、いや平地は10㌢余。今月20日は大寒。それにしては気温が高すぎる。これでは雪になる雨も、雨のままこの地に降るだけだ。

 来月14日の十日町雪まつりから、ここ雪国・妻有の地ではほぼ毎週のように3月末まで雪関連のイベントが行われる。並行してスキー大会も行われるが、国際スキー連盟FIS公認の吉田クロスカントリースキーコースは、練習さえできない状態だ。一方で、思わぬ入込みになっている場もある。中里・清津スキー場は北向き斜面が幸いし、適度な積雪でスキーが可能。山の向こう南魚沼エリアのスキー場が滑走できないため、宿泊所から清津スキー場通いが相当あるとも聞く。ニュー・グリーンピア津南も滑走可能で、3月末までのスキー修学旅行の団体が順調に入っている。だが、年末年始の雪不足でのキャンセル被害が千5百万円ほど出て、今期の業績への影響が懸念される。

 だが、嘆いてばかりいられない。温暖化でさらに雪が降りにくくなるかと思えば、研究者のシミュレーションでは、日本海側の山間地は、降る時はこれまで以上に大雪になるという。だが、それがいつ降るかは分からず、降り続けると相当量が降ると言われる。一方で、降らない時は今冬のように「記録的な少雪」になるようだ。なんとも、天の「いたずら」である。

 停滞する雪国経済。この積雪期の約4ヵ月。農業分野の手立てを考える時だ。「トオコン・冬の農業」をテーマに、斬新なアイデアを募ってはどうか。

「人」が「ヒト」になっている

2020.1.11

 動き始めたら止まらないのが政局。新年早々、各界の挨拶は東京五輪で始まり、「準備を怠らないように」と政治の話で締められている。衆院選が今年後半、濃厚といわれる。ここ妻有エリアは上越地域と共に新潟6区。この立ち位置がしっくりこないのは、人の交流、物資の交流、経済の交流がそちらを向いていないからだろう。魚沼圏という表現は、最近特に強まり、魚沼医療圏、特産の魚沼コシヒカリなど、その政治地図とは裏腹に南魚沼エリアとの連携が強く、このつながりはこれからさらに太くなるだろう。考え時、ではないかと感じてしまう。

 選挙区変更は、そう簡単ではない。区割りを変更したところで、地域代表の政治家の問題がある。衆院小選挙区の代表が、必ずしも比例区や参院選挙区選出より優位にあるわけでもない。国の政治基盤を固める多くが衆院小選挙区代表となっている以上、そうではないと声高に訴えても、その実情は変わらない。だが…と疑問符が湧くのは、その代表の評価だろう。

 新潟選出の政治家は、常に「田中角栄」と比較される宿命にある。県民・有権者は、そうした視点で代表といわれる代議士を見て、角さんなら…と比較視する。当然と言えば当然だ。それだけ田中角栄氏は、新潟のために、困窮する雪国人のために、心血を注いだ人だ。では、なぜいま、そうした人材が育たないのか、である。

 その底流にあるのは、「この地に生きる」気概だろう。この雪国の地で、黙々と厳しい風土と向き合い、寡黙なまでに生きる人たちがいる。時代は、労苦がそのまま経済に結び付いた時代から「金が金を生む・マネーゲーム」がさらに色濃く、IT業種・インターネット関連事業が時代の花形になっている。

 意思を込めた漢字の「人」が、文字さえ不要の記号化した「ヒト」になっている。角さんの人間臭さが恋しいのは、時代のせいばかりではない。

東京五輪、「雪」で妻有発信を

2020.1.4

 2020。区切りのいい数字が並ぶ年がスタートした。今年のビッグイベントは東京オリンピック・パラリンピック。6月5、6日、新潟県内を聖火リレーが走り、5日は十日町市段十ろうスタートで2・41㌔、14人の公募ランナーが市博物館までつなぎ、南魚沼市に引き渡す。 真夏の五輪になるが、注目はマラソン・服部勇馬選手。だが、その会場は北海道になってしまった。よしっ、応援に行こうと旅行バッグを背負ってみても、簡単には行けない所。だが、雪国が育てた服部選手の活躍を、期待し応援したい。

 インバウンド・外国から観光などでの訪日者は、今年は五輪効果もあり4千万人を超える見通し。全国の都道府県、市町村の思いは同じだろう。「発信の絶好のチャンス」。課題も共通している。どう特色を、オリジナル性を出すか。ここ妻有の世界的な特性をあげるなら『雪』だろう。だが、真夏、その雪は望めない。いや、ここに大きなヒントがあるように感じる。

 お隣り南魚沼市は暑さ対策に「雪冷房シート」を開発し、五輪対応グッズに名乗りを上げている。豪雪地の十日町市、津南町、さらに栄村。この世界的な特性をどう活用するか、今冬がその場であろう。雪の保存技術は、津南町にある新潟県高冷地農業技術センターで取り組んでいる相当なる研究データがある。その活用も一つだ。

 「雪ダム」という表現は、無雪地の人には理解できない情景。これも世界に発信できる「究極のエコ・エネルギー」。あのグレタさんに届けたい妻有情報だ。真夏に雪エネルギー活用の「エコ社会」は、地球規模で進む温暖化への、大きな環境メッセージである。グレタさんを、この地に招く…。実現性を探る価値はある。

 情報は、一過性の要素があるが、その波及効果を考えると、この「雪」は大きな要素だ。東京五輪、妻有の情報発信は『雪』だ。

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