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妻有リポート

2020年5月23日(土)

 

感染予防の防護ガウンを手作りする十日町福祉会職員

「会えない」、福祉現場直撃

新型コロナ 感染予防で面会規制、「孤立化懸念」

 新型コロナウイルスの感染拡大は福祉現場にも大きな影響を与えている。地域の生活保護世帯や母子父子世帯、身体障がい者世帯など「社会的な弱者」を定期訪問し、支援や見守りを行う民生児童委員の訪問活動も制約されている。さらに福祉施設入所者と「成年後見人」契約する社会福祉士などは、感染予防で施設での面会ができず電話確認だけになるなど、大きな制約を受けている。成年後見人を受ける社会福祉士のひとりは実情と思いを話す。「なによりもご本人の健康状態が心配。顔を見れば、その時の様子や状態が分かりますが、電話では声の様子だけ。なにかあった時に、本人の意思確認が必要ですから、会えないのはとても困ります」。新コロナの感染予防は、社会的に弱い立場にある生活者の生活環境をさらに弱体化している。福祉関係者は「孤立化が心配。早く顔と顔を合わせ、話せるようになることを願うばかりです」と心配は尽きない。

 

    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 NPO法人「十いろ(といろ)」理事長の髙橋愛さん(46)は、福祉施設に入居する成年後見の依頼者と毎月一度、2月までは必ず顔を合わせていた。新コロナ感染拡大が進んだ3月からは福祉施設が面会禁止。直接面談ができず施設に電話を入れ、その方の様子を聞くだけになっている。「面会禁止は厚労省方針なので仕方ないですが、会えないと心配がつきません」。松之山・不老閣は面会禁止対策でインターネット活用の「オンライン面会」に取り組んでいるが、他の福祉施設までは浸透していない。

 成年後見人となる髙橋さんは、社会福祉士や精神保健福祉士、介護支援専門員などの資格のほか終活カウンセラーも務め、身寄りがなく親族がいない方から「成年後見人」を依頼されることが多い。新コロナ前は依頼者と毎月1回必ず顔を合わせて面談し、世間話を通じて健康状態などを把握してきた。だが、新コロナでその活動が大きく制約されている。

 顔を合わせる直接面談の重要性を話す髙橋さん。「会えば表情などで具合が分かります。依頼者の方も私が会いに行くのを楽しみしています。親族がいない、身寄りがないから後見人を依頼するわけです。面会禁止はご本人にとっても精神安定上、決して良くないことです」。80代など20人ほどの後見人を5年ほど前から受けている。「とにかく早く面会できるようになってほしいです」。

民生児童委員、訪問できず

 一方、民生児童委員も新コロナ感染拡大で担当する世帯訪問ができない状態が続く。津南町は39人の民生児童委員が地区を担当し、十数世帯から2百余世帯を定期訪問している。その全体組織・民生児童委員協議会は毎月例会を開くと共に、毎月一度は担当地域の受け持ち世帯を訪問。だが新コロナの感染拡大で3月から例会も定期訪問もできなくなり、電話連絡での活動になっている。事務局の役場からも文書通知で、顔を合わせる会合ができない状態だ。

 津南町民生児童委員11期目の樋口喜春会長(68)は新潟県協議会役員も務める。「全国の協議会から新コロナの感染拡大後、6月末まで訪問活動と会議の見合わせが出ており、7月に例会を予定している。それぞれ委員が担当世帯への電話連絡や近所で様子を見たりなどしているが、ご本人と直接会えないのが一番の心配になっている。特に健康状態や精神状態など、電話では分からないから」と活動の制約による影響を懸念する。十日町市も同様で民生児童委員160人が訪問活動を行い、栄村でも12人が活動するが、新コロナで活動制約されている。

職員の感染懸念、介護帰郷の対応も

 福祉施設運営側も大きな影響を受ける。社会福祉法人十日町福祉会常務理事の松村実さん(61)は、入所者と家族の面会要望に応えられない心情を語る。「施設の玄関で『連れ合いに合わせてくれ』と入所する妻を思う夫の声に応えてやれず本当にせつない。感染予防のためではあるが…」と苦しい心境を話す。

 緊急事態宣言の解除後も全国福祉施設の協議会は『感染予防で引き続き面会を見合わせる』とする通知を出している。ただ施設のよっては「短時間面会・人数制限」などで入所者と家族面会を行う施設もある。十日町福祉会も時間や人数制限で面会を実施している。

 松村さんは家族の思いを受け止める。「連れ合いに会いたい、大切な家族と会いたいなど、切実な声になんとか応えたいと時間制限と人数制限で対応している」。だが障がい者施設の知的障がい者は事情がまた違うという。「家に帰りたいと言う入所者と、ご本人に会いたい家族。要求に応えられないと精神的に不安定になり不安症状が出る。検温や外出自粛など条件付きで一時帰宅・外泊を許可しているが、個々の事情への対応は難しい場面が多い」とする。

 さらに在宅介護活動はさらに深刻だ。こんなケースがあった。訪問職員が利用者方を訪ねると、家族から熱が3日間続いていると言われた。介護者の娘が東京から介護帰郷していたことが分かり、結局その訪問職員は万一の場合を考え2週間休ませた。その家族はPCR検査を受け、陰性が判明したが、訪問要請に応えるリスクの大きさを物語る事例だ。

 このため十日町福祉会では、品薄の防護衛生用具を職員が自前で作成している。防護ガウンも手作りし既存のビニール手袋使用など衛生用品不足に対応するため職員が手づくりしている。

 今後、妻有エリアでの感染者発生や感染拡大の第2波を想定した対応が求められる福祉現場だ。不足する衛生用品の整備と共に職員感染予防対策が平行して求められると共に、入所者と家族との面会の場の確保、オンライン面会などの取り組みも早急に求められ、関係者は「施設だけでは困難性があり、行政など関係機関の支援が必要」としている。

2020年5月16日(土)

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ハナミズキが満開の高田町通り。だが人通りが少なく地域経済は疲弊している(12)

地域経済大打撃、「耐力限界」 新コロナ・ショック

関口市長が独自給付金を指示、減収支援で

​桑原町長も検討、財源確保に特別職報酬減額も

 新型コロナウイルス感染拡大予防の自粛規制で地域経済が大きなダメージを受けている。国は事業者対象に「持続化給付金」で減収を支援するが、その給付基準は前年同月比で50%減以上が対象。この「高いハードル」に至らない減収50%以下の事業者は妻有地域にも多い。このため十日町市は「国の持続化給付金の基準に達しない事業者を救済したい」と、地域経済対策で市単独の支援策を近くまとめる方針。関口芳史市長は11日の定例会見で質問に答え、「50%は高いハードルだという声を聞く。すでに支援策を指示している」と市独自の救援支援策を立上げる方針だ。津南町の桑原悠町長も「減収の事業者救済をスピード感を持って考えていく」と方針を示し、その財源の一部に町長など3役と議員の特別職報酬の減額を議会とも相談し、検討していることを明らかにしている。具現化すれば6月定例議会に問い合わせたい考えだ。一方、十日町商工会議所と十日町市内の商工会は連携し合同緊急調査を実施。15日締切で集計を行い、来週には調査データと共に市に対し地域経済の支援要請を行う。『新コロナ・ショック』は感染予防のあり方と共に、地域社会を支える地域経済をどう支援するかも、大きな課題として急浮上している。

    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「準公共交通機関であるタクシーは、地域の足。特にお年寄りの皆さんにとっては大事な交通手段。新コロナで外出自粛だが、お年寄りの病院通いは必要で、感染予防をしながら送迎している。路線バスに地元行政は多額な補助を出しているが、その地域の足であるタクシー業界には、なにも支援がない」。妻有地域のタクシー関係者は、今度の新コロナで強く感じている。そのタクシー業界。新型コロナウイルス感染拡大で自粛規制が強化された4月、「我慢比べなどという状況ではない」。前年同月比50%減を大きく上回る減収となり、国の持続化給付金、雇用調整助成金など支援策の申請を行うが、経営本体にも影響する事態になっている。 

 十日町市のほか中里、津南町などに営業所を持つ十日町タクシー・馬場大和社長は「この先が見えないなか、事業の在り方そのものの見直しに迫られるかもしれない」と危機感を強く抱く。自粛規制で飲食店の夜営業がほぼストップし、官民など関係団体、地区や集落の会合などもほぼストップ。「人の動きが止まればタクシー利用もなくなるという状態。4月、5月は極めて厳しい状況」と話す。同様に「地域の足であるタクシーの必要性を地元行政からもう少し考えてほしい。今度の新コロナでこれまで余り表に出なかった様々な社会問題が、いっきょに噴出している」と語る。

 緊急事態宣言後、休業要請対象外で営業継続する花屋「花せん」石坂徹社長は、持続化給付金基準に該当しないが減収していると話す。「4月は店の前を歩く人がほとんどいなかった。大型連休は例年法事が多くあり花の注文が入るが今年は法事はほぼなかった。葬儀も従来と違う取り組みで注文も減少。3月末から4月の年度末前後は歓送迎会のシーズン。それもほぼなかった」。注文が多い母の日は例年帰省者の利用が多いが、今年は帰省者もなく店頭注文は大きく減少。ただ全国ネットの花キューピット経由の発注が多数入ったという。「うちは非常事態宣言後も店を開けることができたが、飲食業関係は相当なダメージだったのでは。市の救済と支援はぜひ実現してほしい」と話している。

 自粛要請で休業や営業時間短縮により大きなダメージを受けている飲食業界。テイクアウトなどで対応しているカフェ&レストラン・ブルームーン。宮澤昌文オーナーシェフは「4月の売上は前年比5割減まで落ち込んでいる。従業員の雇用を維持しながらの営業で、とにかく早く終息を願うばかりだ」と、ギリギリの経営状態を訴える。さらに「来客ゼロの日もある。国や県、市の休業協力金や雇用調整助成金などの申請準備をしている。緊急事態宣言解除後、すぐにはお客さんは戻ってこないだろう。地元行政としても緊急的な支援が必要ではないか」と話している。

十日町商工会議所、商工会連携で緊急調査

​市長合同要望、15日実施

 十日町商工会議所(西方勝一郎会頭・会員1242)は市内の5商工会=松代(瀬沼伸彦会長・同118)、川西(北村良二会長・同207)、水沢(富井久雄会長・同150)、中里(杉谷清之会長・同174)、松之山(高橋主計会長・同80)と合同で緊急景況調査を実施。14日には十日町商議所常議員会を開き、業種別部会でまとめて要望事項を含め、商議所・商工会連名での市要望をまとめ、来週に関口市長要望を行う。

 十日町商議所・佐野比呂史専務は「相当に厳しい状況にある。愛知・一宮市は国の持続化給付金基準に至らない減収事業者(30%以上50%未満)に法人10万円、個人8万円の支援給付を先月末に発表している。関口市長も検討していると聞くので、ぜひ実現してほしい」。さらに市内に年商10億円を超える企業は70社ほどあり「国の支援策はあるが、こうした中堅企業は地域雇用の大切な職場。「劣後ローン」や「官民ファンド」などあるが、雇用確保に直結する中堅企業の救済も必要」と話している。

 関口市長は11日の定例会見で質問に答え「5割はハードルが高いという声は聞いている。支援策が必要と考える。最初に雇用助成金の支援策を打ち出したが国が給付水準をあげ、市の出番が薄くなっているが、その予算活用の検討が必要と指示している」と、救済支援策に取り組む方針だ。

2020年4月11日(土)

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再編​統合案を説明する市教委。住民60人余が出席(昨年10月28日、中里支所で)

学校再編、やっと議会審議、あと1年 十日町市教育委員会

東小卒業後、「全員が十日町中学校へ」に疑義も

 十日町市は小中学校の再編統合を、学区適正化検討委員会の答申を受け、昨年7月から市内35ヵ所で住民説明会を開催。説明会で出た意見や地域独自の学区アンケートなどを基にした「学区適正化方針」を先月27日、市議会の総務文教常任委員会に説明した。議会一般質問への答弁は行ってきたが、所管の総文委員会への説明は初めて。蔵品教育長ら市担当者が住民説明会の概要を示し、同委員からは「十日町市がどういう子どもたちを育てようとしているのか、全く見えてこない」や「地域には幼小中を一体化した学園構想など地元の思いがある。その思いを議論した経過が全く感じられない」など、市教委の説明に対し委員全員から厳しい意見が出た。総文・小林正夫委員長は「(総文と市教委の)議論は始まったばかり。今後校区住民の思いを受け、さらに議論を深めたい」と今年度以降、頻度を重ねて市教委と議論を重ねていく方針だが、任期1年となり、統合再編に議会がどう取り組むか関心が集まる。

 市教委によると地域説明会では多様な意見が出た。「統合再編に反対」「過疎化や少子化に拍車がかかる」「地域の拠り所がなくなる寂しさや切なさの想い」「地域支援があっての学校。地域とのつながりを考えるべき」「子どもの減少数からやむを得ない」。一方、保護者からは「学校を残してほしい」「早期の統合を望む」「部活動の選択肢が少ない」「統合の場合、通学など子への負担が心配」。さらに中学校統合では「川西側に中学校を残して」「統合先の学校の選択を変更できないか」「学校の借地料が問題」「通学方法や通学時間」など多分野の意見が出ている。

 市教委の説明に対し、議員からも多様な意見や質問が出た。「東小学校を卒業後、全員が十日町中学へというのは勇み足ではないか。大井田地区、新座地区にはそれぞれ伝統と歴史がある」、「災害面から考える必要もある。信濃川断層の地震が心配される。防災面からも川西地域に中学校は必要」、「小学校の複式解消、中学校は2学級以上という方針だが、もっと多角的な検討が必要。義務教育学校も視野に入れている以前の市方針がある。小中一貫教育の具現化がこの再編方針の中には全く見えない。中学校は旧市町村の情熱で出来ている。その地域の思いを検討した経過が全く見えず議論不足だ」。

 さらに「教育の中身より、どことどこを統合するという事に関心が向いている再編方針だ。教育で移住定住を促進する教育方針がほしい。十日町市に移住したいと思うようなワクワク感が再編方針にもほしい。魅力があれば全国から子どもたちが来る」、「市の教育大綱は令和2年度で終了。新たな教育ビジョンがないなかでは再編統合はできない。その中には選べる教育の場を用意することも必要」、「いろいろな意見が出ているので、もう一度地域で議論するべきで、どういう学校を作っていくのかということが重要」など聞かれた。

 市教委からは、市議の質問や意見に対し説明があったが、これまで市議会での答弁の域にとどまり、新たな説明や姿勢は聞かれなかった。蔵品教育長は「学区適正化の議論は、いろいろな考え方や方法があり、百人いれば百の意見がある。地域説明会を経て、学校区を含む地域自治振興会での意見集約をお願いしたい」と、地域課題として地域での取り組み、意見集約を促している。

    ○○○

 概要説明では「地域説明会後、動きのある校区や地域」を校名を上げ現状と今後を説明した。

 ▼飛渡第一小学校=保護者7世帯(児童13人)から中条小へ就学要望を受け「学区外就学」を市教委3月例会で決定。地元からは「学校存続」「統合」の両意見を受ける。

 ▼馬場小学校=在校生・未就学保護者アンケートで「水沢小学校へ統合」は地元が決めた75%以上に達せず一旦見送り。小学生世帯・統合賛成55%、未就学児世帯・統合賛成86%、全体・統合賛成67%。検討を継続する。来年秋に創立150周年記念事業を計画。

 ▼吉田地区=吉田小と鐙坂小の統合を保護者アンケート実施。地元は今年9月頃を目途に方向性を出す方針。吉田地区振興会は吉田中学校に小学校を併設する小中一貫校設置を要望したが、市教委は「要望に沿えない」と昨年7月回答した。

 ▼東小学校=卒業後、大井田地区は中条中学へ、新座地区は十日町中学への地域事情がある。保護者アンケートで「全員が十日町中学への希望率が高い」(87%)。大井田地区の地域説明会は今後を予定する。

 ▼中里地区=地域有志で中里中学校統合の勉強会組織を設立(昨年11月)。今年10月25日、貝野小学校閉校式。

 ▼松之山地区=小中一貫校まつのやま学園で山村留学再開の検討を進める。新年度に「ミッション型地域おこし協力隊」1人を設置。学校長経験者を予定する。

2020年3月14日(土)

2020年1月

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来賓、在校生が不参加の十日町総合高校の卒業式(3日)

 新型コロナウイルスの感染拡大予防のため国の要請を受け今月初めから休校に入っている十日町市と津南町、栄村の小中学校と高校。休校から2週間余が過ぎ、児童生徒からは「早く学校に行きたい」とする声がある一方、保護者からは「ゲームの時間が増えていて、このまま新学期が来ても、ちゃんと学校へ行けるのか心配」などの声も聞こえる。各小中学校では先週から子どもたちへの定期的な連絡や家庭訪問を繰り返し行うなど、学校と児童生徒をつなぐ活動に取り組み、「気持ちが途切れないように」と、先生たちの懸命な努力が続く。一方で教員の異動シーズン。思い出づくりの年度末3月がほぼ休校となり、その集大成ともなる「離任式」も、教育委員会判断で行わない自治体もあり、子どもたちにとって「辛い春」になりそうだ。

思い出の集大成「やるせない春」

十日町市は終業式・離任式も予定

​終業式なしの津南町、別れの場は?

 「夏休み以上の課題を出しています」。妻有地域の中学校では、長短の期限付き課題を出し、その回収と家庭訪問をセットで取り組んでいる学校もある。「前の週で来週が提出期限の課題を出し、家庭訪問の時に回収しています。その時、生徒と顔を合わすので話もできます」。これまでのところ、保護者から相談や問題視するような出来事はなく、生徒からは「早く学校に行きたい。友だちの顔が見たい」などと声を頻繁に聞くという。

 中学校は部活動が全面的にストップしているため、生徒は自主的な練習しかできないのが実情。陸上トラック競技など個人種目は自主練ができるが、チームプレーの団体競技は深刻で、まったく練習ができない状態。基礎練習はできるがチームプレー練習ができず、新学期早々に大会がスタートする競技もあり、部活動にも影響を及ぼしている。さらに休校中の野外での集団的な活動を控えるよう要請があり、中学生の部活動はほぼ全面的にストップしている。

 一方の小学生。各学校は学年に応じた課題を出している。十日町市内の小学校では、先週から毎週の電話連絡と家庭訪問を行い、担任が一日に15人ほど家庭訪問するなど、かなりのハードワークをこなしている。「これまでに特に問題視するような連絡は届いていませんが、流れてくる話ではゲームの時間が増えているなどはあります。これは、想定内でもありますが」など、子どもたちが時間を持て余している様子が伺えるという。

 3月は教諭の異動シーズン。24日午前10時が異動人事の発表解禁。十日町市の各学校では「先生とのお別れの場をなんとか持ちたいと思っていますが、今後の状況でどうなるか分からないのが現状です」という。離任式は各校の判断で開くもので、市教委は今月24日に小学校卒業式を在校生も出席し開催(来賓招かず)。各学年終業式を行い、中学校も24日終業式を行う予定。この流れで離任式などを検討しているが今後の状況を見守っている。一方、津南町は11日の校長会で24日の小学校卒業式は卒業生と保護者、教職員だけで行い、小中学校とも終業式は行わないことを決めたため教諭異動の離任式は開かない方針だ。先生との「思い出づくりの場」は難しいようだ。

2020年2月8日(土)

印刷工場で働くボヤンデルゲルさん(滝沢印刷で)

 「勤勉でまじめ、業務への向き合い方がしっかりしている」。外国人材を研修生として受け入れる企業が妻有地域にもある。事業活動の大切な人手として活躍する研修生たち、今後の妻有地域の一つの方向性が見える。受け入れ3年目の津南町の株式会社ごはん。現在、モンゴルから4人の研修生が有機栽培の農産物加工などに取り組む。3年間の研修後、国指定の研修試験に合格すると、さらに2年間の延長が許可され、5年間の研修滞在が可能で、ごはん受け入れの研修生は、今年その試験にチャレンジする。一方、昨年から研修生を受け入れる十日町市の滝沢印刷と湯澤工業。十日町市と友好交流を結ぶモンゴルから2人の人材を受け入れる。3社とも「勤勉で労働意欲が高く、技術習得も早い。ここ妻有地域の人手不足への対応にとして今後重要な人材になるはず」と貢献度の高さを話し、妻有地域でのさらなる受け入れを促している。

管の加工をするバトエルデネさん(湯澤工業で)

有機栽培の大豆を選別するモンゴルからの研修生4人(6日、津南町ごはんで)

モンゴルから研修生、「勤勉、意欲的」

十日町市と津南町の民間3社に、研修延長も

 滝沢印刷・滝沢信一会長は「十日町・エルデネット友好交流協会」の会長。モンゴル出身の大相撲力士の活躍に関心が向くなかで、同市出身の女性が十日町市民と結婚し、在住していることを知り、「エルデネット市との交流を深めたい」と同市を訪問、エルデネット市長と面会し、同市長を十日町市に招くなど交流し、2年前に友好交流を締結。来訪や懇談を通じて滝沢会長は感じた。「若者が多い市だが仕事は少なく、向こうの市長は『できれば日本で新しい技術を身につけさせ若者を育てたい。交流をしたい』と研修生を送り込みたい思いを感じ、なんとか受け入れられないか考えた」。

 厚労省の外国人技能実習制度による受け入れを進めると、研修生受け入れを担う津南町出身者が代表の公益社団法人と出会う。仲介により同国から研修生2人を招き、滝沢印刷と市内の管工事業・湯澤工業での研修が実現した。

 研修生2人は昨年9月来日。千葉の同財団研修施設で日本語と生活習慣など事前研修を受け同年11月から十日町で研修生活をスタート。滝沢印刷で働くプンサンツォグヴォー・ボヤンデルゲルさん(31)は「ていねいに教えてくれます。日本に来るのは私の夢でした」。湯澤工業のエルデネツオグト・バトエルデネさん(30)は「仕事を覚えてきたのでおもしろいです。帰国してこの技術を役立てたい」。共に業務への意欲は高い。

 エルデネット市からの受入れの橋渡しをする滝沢会長は「技術習得と共に貨幣価値が日本とモンゴルでは大きな差があり、日本の賃金は彼らにとって大きなメリットになるだろう」、さらに「彼らのハングリー精神が業務への勤勉さやまじめさに現れており、その姿が社内の良い刺激になっている」と話す。

 一方、津南町のごはんは長野県内の国認定法人の仲介で3年前から研修生を受け入れ、現在女性3人、男性1人が有機栽培の農産物加工などに取り組み、今年も研修生を受け入れ6人になる。研修3年目のバーサン・スレンさん(28)は「いろいろな仕事が体験できて、とても楽しいです。もっといろいろな農業の技術を身につけたいです」と話し、研修延長の試験を受けるつもりだ。夏場は有機栽培の畑地での農作業、冬期間は農産物の加工業務と年間通じて多様な研修に取り組み、さまざまな技術を習得している。 

 ごはん・大島知美社長は「勤勉さ、業務への取り組み姿勢は日本人が見習わなくてはならない。うちでの研修後、さらに試験に合格すれば延長もでき、さらに就業期間を延ばすことができる。とにかく仕事と向き合う意欲が高い」と話す。さらにモンゴル大使館関係者との交流も生まれ、「大使夫人から若い人同士の交流を持ちかけられている。この地域の後継者対策にもつながるだろう」と今後、モンゴル大使館関係者と連携し、新たな交流の場の創設にも取り組む方針だ。

2019年11月23日(土)

2020年1月

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新たなチャレンジで地場産品の営業戦略が期待されるクロステン(20日)

 十日町市や新潟県、地元経済界などが共同出資する一般財団法人・十日町地域地場産業振興センター(理事長・関口芳史市長、クロステン)は、産業支援などソフト事業の公益部門を、地場産品販売などの収益部門が上回る業績を上げているため、公益事業と販売など収益部門を区分する分社化の検討を進めている。今月15日、市議会産建委員会で市が説明した。市は「検討を始めるということで、決定ではない」とし、12月市議会に検討準備の補正予算・委託料を予算化する。埼玉・和光市に開設の地域商社化事業の首都圏営業本部など収益部門が実績を上げており、今後さらに市産品の販路開拓と共に営業戦略の強化が求められるため、「公益事業と収益部門の分離」の分社化は、同センター設立時の地場産業振興の「進化の形」でもあり、市内の多様な産物を県内外、さらに外国へと販路開拓する新たな挑戦にもつながり、その意欲的なチャレンジの実現に関心が集まる。

「公益」「収益部門」、分社化めざす

 同地場産センター・クロステンは昭和56年設立、十日町市1千百万円(比率33・7%)、新潟県1千万円(30・3%)、十日町織物工業協同組合、津南町、地元商工会などの出捐金で基本財産3300万円。主な公益事業はホールなど施設の貸館や販路開拓支援、インバウンド対応総合案内など市委託ソフト事業(補助金)。センター運営補助金は5年前に廃止、市産品販売など収益事業と委託補助で運営する。

 分社化構想では、公益事業は財団が継続し、同財団の当初の目的の「地域産業支援センター」的な機能を充実する。一方、収益部門を株式会社などに分社化し様々な市産品販売の地域商社事業を拡大し、県内外や外国への営業戦略を進め、地域産業界の販売部門の充実をはかる。

 同センターの事業実績が、今後の方向性を示している。第7回大地の芸術祭開催の昨年度決算によると、地場産品売上は約3億4180万円(前年比12%増)、越後妻有現代美術館キナーレ入館料約2726万円(同61%増)と、大地の芸術祭効果が際立っており、この傾向は芸術祭を重ねるごとに増加傾向で、芸術祭が本祭までの2年間の売上も引き上げている傾向が続き、「大地の芸術祭効果」が営業販売を押し上げている。

 今回の分社化検討は、この販売実績をさらに伸ばすために、公益事業との分離による株式会社など別法人を立ち上げることで、地域商社化に特化した収益事業を展開し、市産品全般の営業展開に結びつけたい方針だ。

 同地場産センター・岩船眞人専務は「組織としての曖昧さや実態にそぐわない部分が出てきている。公益性の分野では産業支援センターのような拠点化により、地域産業を支援し、育てる公益財団として残し、一方で、収益性の分野は地域産業品の販売、販路を営業開拓し、収益性を求め、地域産業に貢献する組織を分社化することで、いまの一般財団のあり方を見直す時期に来ている。それにより公益分野、収益分野それぞれのフットワークがさらに良くなるはずだ」。さらに「10年先を見る視点が必要。組織も、人も、その先を見た取り組みをいまから始めることが求められている」と語る。市も「しっかりした足場づくりが、地域産業の振興につながる」(産業政策課)としており、地域経済の新たな「牽引力」の創造に期待が集まる。

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株式会社 妻有新聞社

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