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妻有まるごと博物館

結東のシシ穴

小林 幸一さん(津南案内人)

 結東村の裏山に柱状節理が剥き出しになった岸壁がある。通称シシ穴、カモシカが寝床にするところからついたという。ここに行くには残雪期の方が歩きやすいので春分の日に津南町自然に親しむ会の雪上トレッキングで行ってきました。

 萌木の里からカンジキやスノーシューを履いて岸壁直下まで行く。シシ穴と言っても洞窟があるわけではありません。此処は高確率でカモシカに出逢える所ですが、残念ながらこの日は逢えませんでした。

 シシ穴の柱状節理はおよそ80万年前に鳥甲山の溶岩が流れ出たところで、細く黄色っぽい岩は建築骨材には向かないのか、大正時代の発電所工事の砕石に使われたのは隣の前倉側の柱状節理で、その下には砕石場がありました。昨年場所を確認したので皆で雪の急斜面を登り、砕石工場に使われたベルトコンベアの基礎を見て回りました。

 周囲はブロック雪崩も多発する急斜面で、よくこんなところに工場を建てたものだと思いました。工場の跡地にはブナの大木が生い茂り、ふと見上げると熊の爪痕がくっきりと付いていました。

(2020年4月25日号掲載)

惑星大集合

南雲敏夫さん(自然観察指導員)

 この時期の夜明け前の東南〜南の空はまさしく惑星の大集合の季節、画面左側の1番明るい星は太陽系最大の惑星の木星、その左側は環のある土星、一番左が10月に接近する赤い火星。

 これだけ明るい惑星が揃うのも今年の春の明け方の特徴でしていつも見られる訳ではありません。

 惑星は文字通り毎年位置が違うし、距離によっても明るさが相当変化しますから、昔の人は普通の星々と違って惑わす星と言う事で惑星と付けられました。この夏から秋は木星と土星が隣同士で並びますからね、絶好の観察が可能です。特に望遠鏡をお持ちの方は木星の縞模様と土星の環が楽しめる季節となります。その東側には秋に接近する赤い火星がありますから、文字通りに惑星大集合となっています。

 4月後半になれば明け方でも寒さはきつくありませんので思い切って早起きして星空でも眺めて見たらいかがでしょうか。

 この頃にはこと座流星群の活動もあるしうまくいけば流れ星にも巡り会えると思います。

                           (2020年4月18号掲載)

ワサビ

中沢英正さん(県自然観察保護員)

 早春、山間の渓流沿いで白い花を咲かせたワサビに出会うことがある。手を伸ばしたくなるが、栽培品であることが多く、注意が必要である。

 日本固有の植物で、昔から食用として珍重されてきた。栽培の歴史は古く、飛鳥時代の庭園跡から「委佐稗」と書かれた木簡が出土している。今から1350年ほど前のものだ。本格的な栽培は江戸時代になってからといわれている。

 全草に爽やかな香りと辛みを持つ。特に根茎には強い辛みがあり、日本食には欠かせない香辛料となっている。どこの家庭にも練りワサビが備えてある(本物のワサビが使用されているかは?だが…)。

 辛み成分はカラシ油などの揮発性物質で、すりおろすことで生じるものだ。

 静岡県や長野県などにはよく知られた産地があり、ワサビ田を造成して大々的な栽培がおこなわれている。

 子供のころ、家の裏山に植えてあったが興味を引くものではなかった。鼻にツンとくる刺激が好きになったのは、大人になってから。        (2020年4月11号掲載)

露天風呂から見た鳥甲山

小林 幸一さん(津南案内人)

 鳥甲山は右から左へと国道から隈なく見える屏風のような山で、何処から見ても絵になる山ですが、たまには下から見上げるのも良いものです。

 秋山郷の和山集落をさらに下り、仁成館の露天風呂付近から見た鳥甲山。正面に見える黒い岸壁には大正時代、発電所工事の資材運搬に使われた隧道が通っており、換気用に開けたのか、小さな穴があいているのが見えます。対岸には「来るなか来てみろ!もっきりや」の看板で知られる孤高の宿があり、ここから中津川を渡る籠渡しも風情があります。

 残念ながら仁成館は現在営業しておりませんが、創業は寛政6年、多くの温泉ファンを魅了した露天風呂を復活しようと宿六が動き始めました。雄大な景色を眺め、この渓谷に発電所を造った技術者に想いをはせ、秋は露天風呂から紅葉の鳥甲山を見たいですね!

                           (2020年4月4号掲載)

コガラ

南雲敏夫さん(自然観察指導員)

 今年みたいに早く暖かくなると鳥たちの動きが活発になってきます。特にコガラなどの小型のカラ類は動きも早くて見ていても見飽きません。この写真は秋山郷のよさの里の上の方で撮影してものですが、太陽光があたり春爛漫と言うよな状況でのコガラです。

 特徴は、頭の黒い部分がいわゆるベレー帽のような模様になっていますが、動きが活発で早いので双眼鏡などで見るのが一番てっとりばやいと思いますよ。

 群れでいる時などは静かにじっとしていると割合に近くまで寄ってくる事もあります。もちろん警戒はしているとも思いますが、以外と小さな鳥としては好奇心が強いようで数メートルくらいまでの距離で見られる事も良くあります。

 今はまだ他の鳥たちと一緒の行動する混群になってる個体もありますが、この写真を写した時には3羽だけでした。くちばしの下にも小さな黒班がありますので、下から見た時にも判別のポイントになります。

 まもなくこのコガラやヒガラ、シジュウカラやヤマガラなど、山野に鳴き声が響く季節になりそうですね。                  (2020年3月28日号掲載)

トワダカワゲラの仲間

中沢英正さん(県自然観察保護員)

 幼虫時代を水中ですごす昆虫にカワゲラの仲間がある。石の下や落ち葉の堆積した中で暮らす。成虫になると翅を持つようになり、空中へと飛び立っていく。

 トワダカワゲラの名は、東北の十和田湖で発見されたことからつけられたもの。成虫になっても翅を持たない変わりものである。

 氷河期の遺存種といわれ、個体数は多くない。一年を通じて水温変化の少ない湧水や山地の細流などの冷水域で見つかる。

 幼虫(写真)はお腹の先端近くにエラが環状につくのが特徴。水の中では花が開いたように見える。

 成虫になるとこのエラが無くなり、陸上で暮らすようになる。

 日本にはこの仲間が4種生息しているが、本州で見られるのはトワダカワゲラとミネトワダカワゲラの2種である。

 トワダカワゲラは東北地方を中心に、ミネトワダカワゲラは関東・中部地方を中心に分布している。その境界に位置する新潟県は両種が見られる貴重な場所となっているが、見分けるのは難しい。

 苗場山麓で見られるのはどちらなのか興味尽きないところである。

                          (2020年3月21日号掲載)

忘れられた被災地

小林 幸一さん(津南案内人)

 東日本大震災から9年。翌日の長野県北部地震は深夜までテレビで東北の惨状を見た直後だったので日本が沈没するのではないかと思うほど驚きました。

 明るくなって顧客の家の様子を見に津南をひと回りし、栄村に向かったのですが、栄村役場から奥には交通止めで行けず、仕方なく翌日の13日に役場に車を停めて歩いて青倉から横倉方面へ向かいました。

 なんの情報もなく入ったので、橋の陥没や崩れた石垣、潰れて道路まではみ出した家屋、傾いたりねじれたり変形する家々等、建築の仕事をしている私でも驚くことばかりでした。

 帰宅してすぐに現状をブログにアップしたところ今までにないアクセスがありました。東北の被害ばかりで、故郷の情報をやっと見つけた人々からたくさんのコメントを頂き、その後も情報を発信し続けました。

時間が経つことで記憶も薄れ、地震対策も忘れがちですが、最低でも寝ている近くに倒れる家具や落ちて来る物を上げない。その第一波を避けることをいつも心がけましょう!

                          (2020年3月14日号掲載)

ルリビタキ

南雲敏夫さん(自然観察指導員)

 今年の暖冬と少雪で例年よりも早く姿を確認した。

 本来は亜高山帯の標高1500メートル近辺で繁殖する鳥で、苗場山や尾瀬などのオオシラビソなどのある場所で良く見る事がある。冬の到来とともに平地や少し温暖な里に降りてきて過ごす事が多い。

 今回は予想よりも一ヶ月近く姿を確認したので山の雪解けも早いかもしれない。

 残雪のある時期に山に入ると時々見かけるがあまり人を恐れないと言うか、近くにいても逃げないし観察しやすい鳥と言える。

 色合いも名前の通り背中側がルリ色をしているが、夏鳥のコルリやオオルリと比較すると少しルリ色が淡いと言うかチョット地味と言うか・・・ただしいずれのメスは地味な茶褐色をしていて見分けにくい。

 もう3月、今年は夏鳥の飛来も早くなりそうな感じで、ツバメや猛禽類のサシバなどは4月早々に来てもおかしくないほどの暖かさが続いている。人間の世界はコロナで異常な事態だけども、鳥の世界は異常が無い事を祈りたいと思う。  (2020年3月7日号掲載)

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