妻有まるごと博物館

 

雪の上のサルの足跡

南雲 敏夫さん(自然観察指導員)

 これからの季節は雪上観察会が中心になる。特に生き物の観察には足跡がかかせない。

 もちろん植物も冬芽や葉痕などもいろいろとあるが、一番楽しいのはやはり動物達の生き様を直接見れる足跡観察会だと思う。

 サルの足跡も生息している地域ならばいつでも見られるが、普段姿を見る事がない地域ではめったにお目にかかれない。

 画像を見るとやはり前足の足跡の形は人の手の平によく似ているが、後ろ足の足跡は親指は大きく開いているのが特徴的。

 木に登った時などにしっかりと足を枝につかまるようになっているのが判る。

 歩幅は個体によるが30センチ〜60センチくらいで歩き方によっては前足の場所に後ろ足が重なる事もある。

 雪が降り、これからいろんな足跡が付くがそれらで生活の仕草や行動が読み取れるのも足跡のおもしろさ。

 天気の良い朝はとくに足跡が見れるので是非とも観察をしてほしい。思わぬ発見があるかも…

(2020年12月26日号掲載)

チャノキ

中沢 英正さん(県自然観察保護員)

 11月下旬、秋山郷の逆巻地内で花をつけたチャノキに出会った。

 この樹の原産地は中国西南部、ベトナム、インドといわれている。2つの変種があり、低木性で小葉のシネンシスは緑茶用に、高木性で大葉のアッサムは紅茶用に、各国で栽培されてきた。

 日本へは奈良時代に中国から渡来。鎌倉時代から江戸時代にかけて栽培が盛んになり、茶の文化が広がっていった。

 新芽を摘み取り、加工した茶はどこの家庭にも備えてある普及飲料だが、その原料となるチャノキには不明の部分が残されている。

 日本の山野で見かけるものは栽培物の逸出とされ、帰化植物の扱いとなっている。だが山口県宇部市の古い地層(3500万年-4500万年前)から葉の化石が見つかったり、埼玉県岩槻市の縄文晩期遺跡から実の化石が出土していることなどから、九州などの暖地で見られるものは日本固有種だとする説も存在しているのだ。

 逆巻で生えているのは人家近くや耕作地跡。人との関わりの中で生きてきたチャノキである。

(2020年12月19日号掲載)

薪つくりの名人

小林 幸一さん(津南案内人)

 昔ながらの風情の残る見倉集落、その村の入り口にオブジェのようなキニオを積んでいた一人暮らしの爺さんが旅立たれた。

 山田平二、享年76歳、機械を使わず長さ3尺五寸の雑木を黙々と割り、高く高く積んでいた。足場を組んで積むくらいなら手の届く高さにすれば良いものだが、そこには豪雪地の知恵がいっぱい詰まっている。200年ほど前に鈴木牧之の訪ねた頃から戸数は4軒、今それが3軒になってしまい、大きな古民家が次の住人を求めている。

(2020年12月12日号掲載)

三日月

南雲 敏夫さん(自然観察指導員)

 日暮れの早いこの時期には夕方の4時半過ぎには細い月が夕焼けと共に見えている。

 それにしても最近のコンパクトデジカメの超望遠の性能は凄い。

 以前ならば、天体望遠鏡にカメラをセットしてからようやく撮影できたような画像がいとも簡単に撮影できるようになった。

 もちろん手ブレを防ぐ意味で必ず大型の三脚を使用するのはもちろんだが、シャッター速度が速ければ手ブレ補正機能があるためにほとんどブレない出来である。

 この号が出て約一週間後には国内で見られる3大流星群の一つ、ふたご座流星群が見られる季節になる。

 ちょうど新月にあたるため、余計な月明かりが無いので流れ星を見るにはまことに都合が良い。

  13日頃から15日頃が観察にはちょうど良い頃になる。夕方8時頃には東の空から流れ星が見えると思うし、うまくすれば大火球も見れる可能性もある。時期が時期だけに防寒対策は万全にやらないと身が持たない。あとは晴れる事を祈るばかりである。流れ星の観察には望遠鏡は必要ないし双眼鏡も要らない。自分の目だけでオッケーです。

(2020年12月5日号掲載)

大トチノキ

中沢 英正さん(県自然観察保護員)

 中津川の流域は急峻な地形の連なりである。人の手が容易に入れぬ場所だから、ブナやミズナラ、 カツラ、トチノキなどの巨木が残されてきた。

 写真は金城山中(左)と雑魚川沿い(右)に生育しているトチノキの巨木である。どちらも幹周8.3メートルほど、高さ25〜30メートルもある。太さもさることながら風貌がいい。長年、風雪に耐えてきた生き様が刻み込まれている。威厳に満ちた姿である。

 大木となり、たくさんの果実をつけるトチノキは、秋山郷で暮らす人々にとって特別な存在であった。材はこね鉢や盆に、枝は釜神様に、果実(種子)は食料に利用されてきた。初夏に咲く花からは良質の蜂蜜も採れる。

 この樹の日本ーは、石川県白山市にある「太田の大トチ」で、国指定の天然記念物になっている。幹周12.4メートル、高さ25メートルで、樹齢は1300年と言われている(「日本一の巨木図鑑」文−総版より)。

 秋山郷に生えた2本には将来の日本一を目指して長生きしてもらいたいものである。

(2020年11月28日号掲載)

奥志賀林道 大滝(おおぜん)

紅葉の秋山郷滝めぐり

小林 幸一さん(津南案内人)

 秋山郷には多くの滝がありジオパークの見学スポットになっています。写真の他にも大小の滝が存在し、いずれ秋山郷滝めぐりを観光のひとつにしたいものです。

 出発点は見玉不動尊の七段の滝、ここで旅の安全をお祈りしてお目当ての滝を目指します。車から見られる滝もありますが、ガイド居ないと行けない滝、名前が付いていない滝もあり、誰か素敵な名前を付けてくれるのを待っています。

(2020年11月21日号掲載)

小赤沢 大瀬の滝

切明 夫婦滝

大赤沢 蛇渕の滝

黒いカモシカ後ろ姿

南雲 敏夫さん(自然観察指導員)

 今、あちこちでクマ騒ぎのピークになっているが、この写真を遠目で見れば確実にクマと言うと思うだろうなー。

 超望遠レンズでの撮影だから真っ黒よりも少し淡く写っているが、実際に目で見た時には本当に真っ黒に見えていた。

 となると夕方などに見た黒い大きな動物がすべてクマと言う事になるかと言えば疑問を生じる。一瞬に道路を横断したものを正確に言えるかどうか、普段生き物を良く観察している人ならば判断が付くとは思うけど。

 もちろん実際にクマだと言う事もあるとは思う、ただ目で見た物は不確実になる事も多いので撮影すれば間違いはない。

 今年の山の中のブナはほとんど皆無、ミズナラヤコナラのドングリも少ないのでクマが餌を求めて里に降りてくるのもうなずける。

 個人的にはクマが出そうな場所に入る時には鈴を付けるよりはホイッスルを使用している。

 音が強烈で遠くまで聞こえるし、かなり高音で生き物が嫌がる可能性が高い。自分的にはお薦めの品物です。

(2020年11月14日号掲載)

サンショウモ

中沢 英正さん(県自然観察保護員)

 水田の広がりは日本を代表する風景のひとつである。妻有地域ではどこを眺めても田んぼが目に飛び込んでくる。

 稲作に欠かせないのが水であり、古くから溜め池や水路が整備されてきた。そこは日当たりが良く、水の供給が滞らないことから、水辺を好む植物にとっては格好のすみかとなってきた。

 サンショウモもそんな環境で繁栄してきた水生のシダである。名の由来となったサンショウ(ミカン科の低木)の葉に似た姿で、水面に浮かんでいる。きれいな花を咲かせる訳ではないが、印象深いものがある(写真)。

 泥底の浅い沼や水の溜まった休耕田では、水面を覆い尽くすほどに繁茂することも。ぬるい湯水状態のところでも平気のようだ。

 昨今、水田を取りまく状況が様変わりし、サンショウモを見る機会が減ってきている。このままでは自然界から消えてしまう可能性があることから環境省の絶滅危惧種に指定された。

 稲作の拡大は多くの水生植物にすみかを与え続けてきたのである。

(2020年11月7日号掲載)

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