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社説

争点明確、十日町市長選

 「民主主義のコスト」といわれる選挙。十日町市長選は、市議の一人が立ち上がり、無投票が免れる。一方の市議選。16日までの取材で、表明していた新人一人が出馬を取り下げた。結果、出馬予定者は改選定数と同じ24人。これでは選挙がない。「民主主義の危機」とは言い過ぎか。十日町市の「民意」が問われる事態になっている。

 市民の声が聞こえる。「あの時、しっかり定数削減しておけば…」。歴史に「もし」はないが、昨年12月議会の定数削減案に対する論議は、「思惑の一致」で否決されたと言っていい。市議個々の取材では、明らかに削減賛成が多数だったが、まさに「会派の弊害、思惑の一致」で削減反対が多数となった。削減賛成の市議が採決後に語った言葉が、鮮明によみがえる。「市民が大変な時に、緊急性への対応に乏しい議員では、どうしようもない」。コロナ禍で多大な影響を受ける市民生活、その生活実感より、「会派メンツ」を優先した結果だった。市議選無投票は、旧市を含め十日町市では一度もない。明日は告示。午後5時が届出の締切だ。関係者の最後の「要請」が続いている。

 一方の市長選。現新の一騎打ち。対抗軸・争点が明確だ。関口市長3期でこれほど争点が明確な市長選はなく、市民・有権者判断が注目される。

 その争点、特に大地の芸術祭と小中学校統廃合計画だ。樋口氏は「芸術祭を延期し、その財源でコロナ対策を最優先」。関口市長は「芸術祭効果で移住定住が増加。野外のためしっかりコロナ対策で開催できる」。学校統廃合で樋口氏は「審議会を作って、それを追認するやり方は市民本位ではない。再度、市民で作り上げる」、関口市長は審議会がまとめ市教委が追認した学区適正化方針を了承しつつ「地元の意向を受け、さらに熟度を高める」とする。

 短期決戦だが、内容が濃い市長選だ。

選挙活動は限られるが、言葉に注目したい。十日町市の「民意」が試される。

 

緊急事態宣言、一方であらぬ輩

 医師会、福祉団体が2日発出した緊急事態宣言は、相当なる深刻度の表明だ。新潟県の新コロナ対策専門家会議委員の菖蒲川由郷医師が示す感染状況のデータグラフが、それを物語る。十日町市の急上昇は「緊急事態」をそのまま表している。この短期間で人口10万人当たり比較では、おそらく全国的にも「異常事態」だろう。2日の緊急事態宣言は、その深刻さを妻有全域で共有する必要がある。一方で、感染拡大への「不安感の増幅」への対応も必要だ。ただ、ここは個人保護と並行的に取り組むべき課題で、感染症予防と情報伝達の相反的な対応は、難しい対応をさらに迫られている。

 急上昇する感染者数は、中山間地域独特の家族構成も影響しているようだ。3世代、4世代家族が当たり前の妻有地域にあり、職場感染が家族に広がり、その家族が別の職場に感染を…と感染症の典型ともいえる感染リレーが今回の急上昇にもつながっている。職場や街中ではマスク姿が当たり前だが、自宅や家族内でのマスクは、おそらく着けている人は少ないだろう。今回、地元医師会は「家庭内でもマスクを」と呼びかけている。それほど一端感染が広がると、その先々で感染がどんどん広がる実態を、今回の急上昇が物語っている。これが感染症の実態だ。

 一方で感染者の保護。発生事業者は「地域にあらぬ不安を広げないように」と事業所名を公表し、事後対応を示している。だが、それでも「誹謗中傷」が起っている。電話やメールで「お前だろ」などと非難する輩がいる。許せない行為で、あってはならない。県立十日町病院・吉嶺文俊院長の言葉を再確認したい。『感染者された方々は被害者』。いつ、だれが、どこで感染してもおかしくない、それが今の妻有だ。

 今月からワクチン接種が始まる。市町村によって時間差はあるが、「五輪選手や関係者を優先」という国の方針。これは違うだろう。

 

始まるワクチン接種、予防徹底を

 この1週間で感染が広がった。新コロナ、目に見えないウイルス感染の怖ろしさを間近で感じる。「だれが、いつ、どこで感染してもおかしくない」状態だ。先ず徹底したい。「感染された方への誹謗中傷は絶対にあってはならず、許されない行為」。昼夜問わず献身的に取り組む医療従事者への感謝を、改めて共有したい。それにしても、「感染症の恐怖」が妻有を襲っている。

 十日町市中魚沼郡医師会・妻有地域包括ケア研究会・県立十日町病院・県立松代病院・町立津南病院の5団体の緊急アピール『今こそ、改めて感染防止を』は、事の重要性と関係機関の連携によるチーム力を感じさせる。地域の医療機関や福祉施設、行政などで構成の妻有地域包括ケア研究会が会員に提供していた情報を、今後は地域の一般の方にも開放する専用ホームページを近く立ち上げ、公開する方針だ。こうした時こそ、専門分野の専門家の「正しい情報」が必要である。

 特に、ネット社会では「あること、ないこと」が混在状態で流布され、「…らしい」情報が実しやかに流れ、個人攻撃やあらぬ被害者を生み出すことにつながる。今回の5団体の取り組みは、その意味でも重要で正確な情報発信となり、住民への安心感の提供になる。

 来週、いよいよ一般住民用のワクチン配分が始まる。先ずは65歳以上の高齢者対象。県担当の医療調整本部では、来週配分で選定した5自治体は「接種の準備状況を聞き取りし選定」としており、十日町市も入っている。初回配分は全県で975人分と限られた数だ。県では「ワクチン接種の試行的な位置づけ」と、その後の接種への準備段階としている。十日町市ではすでに65歳以上に接種希望調査を配布しており、それを基に接種を開始する方針だ。

 他の自治体は翌週12日の週以降の配分になるが、月内には全県すべての市町村に配分される。まだ時間がかかる。先ずは、感染予防の徹底だ。

 

「アクセルとブレーキを同時に…」

 感染を抑えてきた妻有地域だが、今週初めの感染拡大は、コロナ時代を痛感させられた。「いつ、だれが、どこで、感染してもおかしくない状態」。福祉作業施設という限られた空間の感染は、日常生活に新型コロナウイルスが入り込んでいる現実を突きつけている。

 医療機関、医療従事者の日々の献身的な取り組みがあり、感染不安のなかでも生活が維持できていることを感謝し、それが当たり前ではない現実を再認識したい。住民は「防ぎようがない中で、感染防止の必要性は分かるが、コロナ慣れを感じる」とも言う。年度末、そして新年度スタートは、人の往来のシーズンであり、このタイミングの感染拡大はなんとしても防ぎたい。

 一方で、地域経済のこれ以上の停滞は致命傷になりかねない。「言われ尽くしているが、アクセルとブレーキを同時に踏む、それを続ける困難性はもう限界」、そんな声も地域から聞こえる。

 「感染予防は、感染の実態把握」とよく言われる。その決め手がPCR検査だが、地域における検査体制は整いつつあるが、「だれでも、いつでも、何度でも」には、まだ整っていない。医療保健関係者によると、妻有エリアでは保健所の行政検査、県立十日町病院、町立津南病院で独自検査体制が整い、地元医院やクリニックでも検体採取後、検査機関に送る検査体制は整っている。

 ただ問題は費用。保健所や医療機関の要請で行う行政検査は費用負担はないが、施設入所の高齢者など一定条件でのPCR検査費用の補助制度はあるが、一般検査の補助事業はまだない。いよいよワクチン接種が始まるが、感染拡大防止には平行して感染状況の把握が必要。一般検査の普及が急務だ。

 ここは広域連携だろう。行政・医療機関の協議テーブルは毎週開かれている。その連携協議に「PCR検査の一般化」をぜひ加えてほしい。その安心感が「アクセルとブレーキを同時に踏む」ことを、さらに可能にする。

 

あなた、出番ですよ

 「選挙戦は地域活力の証し」といわれる。ようやく十日町市議選が選挙戦になる公算が強まった。現職退任6人に対し、新人7人が表明、数字的には最小数の1人超過の激戦もよう。だが、最近の選挙は分からない。告示1週間前でも出馬し、当選するハナレ技もある。さらに出馬の動きがあるなか、地域が少しばかり活気づいている、そんな雰囲気を感じる。同日選の市長選は現職が表明したが、対抗の新人はまだ表明していない。来月11日には公開討論会が計画されている。どのタイミングを見ているのか。

 同じ4月25日投票の栄村議選も動き出している。関心の一つは39歳で村に移り住み、13年間栄村に暮らす移住者が出馬する。「なぜ、栄村なのか」、それが村議選出馬の動機であり、村の人たちに訴える政策になるだろう。

 妻有地域に移り住み、暮らす移住者は多い。十日町市にも、津南町にも。「議会に新たな風を吹き込む」は新人候補の常套フレーズだが、こうした新人こそ新風ではないか。十日町市の地域おこし協力隊定住率は全国トップクラスの7割を超える。まさに人材だろう。来月の市議選に地元生まれの33歳が出馬を決めている。歩んだ経験を活かし地域貢献したいと話す。

 「従来型選挙」はコロナ禍で大きな変化を迫られている。集会・対面街宣・握手が難しく、根本的な見直しが求められ、政治活動も『センスと感性』の時代に入っている。SNSなどインターネット活用がその一つ。妻有地域の高齢化する社会でどこまで通用するか、今回が次代へのモデルになる。

 有権者の半数以上を占める女性。政治への進出をさらに促したい。地域おこし協力隊は女性が多い。これぞ新風ともいえる女性たちの価値観が地域に与える影響は大きく、新たな活動が各所で始まっている。議会の場に必要な「価値観」ではないのか。

 まだ時間はある。あなた、出番ですよ。

 
 

原発再稼働論議、「住民投票もある」

 フクシマ・福島第1原発事故から10年。東日本大震災と言うべきだろうが、ここまで災害復旧が遅れ、依然として4万1241人が避難している最大の原因は、原発事故による影響があまりにも大きく、あの世界最悪規模の原発事故から10年が、この時間経過からも言い当てているだろう。

 福島第1原発の当時の吉田昌郎所長の証言集や記録、後日の検証記録などを読むと、『奇跡』としか言いようがない事態が、あの現場で起きていたことがよく分かる。原子炉格納容器建屋が水素爆発した1号機、続いて3号機、4号機も爆発。2号機の爆発は「なぜか爆発を免れた」。国の事故調は「1号機の爆発の影響で2号機の一部施設の脱落で水素ガスが建屋外部に放出されたためと推測」として、『ケガの功名』としている。まさに奇跡だ。

 吉田所長は証言している。「すべて爆発し、放射能物質が全て出て、まき散らしてしまう。東日本壊滅、それが我々のイメージでした」。この奇跡がそれを防いだわけだが、そんなエネルギー政策を、我々はこの国の政権に託してきたのかと思うと、10年を経た今も、恐ろしさと怒りがさらに沸騰する。

 世界最大級の柏崎刈羽原発の再稼働論議が、いよいよ県民レベルの論議におろされてくる段階だ。前県政・米山知事からバトンを受けた花角知事。「三つの検証」を引き継ぎ、その検証結果を基に原発立地の柏崎市・刈羽村と共に全県市町村の意見を聞く方針だ。9日の十日町市議会で関口市長は、どう市民の意見を集約するのか問われ「十日町市には伝家の宝刀、住民投票もある」と、まちづくり基本条例で制定の住民投票を視野に入れている方針を明らかにしている。だが、その実施には慎重だ。同じ状況は津南町にもいえる。どう住民の声をまとめるのか。

 十日町市が住民投票を実施したなら、それは県民投票への導火線になるだろう。十日町の民度が試される。

関口市長4選表明を読む

 「やっと」という言葉が市民感覚だろう。だが、当事者は「整理するのに、ここまで時間がかかった」と4選出馬表明の遅れを語る。旧市時代を含め初の4選に挑む十日町市・関口芳史市長。3日の市議会本会議で「次の4年間、市政運営の機会を与えて頂けるなら」と、「財政面で真の合併十日町市がスタートする姿が求められ、ポストコロナの新たな十日町市の進むべき方向性を早急に示す必要がある」と挑む姿勢を示し、ようやく4選出馬表明した。

 直後の記者会見では「自分が出ないシミュレーションをした」と、昨年12月市議会で明言しなかった時の思いを話した。逡巡とは別の迷いの時間、それは「エネルギー問題など課題へのスタンスの整理の時間」と表現した。それは「JR東とは一定の関係ができているが、首都圏のためにエネルギーを創っているが、果たしてこれだけでいいのか。東京電力も一緒だが、清津川の問題もまだ解決には至っていない」。4年前、3期スタートの時、「首都圏に流出するヒト・カネを取り戻す」と、高度経済成長以降続く人口流出、それに伴う経済的な流出などを、創り出す現地ここ妻有に取り戻す政治姿勢を打ち出した。その未達成を、今後の4年間、4期目で取り組む換言とも取れる。それが「これまで以上にリーダーシップが求められる」ことだろう。

 だが、市民レベルの受け止めは様々。「4期となると16年、生まれた子が高校生だ。十日町市には人材がいないのかとなる」、さらに「関口市長が一番分かっているのではないか。権力が長ければ長いほど利害関係が大きくなる。本人の意思とは別に出来てしまう」、市民目線は4期表明を冷静に見る。

 人口5万人を割る秒読み段階にある十日町市。4月18日告示の市長選の争点は、市民一人ひとりにあるだろう。今春人口4万人台に突入する自治体にとって、次代を担うリーダーに求められるのは…、それが争点だ。

 

始まっている選挙イヤー

 「選挙は民主主義のコスト」。その選挙がこれから続く。4月25日投票の同時選の十日町市長選・市議選。同じく4月25日投票の栄村議選。今秋までに確実にある衆院総選挙。来年6月9日は新潟県知事が任期満了。同じ頃に参院選、さらに津南町長選がある。翌春2023年は県議選、秋には津南町議選と続く。選挙日程は政治カレンダーだが、有権者が選挙権を行使できないでは、民主主義のコストにならない。

 その危惧が今春の十日町市議選。改選定数に対し候補予定者が足りない。「こんな事は、かつてなかった」、有権者の嘆きが日増しに大きくなっている。

 「議員のなり手不足」。全国的な傾向といわれる。一方で「議会不要論」はかなり前から出ている。諸外国では「議員は無報酬」、行政事業の議決権を有する一方、その議員の数は極めて少ない。無報酬がゆえに議員は絶大な信頼度と人望があり、「そうそう誰でも議員になれない」重みを与えているという。この国のように利権に走り、物欲に負け、烏合の衆に群れる輩では務まらない「議員の矜持」を持たせている。

 そこで十日町市議選。改選定数24、これまでに出馬を決めているのは現職と新人で23人。選挙戦になるには2人足りない。関係者は「3月には動きが具体化し2人出るだろう」と観測する。だが期待感の域を出ないのが現実のようだ。一方の市長選。告示まで50日を切り、依然表明がない。『遅れたのか』、『遅らせたのか』、この差は大きい。有権者への責任ある言葉が求められる。

 衆院選、さらに参院選が始まっている。政権与党・自民の不祥事が続き、政権の屋台骨を揺るがしている。ここ新潟6区は前回と同じ対決が濃厚。だがオール野党に一抹の不協和がある。「漁夫の利」だけは避けたい。来年には知事選、津南町長選、参院選がほぼ同時期にある。新たな展開があるのか。

 選挙イヤーが始まっている。有権者意識と共に、被選挙権も意識してほしい。

 

新年度予算に見る「自治体の表情」

 新年度予算発表が相次いでいる。4月30日に任期満了を向かえ、来月3日開会の市議会定例会で4選出馬表明する関口芳史市長の任期最後の予算編成は、一般会計で1・4%増と厳しい財政事情ながら相当なる手堅い予算編成になっている。「国の方針を理解すると、自然とその流れに導かれる」。その流れに乗ると、財政支援が得られやすくなる、とも読める3期12年の市長経験による「感度」の予算編成か。

 来年7月9日に任期満了を向かえる津南町・桑原悠町長は、懸案の保育園再編に伴う中央部の保育園増築で、総額11億円になる事業化を予算化し、一般会計で前年比8・3%増の積極姿勢を見せる。だが、先行きは「暗雲垂れ込める」状態。町議会内のカウンター勢力、それを支える増築反対運動。この構図をそのまま引きずり町議会3月定例会に突入する。その前哨戦がきょう20日から3日間の「町長と語る会」。桑原町長の言葉に、大きな関心が向いている。

 3・12。長野県境地震からまもなく10年。3・11、東日本大震災の翌日発生、震度6強が人口2千人余の栄村を直撃。その後、震災復興で村予算は膨れ上がった。昨年5月就任の宮川幹雄村長は、「身の丈に合った予算」を今回編成している。一般会計で前村政の前年比11・8%減、約3億円減の26億円の新年度予算案。関係者によると「ほぼすべての村事業を見直した」という。10年後のいま人口1700人余の栄村。宮川村長は「集落維持のためには農業の再生と継続」を掲げ、法人化を視野に入れた集落営農を進める。その財源を捻出した新年度予算は、まさに「これからの栄村の歩む道」を示している。

 新年度予算は、その時の自治体のトップのあり様と、自治体のその時の表情を反映している。新コロナの影響でどの自治体も税収は減少、まさに厳しい財政事情だ。だが、限られた財源ながら、どう我が自治体を導くか、そのセンスが、新年度予算に表れている。

 
 

市議選にもっと女性を、時代の要請

 任期切れ間近で議員定数に関心が向いた十日町市議会。だが結局見送り。改選まで2ヵ月余り。現職退任6人に対し、新人4人の低調ぶりだったが、41歳女性が出馬を決意した。さらに複数地域で擁立活動が進み、今後新たな名乗りが出るだろう。今期の改選はまさに「短期決戦」。だが、この市議選には大きな意義を感じる。新コロナの影響ばかりではないが、旧来の価値観の転換、その現場に関わる女性の存在。それは政治の世界に大きな変革を求める機運でもある。

 世代交代は、改選のたびに表出する政治の舞台の課題。だが近年、大きな関心は女性の進出だろう。この国の公選法(公職選挙法)には「クオータ制」の規定はないが、世界では「民主主義の常識」。世界118ヵ国で規定や目標数値を掲げている。クオータ制、一定割合を女性議席と規定する制度。スウェーデンは47%、カナダ上院は48%、韓国は30%の目標を掲げる。そもそも、一定割合を女性に、という表現こそジェンダーに触れそうだが、制度化しないとこの国の「政治は男の世界」から脱却できない。 だが、制度改定を待つ必要はない。身近な選挙でその割合を増やすことが、国を変える導火線になるはず。そのタイミングが2ヵ月後にある。それが十日町市議選の意義だ。

 十日町市は県内市議会では女性割合が多い。だが24議席のうち女性4人、17%余だ。視聴する限り議会運営はやはり「男の世界」。有権者の半数以上、1060人ほど女性が多い。その価値観と視点をどう市政に反映するか大きな課題だ。結論は明確、女性市議を増やすこと。今回、41歳女性が決意した。「私が出ることで、若い人たちにも関心を持ってもらえるのでは」、ここだろう。

地域活動のキーパーソンは女性が多い。それは妻有全体のエネルギー源になる。

 決意の言葉にヒントがある。「みんなで、やろっそ!」。ミンナデ、ヤレバ、デキル。やれば、できる

 

ふるさと納税の人材派遣型

 ふるさと納税は、お金ばかりではない。「人材派遣型」がある。企業版ふるさと納税の一つだが、この最大の特徴は例えば企業が1千万円寄付すると、最大約900万円の法人関係税が軽減される。その人材派遣型、つまり人件費を自治体に寄付する形で、企業は税制優遇を受けられ、自治体支援ができる。この人材派遣型は昨年10月に創設された仕組みで、すでに全国の自治体で導入の動きが見られる。

 ゴミの徹底分別でリサイクル率の高さで知られる鹿児島・大崎町は2030年までに使い捨て容器を完全になくし、脱プラスチックを実現する目標を掲げる。このため県内企業と「大崎町BDGs推進協議会」を立ち上げ、低コストで環境負荷がない容器の開発に取り組み、今年4月から実証実験を始める計画だ。ここに、企業版ふるさと納税人材派遣型を活用している。

 企業が自治体に社員を派遣する、その人件費がそのままふるさと納税となり、企業は経費の9割まで法人関係税を軽減できる。国の制度では『専門的知識・ノウハウを有する企業の人材の地方公共団体等への派遣を促進することを通じて、地方創生のより一層の充実・強化をはかる』とする。要は、市町村が取り組む事業に民間ノウハウ・人材を投入し、官民連携で事業実現をめざす、その人材を企業が派遣すれば、国は企業に法人関係税を軽減するシステム。国がここまで市町村を支援する背景は、新コロナによる地方移住、さらに社会構造の大転換を視野に入れたバックアップだろう。

 妻有地域と国を代表する企業の連携はある。十日町市は良品計画と連携協定を結び、総務省の「地域おこし企業人制度」を活用。良品計画社員が十日町市に常駐し、新たな事業展開を行政とタイアップし取り組む。津南町は日本食研との太い関係がある。人材派遣型の活用が期待される。企業が持つ人的資源、大きな魅力ではないか。

 

「全町キャンパス構想」とは

 こういう小中学校再編もできるのか。感心したのは、長野の南、天竜川沿いの辰野町。人口1万9千人余、7800世帯。武居保男町長が打ち出した『全町キャンパス』。町立の小学校と中学校5校を統合して一つの学校とし、いまある小学校、中学校を「キャンパス化」する。

 各キャンパスを音楽・美術・スポーツ・自然体験など専門的に学ぶ特色化する。

子どもたちは「行きたい学校」で選べる。なんとも発想が斬新で大胆だ。これに対し文科省は「学習指導要領や学校の設置基準を満たせば実施できる」とする。お隣の信濃毎日の記事だが、義務教育9年間のあり方を根底から考えさせられる。

 十日町市の「小中学校再編の適正化方針」。小学校5年計画、中学校10年計画で再編整備する方針。各校区では、保護者や地域住民が方針の是非に向き合い、話し合いを進めている。「小中一貫校・まつのやま学園を吉田地区でもできないのか」、「学校用地の借地料が高い学校になぜ統合するのか」など、市教委の方針決定がかすむ校区住民の声は依然として上がっている。さらに国の「35人学級」は、さらに適正方針をリセットしかねない要素だ。

 「突飛な取り組みだ」。辰野町の構想をひと言で片付けるのは簡単だろう。だが、武居町長の教育への思いは、それは住民の思いにも通じている。「学校は地域の拠り所」、「地域で子どもたちを育てたい」。さらにキャンパスの特色化は、いわば高校や大学の専科に近い取り組みだ。通常の教科授業はそのまま行い、そこに専門科を組み込む。さらに驚きは、学期や学年の区切りに「キャンパス移動」ができるとする構想。ここまで出来るのは、すべてが町立学校だから。国基準を杓子定規にいう教委、行政トップとの違いは大きい。

 新コロナは、各分野で価値観の大転換を迫っている。その転換をどう受け止めるか、そこに自治体運営のセンスが見える。センスが問われる時代だ。

 

菖蒲川特任教授らの提言

 この地に暮らす安心感の一つに地域医療体制がある。救急医療の充実は言うまでもないが、かかりつけ医となる身近な医療は、暮らしの生命線でもある。十日町市が2019年10月スタートした「新潟大学寄付講座」は、特任教授と特任助教の医師2人が、十日町に常駐し、医療活動と共に臨床や疫学調査などを通じて、「十日町地域の医療体制の将来」を模索し、地域行政と連携し、そのあり方を研究している。その寄付講座の実績報告が20日、市議会厚生常任委員会であり、市議の多くが傍聴するなか、2人の医師は今後の地域医療への重要な提言をした。

 直面する課題は「医療再編」。その医療の中身は『出向く医療・ケアへの転換』、さらに「地域で支える仕組みの構築(訪問看護・訪問リハビリテーション・病理では見えない社会的処方)を上げている。現状課題も明確に示す。「県立十日町病院・県立松代病院・町立津南病院の病院機能の転換と統廃合」「川西・松之山診療所の継続的な医師確保」「地元医師会(開業医)の高齢化の課題」。この指摘の中で特任教授・菖蒲川由郷医師は、県立病院の再編整備に上がる松代病院について「役割はさらに大きくなる。県からの言葉を待つより、地元でどうするかを積極的に考えるチャンス。出向く医療の拠点になる。松代病院の方向性は見えてきている」と提言。さらに高齢化する地元開業医と公立医療機関の関係では、地方公営企業法による地域医療連携推進法人『医療企業団』の設立を提言する。この踏み込んだ「妻有医療圏の将来像」は、行政エリアを超えた研究・論議が必要だが、可能性を感じる方向性だ。

 地域医療論議は、医療圏全体の課題であり、同じテーブルでの課題共有が必要だろう。こうした場に津南町議会、さらに栄村議会も参加する広域的な取り組みこそ、新たな医療体制につながるはずだ。なにせ、地域医療課題では国の先を行く妻有医療圏であるから。

 

PCR検査体制の格差、これも医療格差

 これも医療の地域格差ではないのか。感染不安対策の一つに「PCR検査」がある。首都圏では民間検査機関などを含め検査体制は相当整いつつあり、誰でも、いつでも、検査を受けられる状況になっている。だが、地方はどうか。ここ妻有地域は記事の通り、「かかりつけ医」の紹介、医師の判断、保健所の紹介など、検査に到るハードルはまだまだ高い。「帰省して家族に会いたい」、仕事関係で「東京に行って来た」など、その行動そのものが制約される環境下にあり、感染するリスクの予防と共に、感染させるリスクに重点を置いた対応策が求められる。

 新型コロナウイルスの感染拡大は止まらない。大都市から地方へ広がり、地方自治体は重大な危機感を抱き、緊急事態宣言を独自に出すなど国の先を行く取り組みを見せる。国主導のGoTo事業が感染拡大を招いた大きな要因であることは、毎日の全国的な感染拡大を見れば否定できない現実だ。

 妻有地域では、PCR検査は保健所の行政検査、新潟県の委託事業で開設の十日町市検査センター、さらに県立十日町病院、町立津南病院に設置のPCR検査機器での検査体制を整えている。このほか開業医院で民間検査機関を活用した検査実施もあるようだ。ただ、「誰でも、いつでも」検査受診できる体制にはなっていない。

 町立津南病院は、今年度補正予算でPCR検査機器3台購入の予算を確保。2台は設置済みだが全国的に設置希望が多く、あと1台はまだ設置されていない。この検査機器は鼻孔から献体採取、1時間後に結果が判明する最新機器。同病院の林院長など医師の多くが東京慈恵会医大からでPCR検査機器に詳しい。PCR検査は首都圏では数千円で検査できる民間検査機関も誕生し、学生なども受検している。

 これも医療格差だろう。PCR検査の一般化が急務だ。不安を不安のまま抱き続ける、それこそ不安だ。

 

盲点を突いた雪害、停電多発

 初雪が大雪となった今冬。寒波のスタートダッシュは、湿った重い雪が杉など立木をなぎ倒し送電線を断線、妻有エリアの東北電力管内で昨年15日の降り始めから20日までに2400戸の停電被害を引き起こした。ほぼ全てが倒木による断線。栄村では2日間停電が続き、電源車5台を村役場前に配備、20日の復旧まで電力供給した。電化が進む生活で電力ストップは「死活問題」。氷点下で暖房が使えない家内は野外と変わらない寒さ。今回の大規模な電力供給の寸断は「想定内事態」であり「雪害」だ。まさに盲点を突かれた災害ともいえる。

 電力事業者は送電線の巡視を定期的に行い危険個所の排除に努める。だが今回の「雪害」は巡視で危険排除した樹木の枝ではなく、木そのものの倒木が断線を引き起こしたケースが多い。つまり、従来の「送電線に架かる枝の除去」では対応しきれない雪による倒木がゲリラ的に発生した。これはもはや「雪害」だろう。

 この倒木断線による停電で、津南町では下水道処理場のエンジン機器が2施設で故障し、600万円の取り換え費用が生じた。「自然災害以外のため保険適用外」の理由もおかしいが、町は自前財源での修繕となる。さらに今回の断線停電は一般家庭、特に高齢者世帯を直撃した。火災予防から石油ストーブから火を直接使わないファンヒーターに代えた家が多く、真冬日のなか火の気のない2日間を耐えた世帯もあったと聞く。

 「想定内の被害」と受け止め、すぐに動いたのが栄村議会の議員。「今回の停電は雪国では想定できる被害。送電線の断線の危険排除の不足」と地元選出の衆参議員に連絡、早急の現地視察を求め「雪害防止の倒木伐採の予算確保」を求めた。今週末にも寒波が来襲する。今後も同様の事態発生が懸念される今冬だ。 県を超え、市町村を超えた雪国連携で要求を上げる時だろう。