
Vol.69
家庭の性教育はいつから、何から始めるの?
性教育は命や人権や生き方を伝えること
先日、津南小学校に呼んでいただきました。PTA主催の講演会で「性教育ってどうすればいいの?」です。興味深いタイトルだと思いませんか? 本当は10月に予定していたのですがコロナの第8波で延期しており、私としては「性教育は小中高校生の年齢の人たちにするのも大事だけど、その保護者の方がどれだけ関心を持って知識を得て子どもと接してくれるかがとても重要。開催されないまま終わってしまったら残念だなぁ」と思っていましたので、2月に開催されて本当に嬉しかったです。
また、企画運営してくださったPTAの会長さんおよびスタッフの方の熱意、そしてPTAの皆さんと私の間の連絡を取ってくださった津南小学校の先生の熱意をひしひしと感じていたので、開催されて本当にホッとしています。関係各所の皆様、本当にありがとうございました。
性教育の講演は、母が40年近くずっと地域の学校を回ってしてきていたものを2008年に受け継ぎました。母から「若い人たちは年齢の近い人からの話の方が入るでしょ」と言ってバトンを渡されましたが、受け継いだ当初は1年に1回、いやもしかしたら数年に1回、60分くらいの話で、何を伝えられるのか、何をどう話したらよいのか、本当に手探りでした。ちょうど2000年ごろ日本の国内では性教育バッシングなるものが起こり、一時的に性教育が下火になっていたこともあり、余計に何を話したらいいのか迷っていました。
そんな時、同じ産婦人科医の親友がこんな話をしてくれました。「この間ある中学校の性教育の講演が終わった後に一人の女の子が私のところに来て、『先生の話を聞いて私は初めて父親から性的虐待を受けているのだと気づきました』って言ったの」。この話を聞いたときに、「何を怖がっていたんだろう! 産婦人科医として出会ってきた悲しいこと、切ないこと、嬉しかったことをそのまま伝えていけば良いのだ。自分が伝えたいこと、大事だと思うことを話していこう!」と開眼し、今日まで講演を続けることができました。
性教育をしないことが性犯罪被害に遭わないために、そして加害者とならないために一番大事であるといわれています。知らなかったがために切ない思いをしないように、ぜひご家族でも性のお話をしてくださいね。
では、家庭での性教育とは、いつから行うのか、何から始めるのか? これは津南小でも一番多かった質問ですが、それは生まれた時から始まります。そしてお子さんに愛を伝える事、世界で一番大事な存在だと伝える事、そこから始めることになります。
自分が愛されているという実感が無ければ他人を愛することは分かりません。自分が身近な保護者に大事にされていなければ、自分自身でも自分のことを大事にしようと思う心は育まれませんし、他人を大事にしようなどという気持ちは全く分からないでしょう。性教育には、いわゆる性の話だけではなく、命や人権や生き方を伝えることも含まれています。
積み木を積み上げるように性教育もしていく必要があります。まずは怖がらずに小さいうちから体のことや命のこと、何でも良いですから親子で話をしてください。それがいつか口に出しにくいいわゆる性の話までつながっていきます。
お話したいことは山ほどありますが今回はここまで。性教育に興味の出た方や質問のある方は是非ご連絡下さい。どんなご相談にも対応いたしますよ。
Vol.68
深刻な「心理的虐待」、後々将来の心のトラブルに
「つながり」を持つ、持たせる、孤立させない
前回「しつけ」と「虐待」の違いについてお話しました。でも、実は前回話しきれなかった続きがあります。つまり今回の話をしたくて前回の話をした、といえます。
以前もお話しましたが、虐待には身体的虐待、心理的虐待、育児放棄の3つがあります。今回はそのうちの一つ、「心理的虐待」についてお話します。
テレビなどで肉体的虐待のために小さい子どもが命を落とす「虐待死」は確かに大変な事件です。でも実は報道などがされにくい「心理的虐待」が虐待の中で最も割合が多く、問題になっています。
ここ妻有地域の虐待も全国同様に心理的虐待の割合が一番多いのです。例えば、子どもが声をかけるとキレる、とてもイライラして威圧的な態度を取る、他の家族が見ても明らかにある特定の子どもだけ無視している・視線を合わせない、これらが度重なり、子どもが親の様子を常に伺いゴキゲンを取ることが普通になって心を病む、これは虐待です。
性教育の講演である高校に伺った時に、「あんたなんて産まなければ良かった」とまで言われている女子高生もいると聞きました。ひどい虐待です。また、離婚したシングルの母親や父親が子どもの気持ちを考えずにパートナーを家へ連れ込み、性行為を行っているのが分かるようなことも、ある意味虐待かもしれません。これらの心理的虐待は肉体面に傷が見えない分、気づかずに行っている人が多くおり非常に悪質です。
子どもに対する不適切な関りを続けると、子どもの脳の発達へ影響が生じることが分かっています。そして脳への深刻な影響が後々の将来的な心のトラブル、うつ・アルコールや薬物依存・心的外傷後ストレス障害・自殺企図・薬物乱用などに繋がっていくのです。
実は最近、ある18歳の女の子の話を聞いて、今回の「心理的虐待」の話を書こうと思いました。その子はすでに18歳になり法律上は成人ですので、「児童」虐待の範疇からは外れてしまいましたが、今までにずっと母親からの心理的虐待を受けてきました。もっと早くその子に、母親との関係は普通ではないということを誰かが知らせてあげられれば良かったのにと思います。
すでにその子は、シングルである自分の実の母親に何かにつけてイライラした態度や無視に傷つき親の言いなりになる束縛を受けながら、母親から離れることを考えると寂しくなる気がして家から出られないという、親と「共依存」の関係に陥ってしまっており、やや解決の出口を見いだせなくなってしまっているので心配しています。
虐待の一番の予防は、人や場所の「つながり」を持つこと、持たせること。孤立させないこと。そして異常に気づいた人が行動を起こしてあげること。とても簡単なことなのです。でもいまだ悲しい事件は続いています。
数年前に児童相談所の所長さんから「新潟県内で一番虐待の対応件数が多いのは十日町・津南です」と聞いた時に衝撃を受けました。
年々人口が減り、出生数も減っているこの妻有地域で産まれた数少ない貴重な子ども達が、全員健やかに成人していくために、ぜひ皆さんからのお手伝いをお願いしたいと思います。そしてせっかく産んだ子どもたちを虐待してしまい、切ない思いをする親御さんたちを一人でも出さないためにも、どうか力を貸してください。切にお願いしたいと思います。相談したい人や場所が分からない時はどうぞお気軽にご相談下さいね。
Vol.67
「虐待」それは犯罪、周りの私たちにも責任
遠慮なく「189」の相談窓口に電話を
「しつけ」と「虐待(児童虐待)」の違いをはっきりと答えられる方はいますか?
かくいう私も数年前まで自信をもって違いを言えませんでした。でも、今は断言することができます。虐待とは「子どもが将来にわたって体や心に傷を残すことをすること」「子どもの命を危険にさらすようなことをすること」です。
たびたびテレビや新聞では、小さい子どもが保護者(父母もしくは養父母)に、エアガンで撃たれた、寒い中ずっと家の外に立たされていた、熱湯をかけらた、などで命を落とすニュースが報道されています。子どもが命を落とすのですから、これは誰もが「虐待」であると納得するところだと思います。
血のつながらない父親(義父)からの虐待によって小さい子どもが死亡する事件は多く取り上げられていますが、現実は実父や実母からの虐待も多いのが事実です。
数年前にあった事例。家族で山へキャンプに行き子どもが他人の車に石を投げつけて傷つけたため、親はしつけの意味で子どもをキャンプ場に一人残して帰ってしまった、という話は、皆さんはどう考えますか?
この話には先があって、親は少ししてから子どもをキャンプ場に迎えに行ったのですが、その時には子どもはキャンプ場におらず行方不明となり、数週間、捜索隊などが出たためにかなり世間を騒がる事件となりました。
結局は山中の自衛隊の倉庫で生きて見つかり保護された、と良い結末ではありましたが。この事例は親がなんと言い張ろうと、見つからなければ子どもは命を落としていたかもしれないので、「虐待」の範疇に入ります。
虐待やDVの体験のある私の知り合いの話によれば、「義父が子どもに対して手を上げているのを、どうして実母は身を投げ出して助けることができないのか、と人は言うけれど、とてもそんなことはできない。かばえば今度は自分が殺されるようになるのだから、見ているしかできない。あと、だいたいそういう男は女が外へ仕事に出ようとするのを嫌がるから、女は社会から孤立していく。そして虐待が続くと段々頭が麻痺してきて、子どもが虐待されているのは自分のせいと思うようになり、家庭の中でのしつけの話だから、こんなことで警察を呼んではいけない、誰かに相談することでもない、になり、どうにもならないところに来てしまうんだよ」とのこと。
子育て中に、たびたび大きな声で叱責してしまう、思わず手を出してしまったなどをしてしまうと、とても心を痛めて相談においでになる人が多いのが現状です。
それがどうして「虐待」にまで至ってしまうのか、そこまで追い詰められていたのはなぜなのか、そこを突き詰めていかなければ意味がないのです。
「虐待」をしてしまった人はもちろん反省し、償うべき罪は償わなければなりませんが、その家族の周りで何もできなかった私たちも、十分に反省し振り返り、二度と同じことが起きないようにサポートをしていかなければならないことを絶対に忘れてはなりません。
これは虐待? 近所のあの子は虐待されているのでは? と心配されている方は遠慮なく「189」の相談窓口にお電話を。たとえ虐待で無かったとしても罪に問われたりはしません。
電話はできないという方は是非お気軽にご相談ください。
Vol.66
「第六感」。皮膚と内臓の間にある「深部感覚」
五感以外のもので五感を超えるもの
運動をするのが元々苦手なのですが、最近、運動不足解消のためYouTubeを見ながら家庭用のトランポリンを始めました。すると、初日はまずどのくらい重みをかけると、どの程度ジャンプができるのかを探るのに時間がかかり、動画の中の先生の真似をしようとしてもほとんどうまくいかないまま、ただただ息が切れて終わりました。
2日目は前日より慣れているのでちょっと余裕をもって運動を終えることができました。みなさんも初めて二輪の自転車に挑戦した時に同じような経験をされたのではないでしょうか。
この無意識に自分の体の位置や動きを把握して力の入れ具合を調整する能力を、生理学的に「第六感」といいます。皮膚と内臓の間にある感覚で「深部感覚」ともいいます。新しい体の動きを体得しようとした時、筋肉や関節が感じた感覚は脊髄の神経を介して脳に伝わり記憶されていきます。
そして何度もその記憶が繰り返されることで、新しい動きがうまくいく感覚が記憶されて私たちはいつでもその動きができるようになるわけです。ただし自転車でもなんでもすぐにできる人とできない人がいること、気分の乗らない日に練習しても成果が上がりにくい、など人によって状況によっての違いがあるのも深部感覚のおもしろいところです。
最近この深部感覚のネットワークに関係している脊髄の神経のどの部分が何の筋肉や関節の感覚と繋がっているのかが、遺伝子情報として分かってきました。
そしてそれは自分がお母さんのおなかの中にいる時からできてきて働いていることも。もしもケガや病気などで脊髄の神経が損傷した時に、その部分の遺伝子情報に対して遺伝子治療をすることができるようになれば、一生車椅子で過ごさなくてはならない人が減っていくに違いありません。
遺伝子治療はちょっとまだ先の話なので、まずは体が少しでも動かせるならば、たくさん筋肉や関節に刺激を与えるように、しかもたまにはいつもと違う刺激を与えるように動いて深部感覚「第六感」を活性化していきましょう。
ゴールは一つでもそのゴールに至る道のりが沢山ある方が状況に合わせて選べるように、同じ動きをするにしてもたくさんの深部感覚のネットワークを持っていると転倒防止に役立ちます。無理をしてけがをしない程度に、いつもしないような体をねじるとか片足立ちなどをしてみてください。誰でも知っていて手軽に始められるものとしてラジオ体操はおすすめです。
さて、第六感は今まで説明した体の感覚のことだけでなく、英語ではsixth senseといわれ、五感以外のもので五感を超えるものを指しており、理屈では説明しがたい、鋭くものごとの本質をつかむ心の働きのこと、と説明されている場合もあります。
私が病院で時間外の仕事をしている時、近くで電話が鳴った瞬間に誰からかかってきたのか100%分かることがあります。それは母が私を探している電話です。「あ、それうちの母からだ。どこにいるの? 何やってるの? って言うと思う」と。こちらの第六感もいつか科学的に解明される日が来るのかなと思ったりしています。
体の話ではなく第六感のような不思議な体験談をお話したい方も、ぜひお気軽にお声掛けくださいね(笑)。
Vol.65
月経痛と「子宮内膜症」の関係
明治・大正の女性は内膜症は少なかった
「月経痛は痛み止めを飲めば何とかなるから痛み止めをください」「ピルは副作用が怖そうだから使わないでおきます」…何度もお話してきましたが、月経痛は本来無いのが普通です。本当に本当に本当に月経痛をほったらかしにしておかないでほしいのです。なぜ? ということで、今日は子宮内膜症という病気のお話です。
月経をつらくさせる病気には二つあります。一つは子宮筋腫、もう一つが今日お話する子宮内膜症です。子宮内膜症とは子宮内膜が本来ある場所ではないところにできるために起こる病気です。いまだに病気の原因ははっきりしていませんが、今一番有力な説は強い月経痛で月経血が卵管の方へ逆流することで子宮外に月経血、つまり子宮内膜がばらまかれそこで定着してしまうから、だそうです。
現代女性の10人に1人がかかっているといわれるほどよく目にする病気です。年齢の割に月経痛が強い、月経前症候群(PMS)がひどい、年々月経がつらくなってきた、という人は子宮内膜症の可能性が高いと思います。
子宮内膜症になると、月経痛だけでなく、腰痛、慢性の骨盤痛、性交痛、排便痛、排尿時痛などの痛みを訴えることが多くなります。また、子宮内膜症の人の半数の人が妊娠したいのにできなくなってしまい、妊娠しても早産や帝王切開の確率が高くなったりします。
また、子宮内膜症で卵巣が腫れているチョコレートのう胞というものを持ってしまっている場合、その人たちの3〜4%は卵巣がんに発展することも分かっています。40代以上でチョコレートのう胞を持っている人は特に注意して、定期的に病院で診てもらっていた方が良いでしょう。
さらに子宮内膜症の人は動脈硬化になるリスクが高く、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患になる可能性が高いということも証明されています。
なので、さまざまなリスクを考えると、まずは子宮内膜症にならないことがとても重要です。だから、「月経痛があるけどなんとかなっているからいいや」で済ませてはいけないのです。
では子宮内膜症を予防するのに何が一番良いかというと、「月経血の逆流を防ぐこと」になりますから、「強い月経痛が起こらないように」手を打つこと、それよりも前に根本的な治療としては「月経の出血が無いようにすること」、になります。
妊娠中に一時的に子宮内膜症が良くなるのは月経が無いためです。日本人は人種的性格上、定期的に月経の出血がある程度の量で出ることをとても好みます。ただし、それでは子宮内膜症を作っていってしまうのだということを忘れないでください。
ですから、子宮内膜症の治療のために月経の出血が毎月ではなく何ヵ月かに1回しかないこと、しばらくわざと月経の出血が来ないようにすること、は体にとって悪いことでは無いことを理解していただけたらと思っています。
私たちのおばあちゃん世代、大正や明治の女性には子宮内膜症の人は少なかったという話がありますが、それは初経の年齢が今より遅かったこと、そして妊娠の回数が多く、一生涯を通じて経験する月経の回数が少なかったためといわれています。
とはいえ、今から5人も6人も産めないわ! という方、大事な娘が子宮内膜症になって将来不妊や卵巣がんになっては困るわ、という方は是非お気軽にご相談くださいね。
Vol.64
心を揺さぶる五感を刺激するもの
五感を刺激、脳の疲労回復につながる
年末に衝撃的な体験をしました。「音楽ってすごい! リアルな音ってしびれる!」。3年近くオンラインの便利さに浸りきっていた日々の中で、感じた久しぶりの感動でした。
コロナの流行が始まる前に計画していた「カリヨンチャイム(コシチャイムとも言います)」という楽器を習いに、3年越しの夢をかなえて南伊豆まで出かけた時のことです。カリヨンとは、さまざまな音の高さを持つ多数の鐘を一組にした打楽器で、教会の鐘楼などにつるし、手や機械で打ち鳴らすものです。
そのたくさんの鐘をおよそ15センチの竹筒で作られた4つのチャイムにフランスの職人が作り変え、さらにそこへ「土・水・風・火」の要素を音の周波数として盛り込んだという、見た目は単純なつくりの楽器なのですが、鳴らすと天にも昇る快感を味わえる楽器です。
講師の先生の奏でるそのチャイムの音に、本当に久しぶりに音楽っていいなぁと思い出したのでした。年始には医院のホールでカリヨンチャイムを鳴らして練習の成果を一人発表会。外の晴天と相まって気持ちが晴々とし穏やかになりました。また、年始はフジコ・ヘミングの特番をテレビで見たりと、すっかり聴覚が喜ぶ時間をゆったりと過ごしました。
その前に年末には東京から知り合いが家族で訪ねてきてくれて、熊本出身のお父さんが例年よりずっと少ない積雪でも大喜びしているのに嬉しくなって、手袋もせず一緒になって雪合戦。冷たくなってかじかむ感じはいつぶりだろうと、懐かしく思う手の触覚に感激。
大みそかは夫の実家で年取り。義父より「姪っ子が年末の中学校の女子駅伝の全国大会に出た、そのお土産だよ」といただいた京都のお酒。美味しいお酒の香りもまた良し。嗅覚も大満足の年取りに思わず飲みすぎてしまったりして。
うっかり食べようと思っていたのに忘れ去られていた常温保存の切り餅パックが微妙に発酵してしまい、食べられるところを姉が切り捨てて、お正月に煮小豆と一緒に食べたらびっくりするほど美味しくて、味覚が喜ぶ瞬間もありました。
このお正月は比較的晴天が見られましたよね。この季節に晴天は儲けもの。神社への初詣も兼ねて美しい十日町の景色を視覚的にも十分楽しみました。
便利になってすべてが手の中にあるスマホや目の前にあるパソコンで手に入る時代になったからこそ、五感を刺激するものが心をより揺さぶるように感じるのは私だけでしょうか。生きているからこそ、もっともっと五感を磨く体験をしたいと思っています。今年はどんな五感への衝撃が私を待っているのか、いや、今年も自分から衝撃を求めてドンドン動いて行こうと思います。五感を大いに刺激すると、脳の疲労回復につながるともいいますし。
ちなみにカリヨンチャイムは、自律神経とホルモン分泌のバランスの調整・自然治癒力を高める・ストレスホルモンを減少・脳機能の改善と左右のバランス調整・深いリラックス・諸症状の改善や治癒・集中力や学習能力の増進・直感力と創造性を高める・心とカラダの統合や平安・内面の至福感や充足感・精神的な開放感などに良いとのこと。ご希望があればお聞かせいたします。いつでもお気軽にご相談くださいね。今年もこんな感じでよろしくお願いいたします。
Vol.63
アンパンマン「周りの人が幸せになればいいんだ」
「人とつながっていってください」
年の瀬です。雪も降り始め、年末感が急に迫ってきました。この時期になると今年一年はどんな年であったかを振り返ることが増えてきますが、今年も多くの善き出会いがありました。本当に感謝の一言に尽きます。
「人との良いつながりは人生を豊かにする」このことを思うたび、あることを思い出します。
自分が保育園に通っていたころの記憶の一つです。それは保育園のころに見たアンパンマンの紙芝居です。アンパンマンが道端で出会う元気のない(空腹? の)子どもたちに、自分の顔を少しずつちぎって渡していく、要するに自分を食べてもらって子どもたちを元気にするという、その話の内容が子ども心に衝撃だったのです。
少しずつ顔が欠けていって最後は全く顔がなくなってしまう絵自体がちょっと恐怖でもありましたが、紙芝居を読んでもらいながら一番に感じていたことは単純に「私もアンパンマンの顔のアンパンを食べてみたいなぁ」でした。
それからおよそ10年近くたち、テレビでアンパンマンを放映するようになりましたが、私にとってのアンパンマンはこの保育園のころの紙芝居のアンパンマンなのです。いまだにアンパンマンは自分が全くなくなってしまっても、周りの人が(特に子どもが)幸せになればいいんだ、すごいなぁと思っていますが、自分はなかなかそこまでできないのが実情です。
最近は中学校へ伺って性のお話講演会をする時、アンパンマンが自分の顔をちぎって誰かに差し出す絵のスライドを出しながら、「人とつながっていってください」と話すことがあります。
その意味としては、自分の出来ることや幸せを周りの人に少しずつ分け与えていくということも大事だけれど、もしも大きな絶望を抱えた時も色々な人とつながりがあれば、それを少しずつ手放して渡していくことで絶望から解放されて希望に代わっていくよ、ということです。
私が過労で死を覚悟するほどのうつ病になったことの原因として、一番仲良くしていた友人と職場が離れてしまったこと、と伝えてくださった岩室紳也先生(泌尿器科医。各地の自殺対策計画や研修会に関わっている)からの言葉からも分かるように、「人とのつながり」は生死を左右するほどの力を持っています。
メールやSNSやオンラインなど、世界中の誰かとすぐにつながれる今の時代だからこそ、もう一度そのつながりを見つめて、これからの未来を創る若い人たちが善き出会いに恵まれ、そのつながりの力を糧に明日を切り開いていけることを祈っています。
そういう意味では今年も自分の中では自分と自分の家族がつながる多くの人に支えられ、そしてまた新たな善き出会いに力をもらい、一年幸せな時間を過ごしました。職場でもプライベートでも今年ほんの少しの時間でも私と接点のあった皆様、本当にありがとうございました。
そして「妻有新聞毎回読んでいます」と声をかけてくださった方にも多く出会いました。つたない文章を読んでいただきありがとうございます。来年も頑張りますので、本業ともども何卒よろしくお願い申し上げます。来年皆様のもとにも善き出会いとつながりが生まれますように。しんしんと降りしきる雪を眺めながらお祈り申し上げます。
Vol.62
脳内細胞1日10万個死滅
健康サポート、お任せください
最近めっきり寒くなってきました。お空も灰色で天気が悪いし、おうちのこたつでヌクヌクが一番! の人も多いでしょう。でも、ゴロゴロばかりしていると太ってしまって困る、と思っているご婦人方、そうなんです! 放っておくと40歳以上になると1年で1キロ筋肉が落ちていくといいます。筋肉が落ちれば代謝が悪くなりますから、どうしてもついてきてしまうお腹のお肉が余計に落ちなくなるわけです。
年齢と共に消えていくのは筋肉だけでなく、脳の細胞もなんと1日に10万個死滅しているといわれています。それとともに脳の中にはアミロイドβ(ベータ)と呼ばれるいわゆるゴミが年々溜まっていき、それが脳の神経細胞の働きを弱めて認知症を引き起こすことも分かっています。
昔、といっても今から40年も前には、脳の細胞は一度死んだら二度と再生しないと聞かされてきました。それが今や脳の神経細胞は再生することが分かってきました。その再生に関わるものとして、BDNFといわれる「脳由来神経栄養因子」と呼ばれるたんぱく質が見つかり、近年注目されています。このたんぱく質はかんたんに言うと神経の「栄養」のようなもので、「新しい神経を作る、神経を発達・成長・増殖させる、神経と神経をつなげる、神経をダメージから保護する」という働きを持つと考えられています。そしてBDNFの低下はアルツハイマー型認知症の発症に大きな関係があることが分かってきました。それだけでなく実際多くの精神疾患(うつ病、不安障害、双極性障害、統合失調症、自閉症スペクトラム障害)で脳のBDNFが減少していることが確認されてきています。BDNFの減少によって神経が十分に発達できなかったりダメージから保護されなくなるため、精神疾患が発症しやすくなってしまうのではないかと考えられているのです。
元々私たちの体の中にはBDNFが存在していますが、年齢と共に減少してしまいます。BDNFを増やす方法としては「運動」が何より良いとのことです。それも有酸素運動、筋肉運動、ストレッチ、バランスの4要素をすべて含む運動です。いやいや、なかなかそんな運動はできない! という方は是非脚力を使う運動を定期的にしていただきたいと思います。そこにプラスして寝る前に軽い運動をすると、免疫力もアップするので、これからの季節に尚良いかと思います。さらに一緒に食事で抗酸化物質を摂るとより良いとのこと。抗酸化物質が多い食品は、ビタミンA(鶏肉、豚レバー、卵黄、ニンジン、ニラなど)、ビタミンC(グレープフルーツ、イチゴ、レモン、オレンジ、キャベツ、パセリ、ピーマン、ブロッコリー、ほうれん草など)、ビタミンE(アーモンド、ピーナッツ、くるみ、うなぎ、たらこ、ごま、大豆など)、ポリフェノール(大豆、玉ねぎ、赤ワイン、ウコンなど)、コエンザイムQ10(イワシ、ハマチ、豚肉、牛肉、小麦胚芽、米ぬかなど)です。
脳の細胞もそして最初にお話した筋肉も、頑張り次第ではきちんと再生・維持されて私たちのからだやこころを守ってくれます。これから雪で閉じこもってジッとしがちな季節こそ、必ずやってくる春に向けて体のケアをしていきたいですね。たかき医院では、メディカルアロマ診療部といって既存のお薬だけでない健康サポートを始めました。BDNFを増やすアロマシャンプーが気になる方はお気軽にご相談ください。