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妻有リポート

2020年6月6日(土)

 

​来年の第8回大地の芸術祭の取り組みが始まっているが(2018年7月の開会式で)

大地の芸術祭、新型コロナの影響が 来年夏、第8回展

文化庁予算増額、北川総合ディレクター、市原・珠洲・大町でも

 2000年から3年に一度開催の越後妻有アートトリエンナーレ・大地の芸術祭は来年2021年夏、第8回を迎える。例年1年前の夏7月に実行委員会で翌年の大地の芸術祭概要を発表するが、今期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月以降、国内往来や妻有を来訪した関係者協議ができず、特に出入国禁止で外国アーティストが来日できず、大地の芸術祭事務局の十日町市観光交流課は、オンライン会議などを重ねるが、「やはり現地で、実際にその地に立っての打ち合わせでないと、実感的な詰めが難しい」とする。だが国・文化庁は大地の芸術祭の過去7回の実績を大きく評価し、国内2ヵ所だけ採択の補助事業に、大地の芸術祭を選定するなど、オリンピック前後の日本発信の大きな要素の『日本博』事業でも、大地の芸術祭を大きく位置付けている。新コロナによる国内外の往来規制がいつまで続くのか、芸術祭開催にも大きな影響が出ている。

 

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 影響の一つで懸念されるのが、大地の芸術祭総合ディレクター・北川フラム氏が関わる2020年開催予定だった国内3ヵ所のアートトリエンナーレが、3ヵ所とも来年に延期になったこと。大地の芸術祭の運営事業受託「アートフロントギャラリー(AFG)」に運営事業が集中し、作品制作など芸術祭に影響しかねない状況にある。

 千葉県市原市『房総里山芸術祭いちはらアート×ミックス2020』(今年3月予定、2021年3月20日〜5月16日)、長野県大町市『北アルプス国際芸術祭』(同5月予定、2021年開催時期未定)、石川県珠洲市『奥能登国際芸術祭』(同9月予定、2021年9月)で、いずれも来年へ延期になり、第8回大地の芸術祭と同年開催となる。このため事務局(市観光交流課)は作品制作など取り組み準備を早めている。文化庁補助事業などを活用し「作品制作を前倒しし、先行公開を行うことで大地の芸術祭開催に向けた機運の醸成をはかりたい」とする。

 文化庁補助事業は「国際的文化フェスティバル展開推進事業」で、国内で新潟県内の2事業だけが採択。大地の芸術祭と佐渡アースセレブレーション。大地の芸術祭は要求予算8千万円に対し9784万円が交付決定。これにより2020年度当初予算に同交付金が加わり、作品制作を含む運営委託費(AFG)は6月市議会補正予算が可決した場合、1億1284万円となり、同事務局が取り組む「作品制作を前倒しし、先行公開する」事業に取り組むことになる。特に運営主体のAFGが、延期の3ヵ所の芸術祭と同時進行になるため、来年の第8回の作品制作を今夏から取り組みたい方針だ。

 ただ、ここにも新コロナの影響が出ている。首都圏との自由往来ができない一方で、国内外アーティストの現地来訪ができず、具体的な作品設置などの検討が進まない現実に直面している。

 北川総合ディレクターは、新コロナの影響で公募作品の募集延期に寄せたメッセージで「事態収束の後、人間と自然、社会とインフラ、生活と文化など、さまざまな関係がより一層、問い直されるだろう。アーティストの工夫と挑戦が、作品を通して試されている」と、新コロナによる社会の価値観の変化、さらに芸術祭理念の普遍性を、メッセージに込めている(メッセージ全文別掲)。

 大地の芸術祭事務局は「全国の芸術祭のモデルになっている大地の芸術祭であり、新コロナ後の芸術祭でもあり、全国から越後妻有は来年どうするのかと注目している。それだけにしっかり取り組みたい」(観光交流課)とすると共に、来年開催の東京五輪と時期が合致することについては、「北川総合ディレクターは常々大地の芸術祭は別格と話し、五輪は五輪として開催時期を動かすことはない。相乗効果も期待できる」とする。例年7月に開く実行委員会の開催時期と共に、その実行委での北川氏の言葉に関心が集まる。

大地の芸術祭2021 総合ディレクター 北川フラム氏メッセージ

 昨今のコロナウイルス(COVIDー19)による影響を鑑み、アーティストやスタッフ、サポーターやお客さんなど、あらゆる人の移動もままならないなかで、芸術祭にも様々な変化が求められているのかもしれません。

 しかしながら、地域独自の歴史や文化、豊かな自然資源など、その場所の魅力を活かした「サイトスペシフィックなアート作品」(特定の場所に存在するために制作された美術作品)そのものの重要性が薄れるわけではありません。また、事態が収束した後、人間と自然、社会とインフラ、生活と文化など、さまざまな関係がより一層、問い直されることでしょう。世界が閉鎖的にならないための、アーティストの工夫と挑戦が、作品を通して試されているのだと思います。

 何かしらの手段で現地に行かずとも実現可能であり、サイトスペシフィックなインスタレーション作品であれば、それが一番好ましいでしょう。しかしながら、インターネットを媒介としてサイトスペシフィックな作品のアイデアや映像作品の重要性は高まりつつあります。

 コロナ禍で既存の価値観がいやおうなしに見直される中で、美術は大切な役割を果たせるかが問われてきます。(大地の芸術祭2021公募作品期間の延長に寄せた総合ディレクターメッセージ、3月29日)

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