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妻有リポート

2020年7月25日(土)

 

定員割れが続く津南中等。課題は入学者の増加だが…(今春の入学式で)

「小中一貫」「中高一貫」、どう取り組む 

県立津南中等学校問題

​教育システムに違い、桑原町長「8月中に方針を」

 急速に進む少子化が、教育現場にも大きな影響を及ぼしている。県立高校の再編整備計画を新潟県教委は先月25日示した。この中で十日町高校松之山分校の3年後の募集停止を打ち出し、当初案では募集停止方針だった県立津南中等教育学校は「検討事項」に修正されたが、両校ともその課題解決の主因は「定員割れの解消」。県内でも少子化が進む妻有地域であり、県教委は「制度的な見直し」を掲げるが、内実は毎年の受験倍率の低下、入学者数の定員割れが、今回の募集停止の主たる要因だ。津南中等校は再編計画発表直前の桑原津南町長の「県教委直訴」が奏功した形で「検討事項」に修正。一方の松之山分校は発表後、関口十日町市長と地元松高支援連絡会が県教委に存続を要望。両校とも地元要望は「学校存続」で一致するが、地元行政の取り組み姿勢は微妙に違う。特に津南中等校は、桑原町長は「広域的な協議会のようなものを立ち上げたい」と津南中等存続の取り組み姿勢を話すが、一方の関口市長は「協議する切り口はいろいろある。よく整理して臨まないと混乱する可能性がある」と話す。十日町市は『小中一貫教育』を進め、津南中等校は『中高一貫教育』。この教育システムの違いを、地元行政間でどう取り組むかが課題であり、行政連携をどう作り上げるかが求められている。

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 十日町市の小中一貫教育は、2011年から3年間、市内4中学校区をモデルに試行を行い、2014年から市内全中学校区でスタートしている。その後の3年間の取り組み検証後、2017年には小中一貫校「まつのやま学園」を開園し、市内全域から入学できる特色化をはかった。ただ同学園は文科省規定の9年間の義務教育学校ではなく、小学校・中学校の教諭の相互連携などにより教育効果の特色化を実現している。

 小中一貫教育の導入背景には、それまで課題としていた「中一ギャップ」「不登校児童生徒の解消」「学力の向上」「地域の小・中学校の連携=地域の子どもは地域で育てる」などがある。なかでも『中一ギャップ解消』への期待感、さらに小学教諭、中学教諭の連携、特に専門教科教諭の小学校教育への関わりで、基礎学力向上が期待されている。さらに小中一貫教育は、地域との関係づくりに力点を置き、取り組みにも掲げる『地域の子どもは地域で育てる』活動と連動している。

 この小中一貫教育を進める十日町市エリアから、県立中高一貫校・津南中等校に進学する子どもたちは当初、定員80人の半数ほど入学したが、最近は減少傾向にあり、同様に地元津南町からの入学者も減少傾向にある。その要因はさまざまだが、この地元入学者の減少が実は津南中等の「定員割れ」に大きく影響している。

「小学6年の進路相談がカギ」「メリット、デメリット検証を」

 小学校から津南中等校に進学する事情に詳しい関係者によると、小学6年時の進路相談が大きく影響していると話す。「十日町市が取り組む小中一貫教育は、小学6年間、中学3年間の9年間の流れのなかでの教育。つまり小学卒業後も子どもたちの関係は継続し、地域もそれを期待し見守っている。このなかで小学6年生が中高一貫校に進むとなると、相当に強い意志で進路を決めない限り、担任の話や周りの友だちに流される。その結果、迷っている子どもたちは『中等は大変だよ』という話を信じてしまい、行こうかなと思っていた子でも、止めた、となってしまうケースを多く聞いている」。

 津南中等PTAが先週16日開いた地元行政や議会との懇談会でも、「津南中等の中身が正しく伝わっていない」とする意見が出たという。「勉強ばかりの学校」「毎日の課題が大変」など、いわば『ネガティブキャンペーン』の情報が流布しているという。同校や同PTAでは今後、こうした情報発信にも取り組む方針を示している。

 津南中等は県立学校で、地元津南町に求める『通学支援』要望に、どう取り組めるかは大きな課題だ。桑原悠町長は「どういう取り組みができるか協議、検討しているが、広域的な行政レベルを含む協議会的なもの、燕中等校にある地元産業界を含む後援会的なもの、さらに平場の論議の場などを設けていきたいと考えている」とする。さらに8月29日の津南中等校オープンスクールでは、「安心して受験し、通ってもらえるように地元行政としての姿勢を発信したい」と具体策は間に合わないとするが、なんらかの地元行政の取り組み姿勢を出す方針だ。

 一方、隣接の十日町市・関口市長は「(中高一貫の)6年間、目標に向かって取り組むのはあり得る形態であり、私立の6年制や国公立もあるが、進学では成果をあげている。その6年間に取り組む子どもたちには頑張ってほしいし、十日町市の小中一貫教育はそれとはバッティングするものではない」と基本姿勢を述べる。ただ、「十日町市で小学校教育を受けた子たちの一部が6年制の一貫校へ行く場合、そのメリット・デメリットはちゃんと検証すべきことである。県教委は中等教育学校のあり方を十分研究してほしい」と述べる。さらに「生徒数の少ないエリアでは、教育が地域に様々な課題を発生させることになる。今後、どういう規模の中等教育が必要なのかを考える必要がある」と、県立中高一貫校のあり方そのものへの課題を示している。

2020年6月6日(土)

​来年の第8回大地の芸術祭の取り組みが始まっているが(2018年7月の開会式で)

大地の芸術祭、新型コロナの影響が 来年夏、第8回展

文化庁予算増額、北川総合ディレクター、市原・珠洲・大町でも

 2000年から3年に一度開催の越後妻有アートトリエンナーレ・大地の芸術祭は来年2021年夏、第8回を迎える。例年1年前の夏7月に実行委員会で翌年の大地の芸術祭概要を発表するが、今期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月以降、国内往来や妻有を来訪した関係者協議ができず、特に出入国禁止で外国アーティストが来日できず、大地の芸術祭事務局の十日町市観光交流課は、オンライン会議などを重ねるが、「やはり現地で、実際にその地に立っての打ち合わせでないと、実感的な詰めが難しい」とする。だが国・文化庁は大地の芸術祭の過去7回の実績を大きく評価し、国内2ヵ所だけ採択の補助事業に、大地の芸術祭を選定するなど、オリンピック前後の日本発信の大きな要素の『日本博』事業でも、大地の芸術祭を大きく位置付けている。新コロナによる国内外の往来規制がいつまで続くのか、芸術祭開催にも大きな影響が出ている。

 

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 影響の一つで懸念されるのが、大地の芸術祭総合ディレクター・北川フラム氏が関わる2020年開催予定だった国内3ヵ所のアートトリエンナーレが、3ヵ所とも来年に延期になったこと。大地の芸術祭の運営事業受託「アートフロントギャラリー(AFG)」に運営事業が集中し、作品制作など芸術祭に影響しかねない状況にある。

 千葉県市原市『房総里山芸術祭いちはらアート×ミックス2020』(今年3月予定、2021年3月20日〜5月16日)、長野県大町市『北アルプス国際芸術祭』(同5月予定、2021年開催時期未定)、石川県珠洲市『奥能登国際芸術祭』(同9月予定、2021年9月)で、いずれも来年へ延期になり、第8回大地の芸術祭と同年開催となる。このため事務局(市観光交流課)は作品制作など取り組み準備を早めている。文化庁補助事業などを活用し「作品制作を前倒しし、先行公開を行うことで大地の芸術祭開催に向けた機運の醸成をはかりたい」とする。

 文化庁補助事業は「国際的文化フェスティバル展開推進事業」で、国内で新潟県内の2事業だけが採択。大地の芸術祭と佐渡アースセレブレーション。大地の芸術祭は要求予算8千万円に対し9784万円が交付決定。これにより2020年度当初予算に同交付金が加わり、作品制作を含む運営委託費(AFG)は6月市議会補正予算が可決した場合、1億1284万円となり、同事務局が取り組む「作品制作を前倒しし、先行公開する」事業に取り組むことになる。特に運営主体のAFGが、延期の3ヵ所の芸術祭と同時進行になるため、来年の第8回の作品制作を今夏から取り組みたい方針だ。

 ただ、ここにも新コロナの影響が出ている。首都圏との自由往来ができない一方で、国内外アーティストの現地来訪ができず、具体的な作品設置などの検討が進まない現実に直面している。

 北川総合ディレクターは、新コロナの影響で公募作品の募集延期に寄せたメッセージで「事態収束の後、人間と自然、社会とインフラ、生活と文化など、さまざまな関係がより一層、問い直されるだろう。アーティストの工夫と挑戦が、作品を通して試されている」と、新コロナによる社会の価値観の変化、さらに芸術祭理念の普遍性を、メッセージに込めている(メッセージ全文別掲)。

 大地の芸術祭事務局は「全国の芸術祭のモデルになっている大地の芸術祭であり、新コロナ後の芸術祭でもあり、全国から越後妻有は来年どうするのかと注目している。それだけにしっかり取り組みたい」(観光交流課)とすると共に、来年開催の東京五輪と時期が合致することについては、「北川総合ディレクターは常々大地の芸術祭は別格と話し、五輪は五輪として開催時期を動かすことはない。相乗効果も期待できる」とする。例年7月に開く実行委員会の開催時期と共に、その実行委での北川氏の言葉に関心が集まる。

大地の芸術祭2021 総合ディレクター 北川フラム氏メッセージ

 昨今のコロナウイルス(COVIDー19)による影響を鑑み、アーティストやスタッフ、サポーターやお客さんなど、あらゆる人の移動もままならないなかで、芸術祭にも様々な変化が求められているのかもしれません。

 しかしながら、地域独自の歴史や文化、豊かな自然資源など、その場所の魅力を活かした「サイトスペシフィックなアート作品」(特定の場所に存在するために制作された美術作品)そのものの重要性が薄れるわけではありません。また、事態が収束した後、人間と自然、社会とインフラ、生活と文化など、さまざまな関係がより一層、問い直されることでしょう。世界が閉鎖的にならないための、アーティストの工夫と挑戦が、作品を通して試されているのだと思います。

 何かしらの手段で現地に行かずとも実現可能であり、サイトスペシフィックなインスタレーション作品であれば、それが一番好ましいでしょう。しかしながら、インターネットを媒介としてサイトスペシフィックな作品のアイデアや映像作品の重要性は高まりつつあります。

 コロナ禍で既存の価値観がいやおうなしに見直される中で、美術は大切な役割を果たせるかが問われてきます。(大地の芸術祭2021公募作品期間の延長に寄せた総合ディレクターメッセージ、3月29日)

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