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​妻有職人伝

 

使い込んだ織機が西川さんの相棒

西川織物株式会社

92歳、今なお現役で機織り

 ㊲ 西川織物株式会社 西川 治郎さん

 敗戦の年、昭和20年から着物産業に携わり75年。92歳の今も現役の機織り職人で伝統工芸士、西川織物(十日町市四日町)の西川治郎さんは「一生涯、着物に携われて本当によかった」と話している。

 西川さんは次男で戦時中、家を離れ東京の立川飛行機で働いていたが、西川家の家業を継ぐはずの兄が敗戦直前の6月にフィリピンで戦死。兄に代わり家業を継いだ。

 西川家では祖父が機織りに使う糸を撚る『撚糸』を始めたが、当時は家の前の川から水を引き、水車を架けて動力にした。やがて機織りも手掛けるようになり、手機織機を貸出して織ってもらう『出機』を中条や下条などの農家に出していた。昭和9年に4台の動力織機を入れた。戦況が厳しくなると贅沢禁止令の『七・七禁令』が出て絹織物の十日町は大打撃。軍需関係に転身する工場や廃業もあった。「少しは絹糸が割り当てで来て織物組合が『何反作れ』と指示を出す指定生産が行われた。我が家はやめないでいたが大変だった。闇機を織る所もあり、物資不足で反物であれば何でも売れた」という。

 禁令が解かれた昭和25年以降、十日町産地は復興に邁進。全国各地の着物を参考にして十日町の各機屋は独自のカラーをめざす。西川織物は糸を染める捺染加工に挑戦。難しい技術で正確に染めないと糸を経緯(たてよこ)に合わせる絣の文様がずれてしまう。同社は緻密な絣をブランド名『風林花山』として売出し大ヒット。買継商がお客を連れてきても本来反物が積んである畳の上は何も無くて畳が丸見え。「お前の所は畳を売っているのか」と皮肉られるほど予約が殺到した。

 消費者のニーズを捉え、紬生地を織り、それに染めを施す手法は西川織物が先鞭を付けた。現在、西川さんは一本ずつ糸をすくって織る『すくい織』や、独自の変り織紬を主に手掛けている。

 伝統工芸士は5年ごとの更新試験が必要。西川さんは工芸士試験の試験官を何度も務めた腕前だが、今秋更新試験を受ける。「仕事はまったく嫌にならない。どんな柄に仕上がるか楽しみながら織っている」と機織りにかける情熱は老いてなお盛んだ。

 「じっとしているのは嫌い」だと西川さん。機織りのほかに畑を耕運機で耕し、テレビ体操と家の階段を昇り降りする運動を欠かさない。平成5年に立ち上げたゴルフの「大井田シニアクラブ」の会長を長年務め、現在も年数回コースに出てプレーを楽しんでいる。

(2020年10月10日号掲載)

「秋酒ひやおろし」も楽しんでと福納店長

有限会社 宮幸酒店

『うれしい・たのしい・おいしい』を、お酒を通して届けたい

新潟県十日町市昭和町1丁目179−1

平日 10:00~20:00 日曜 10:00~19:00
定休日 無休

電話 025-752-2558

http://www.oradoko.jp/shop/2010/07/miyako.html

ニーズに応え、銘柄を提案

 ㊱ 有限会社 宮幸酒店 福納 卓也さん

 酒の専門家として日々の業務に取り組む宮幸酒店(昭和町1)の福納卓哉店長(34)は「消費者のニーズに応えられるよう、様々な銘柄を提案してきたい」と話している。

 日本酒の蔵元やワインのインポーター(輸入業者)などには店のスタッフと共に出向き試飲して新たな商品の発掘を行う。また、昨年は同店が10年前から扱っているフランスのオーガニックワインの産地へ行き、各地のブドウ畑や醸造場を視察した。オーガニックは栽培に農薬等を使わないことから収穫量は天候に左右されるが「自然の恩恵に感謝し、安心なものを自分の孫子の代まで繋いでいこうという姿勢がうかがえ、人間性が表れたワインだった」と味覚以外の発見もした。

 日本酒は近年、晩酌酒の一升瓶から「いろいろな酒を味わいたい」という指向から720ミリ㍑瓶の酒が好まれるようになった。また、消費者はCDや本のように中身が分からなくても包装や見た目で買う「ジャケ買い」が日本酒でも進み、各蔵元は瓶やラベルにアートを取り入れたり、個性的な箱を利用している。「酒の楽しみ方が変わってきており、720ミリ㍑酒はしっかりとラインナップしている」と言う。

 コロナ禍の自粛の波は飲食店を襲い、そこに酒類を卸す酒店にも大きな影響が。さらに町内や企業の納涼会とお盆の帰省客の自粛に加えて十日町おおまつりが中止となり、互いに酌み交わす酒と祭事での献酒がストップした。厳しい経営が続く半年間だが、中止となった「にいがた酒の陣」用に各蔵元が仕込んだ日本酒を仕入れて販売し、ワインの掘り出し市などを企画。現在は夏場に熟成させて秋に出荷する日本酒「ひやおろし」の販売を始め、外出自粛が続く中、家で飲む「宅飲み」に重点を置く。市内醸造所の妻有ビールや、酒の味を引き立てるつまみのチーズも販売する。

 「ワインの掘り出し市では、お客さんとの対面販売が大事だと改めて感じた。大手スーパーが出来ない各家庭を回って注文を受ける昔ながらの『ご用聞き』も大切にして、良い酒、新しい酒を紹介し、顧客との繋がりを広げて深めていきたい。どんどんと動きます」と力を込めた。新ホームページ開設で県外客への通販も進めていく。

(2020年9月12日号掲載)

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