妻有リポート

 

4選出馬を表明した関口市長(3日、市議会本会議で)

<遅れた出馬表明>

「エネルギー問題の整理で…」

原発再稼働問題、JR水利権更新も視野か

 4月30日任期満了に伴う十日町市長選に現職で3期の関口芳史市長(62)は、3日開会の市議会3月定例会の施政方針で「ポストコロナにおける十日町市のために、次の4年間も市政運営を担う機会を与えて頂きたい」と4選出馬を表明。前日2日には後援会支部長会議で4選出馬を表明している。告示まで50日を切った段階の出馬表明はこれまでで一番遅く、市民からは「なぜこれほど遅らせたのか」と疑問の声もある。一方、三度の出馬意向の新人・樋口弘明氏(72)はいまだ公式的には出馬表明していないが出馬は確実視される。前回、前々回に続く三度の現新対決に市民からは「新鮮味がない。なぜこのような事が続くのか。世代交代の時期では」と、市長選の見方に変化が見られる。

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 関口市長は3日、市議会で4選出馬表明後、午後4時過ぎから十日町記者クラブの記者会見に臨み、4選出馬への思いを語った。この中で「タスキを渡そうと走ってきた」と語り、昨年12月の市議会質問に明言しなかった事にも触れた。関口市長は『私が続けていいのかということは本当に考えた。私が出ないとどういう事になるかシミュレーションをした。これは孤独な作業で人に相談できることではない。(表明が)遅れた理由はエネルギーに対するスタンスをどう求められるかというところ。そこを整理してきて、ここまで時間がかかった」と告示まで50日を切った段階の出馬表明を説明している。

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 昨年1月、関口市長は年始の定例記者会見で翌年の任期満了への進退を問われ『辞める時は早めに表明する』と述べた。その後の定例会見で何度も進退を問われたが「考えている」と明言を避け続けた。昨年12月市議会で前議長・庭野政義氏が「次々と種を蒔いてきた市長。その種は自分で拾う責務がある。次期の去就は」と態度表明を迫った。だが、関口市長は『もう少し時間をかけて3期12年を振り返り今後を考えたい』と明言を避けた。その後の定例会見でも記者側から進退を問われたが「考えている」と明言を避け、結局先月17日の新年度予算会見で「3月定例会で表明するのか」の質問に「それしかないですね」とようやく3月市議会での表明を示した。

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 なぜ、ここまで表明が遅れたのか。3日の表明会見では、次の市政に求められる『エネルギー問題への取り組み姿勢の整理』を上げている。会見では原発再稼働問題をその一つとして上げる。来年6月、新潟・花角知事は任期を迎える。それまでに県原発技術委員会の「3つの検証」を評価結果を基に「県民に賛否を問う機会を」としている。それが知事選になるのか、県民投票になるのか不確定だが、「原発立地自治体の再稼働賛否」とは別に全県自治体で作る「研究委員会」の意向も大きな要素になる。 

 その自治体判断でUPZ30㌔圏に入る十日町市は、その判断は次期市長が取り組むことになり4選は果たすと関口市長が担う市政課題になる。このエネルギー問題への整理に時間がかかり、表明が遅れたとする。

 だが周辺関係者は、エネルギー問題で別の側面を指摘する。それはJR東の宮中取水ダムの水利権更新。次の更新期は2025年、次期市長選の年に迎える。さらに十日町市が掲げる再生可能エネルギーの目玉事業「宮中取水ダム維持流量活用水力発電」も関係する。水利権の更新、市の再エネ事業との関係でJR東との連携の重要性が増すのが次の4年間。

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 このタイミングで市政トップが代わるリスクは大きく、特にJR東にとっては「市政の継続」が宿願ともいえる。それは関口市長の続投を意味する。前回の水利権更新期に関わった関係者は「JRにとってここで市長が代わることは大きな出来事になる。市にとっては協力してくれる頼もしきパートナー。JRにとってはこれまでの経過を良く知り、人脈が続く関口市長は大切なパートナー。続投はそうした事情もあるのだろう」と見ている。

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 さらに元市議は、今年5月の蔵品教育長の任期満了、7月の村山副市長の任期満了のタイミングを指摘する。「人事は難しい。続投かどうか分からないが、流れてくるのは交代情報。後任人事の問題もあり、ここまで遅らせたのではないか」との見方もあるようだ。

(2021年3月6日号掲載)

■関口市長4選表明、記者会見で語る

■関口市長、3月市議会の4選表明内容  本紙に掲載

市民活動の拠点の使用料改定が大きな関心を呼んでいる(2月の市吹アンサンブルコンサートで)

公民館使用料、「有料化反対」請願も

十日町市 免除規定改定、無料から半額負担へ

 市民の社会教育活動の拠点、公民館などの社会教育施設の使用料改定が3日開会の市議会3月定例会に提案される。減免据え置き分野の一方で市民利用が一番多い「市内の社会教育関係団体」の利用料がこれまでの無料(減免率100%、催事利用)から『練習等利用の場合・50%』、つまり規定使用料金の半額負担の改定案。一方で「利用者の利便性向上のため時間単位の利用料金体系」に改める方針。この改定に対し、利用者団体メンバーの2人が3月議会に『公民館使用料の有料化中止を求める請願』を提出している。総務文教常任委員会(小林正夫委員長)での審議後、本会議で審議されるが、十日町公民館活動70年の歴史で、初めて一般市民利用者から使用料を徴収する改正案のため、議会審議に大きな関心が集まっている。

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 「十日町市社会教育・公民館活動のあり方検討委員会」(岩田雅己委員長・委員12人)は昨年10月29日、従来通りの使用料減免の維持と共に「市内の社会教育関係団体の減免率見直し」を市教委に提言している。これを受け市教委は社会教育委員会や教育委員会に諮り、ほぼ同提言通りの見直しを決め、3月市議会に条例改正案を提案している。提案説明として桾沢文化スポーツ部長は「今回の提言は、これまで2回の中間報告をはじめ提言内容と共に12月9日に説明。提言に対する市の考えはほぼ提言内容を尊重する方針となり、昨年12月24日の定例教育委員会で承認頂いている」としている。

 大きな変更点は、利用者が一番多い「市内の社会教育関係団体」の使用料改定。改正案では『専ら催事利用の場合の減免率50%(現行の同じ)』、だが「専ら練習等利用の場合の減免率50%」と現行の減免率100%(無料)から規定使用料の半額負担を求めている。ただ、これまでの利用時間帯の「午前・午後・夜間」を廃止し、時間単位での利用料に改定。この50%負担の施設は『段十ろう、十じろう、分じろう、十日町情報館』の拠点施設はじめ中条・川治・飛渡・下条・水沢・中里・吉田・川西・松代・松之山の各公民館。一方、従来の減免率70%が50%になる体育施設は市内体育施設、総合公園・野球場・テニスコート。定期利用券も見直す。

 今回の使用料改定に対し、市内下条・山田慎一氏、市内小黒沢・宮澤健二氏が連名で『公民館使用料の有料化中止を求める請願』を、藤巻誠、安保寿隆両市議が紹介議員で3月市議会に請願を提出している。請願では、4月1日からの使用料徴収、減免の見直しに対し「まったく納得できない。昭和22年11月の十日町公民館開設以来、70年以上に渡り、公民館など社会教育施設の使用料は、社会教育法の精神に基づき、一貫して取らないできている」と伝統の歴史を示し、「社会教育登録団体は220団体、3千人を超えている。有料化されれば活動の継続が困難な利用者が増え、地域の活性化に水を差すものになる」と一般の登録団体利用料の有料化の中止を求めている。

 市教委が2019年度まとめの全公民館施設の光熱水費は2771万6548円。一方、同年の使用料を減免率ゼロで試算すると1766万円の使用料収入になる。これを改定後の減免率50%、時間単位使用料で試算すると441万5千円。市では多分野でも「利用者負担」の見直しを行っており、今回の改定は同列の見直しをしている。

 この市民請願の紹介議員であり長年社会教育に関わる藤巻誠市議は「社会教育として取り組む地域活動や文化交流の活動。その活動幅が有料化により狭まれることは避けなければならない。伝統ある十日町の社会教育活動の継続のためにも有料化は問題が多い」とする。

 なお津南町は4月から公民館など社会教育施設の利用者負担を始める。町文化センター・公民館は利用者団体の登録制で登録料を徴収する。20人以上登録団体は年間2万円、以下は1人年間1千円となっている。昨年12月議会で条例を可決している。

(2021年2月27日号掲載)

堤防改修を繰り返すが再び水没した(2019年10月13日、津南町下足滝地区)

過去最大の大増水で水没する津南町下足滝地区(同)

水害住民、苦渋の集団移転要望

信濃川津南町下足滝 堤防嵩上げ計画、「移転の方が将来不安ない」

 2019年10月13日の台風19号で大増水した信濃川の氾濫で、再び住宅浸水した津南町下足滝地区の6世帯は、同区間を河川管理する新潟県・十日町地域振興局に対し、県が計画の3㍍堤防嵩上げより、「下足滝全戸が別の場所に移転する」要望を地区総代名で今月5日提出していたことが明らかになった。住民代表は「3㍍の堤防嵩上げで、住宅からは川も見えず景色が一変し、将来に渡ってこの窮屈な環境で暮らすことは耐え難い。下足滝6世帯が揃って集団移転することを選んだ」と、すでに6世帯全戸の合意を得ていることを明らかにしている。県は「要望内容に対し、丁寧に説明していく」として、近く回答する予定だ。集団移転は地元自治体事業になるが、津南町は「要望にある各世帯が自由に移転先を決めるや、すべてを補償するは事業対象外となる。移転先は町が用意し、住民負担も求められる。さらに話し合いが必要だ」と困惑気味だ。住民にとってはまさに『苦渋の決断』。住民は「堤防嵩上げには10億円以上かかる。集団移転の費用は考えれば、県財政の面からも有効のはず」と、国が昨年4月改定の集団移転事業の適用などを視野に入れている。

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 2019年10月13日の信濃川大増水は、国交省水文水質データの県境・宮野原観測所で最大毎秒7732㌧(13日午前9時)の過去最大流量を記録している。この大増水は上流の千曲川流域でも大きな水害を発生し、下流の県境付近の津南町では流域8ヵ所で堤防破損、住宅浸水、農地冠水など多大な被害を受けた。長野県境から2・5㌔余下流の下足滝地区は、これまでも3回ほど堤防を越えて集落が水没し、その度に堤防改修。今回は上流側堤防と同じ高さの県道から河川流水が入り、集落一帯が水没。床下浸水や倉庫が浸水、倉庫に積んだ新米や農機具が水没するなど下足滝地区は大きな被害を受けた。集落を守る堤防も中央部が損傷し、昨年末までに修復が完了した。

 再三の堤防越流による水没被害に対し、同区間を河川管理する新潟県は「堤防3㍍嵩上げ」を決め、地元説明し、嵩上げで消失の水田補償など用地交渉を進めている。

 だが、地元では堤防嵩上げ説明会当時から「嵩上げで田んぼが少なくなり、景色も変わる。将来の不安を考えると、下足滝全体の移転は考えられないのか」などとする意見が出ていた。この意見が具体化したのは昨年末。今年度の足滝総代が下足滝の6世帯を回り「集団移転」への意向を取りまとめ、全戸賛同を確認し1月5日、花角知事あての要望を十日町地域振興局に提出した。

 その要望書は「足滝地区の信濃川洪水対策について」。2019年10月の水害時の状況、県の対応、過去の堤防嵩上げ後の集落内の景観や環境の変化などを列挙し、国の集団移転事業も引用して全6世帯の集団移転の計画作成を求めている。

 今年度の足滝集落の総代、島田英里子さんは「10億円を超える堤防嵩上げ費用と、下足滝全戸が移転する費用、限りある県財源投入からも考えてほしい。国の集団移転事業も承知しているが、この6世帯は集団移転に合意しており、これを実現するためには、私たちはどこに要請したらいいのか、それを教えてほしい」と話す。要望書は花角知事宛ですでに本庁に上がっている。地元下足滝の住民は「この6軒が揃って移れれば、それにこしたことがない。簡単ではないと思うが、この堤防が3㍍も上がり、その工事で田んぼが相当なくなる。そんなこの地にこの先も暮らすとなると、考えてしまう」と複雑な思いを話している。

 要望書を受けた十日町地域振興局では「要望の中で答えられるところはしっかり説明していくが、地元自治体の意向もあり、難しい課題を含んでいる」と検討を続ける方針だ。一方、集団移転の場合、主導するのは地元自治体。津南町では「上流の千曲川を含め流域全体で河川整備に取り組み、津南町でも下足滝を含む8ヵ所で堤防改修など河川改修に取り組む。下足滝の意向をしっかり聞いていきたい」(建設課)としている。

 国は昨年4月、集団移転事業の最低戸数を5世帯以上に改正した。下足滝は6世帯であり、これに該当するが、集団移転は地元自治体が事業化して行い、移転先を決めるなど自治体負担、さらに当事者負担も求められるため、多くの課題があるのも事実。だが今回の下足滝の要望は、国の事業化と共に独自の集団移転として国や県、町に要望しており、こうした事例は全国的にも稀で、今後住民と共に町・県・国、さらに関係国会議員など幅広い論議が求められ、住民が提起した『苦渋の集団移転要望』は、全国注視の取り組みになっていくと見られる。

 【2019年10月13日、 台風19号水害動画・本 紙サイト「もっと見る・ 動画」に掲載】

(2021年1月30日号掲載)

自作のマスクを着け玄関先の雪をどけるひとり暮らしの水落さん(13日)

自宅前の雪山を除雪する佐藤隆一さん。「道路の雪壁は4㍍を超えた。まだ12日なのに」。10年前に改修の融雪やねだが灯油の使用量が大きい。(12日午前10時過ぎ、松之山天水越で)

「不安で​不安で」

​独り暮らし世帯

 突然だった。昨年11月、夫が心筋梗塞で亡くなり、ひとり暮らしを始め寂しい冬を迎えた。と同時に思わぬドカ雪。一夜で40㌢、50㌢と積もる日が続いた。「もう不安で不安で」、そう話す十日町市の市街地に住む水落ナツ子さん(71)。

 屋根の雪下ろしはここ数年、夫が健康を害していたこともありシルバー人材センターに頼んでいる。しかし、夫を亡くした直後のドカ雪に、燕市に住む長女夫婦が心配して駆けつけ、雪下ろしを行った。「シルバーさんに比べて雪掘りはヘタでしたけど、不安が減って助かりました」。

 高齢者の要援護世帯として市から3万5千円分の雪処理券を受けているが、今冬の豪雪ですでに底をつき始めている。そんな時に国の災害救助法の適用で、今月14日にはその補助で雪下ろしをすることができた。「本当に助かりました」。

 買い物は、大型スーパーのバスを利用したり、市内に住む次女が時々クルマに乗って訪れ、一緒に出掛ける。「私も時々めまいに襲われたり、手足がしびれたりするので、なかなか一人では…。お正月には娘たちが孫を連れて来てくれたので、久しぶりに笑うことができました」。

 寂しさを紛らわせるため、いま、娘から教えてもらったマスクづくりに励んでいる。「新型コロナの終息を願いながら作っています。自分で使ったり、娘や孫に渡したりしています。じっくり取り組めるので、余計なことを考えなくていいですね」。

 玄関先の除雪は、自作のマスクを付けての作業。「大雪への不安はありますが、頑張ります」。

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 今冬の最高積雪を記録した12日、松之山はそれまでの雪がやみ、曇り空。前日までは氷点下の真冬日が続き、軒先に残るツララが寒さを物語る。降りやんだ雪の晴れ間を待っていたように、住民は屋根の雪下ろし、家周りの除雪に精を出し、道幅が狭くなった道路を除雪車が排雪し、雪を満載の大型ダンプが行きかい、道路脇にせり出した雪庇落としの作業も進む。

 松之山スキー場の地元、天水越集落。この日の積雪は330㌢。そこで代々日用品を販売してきた「儀助商店」。6年前でその販売は止め、いまは郵便局の宅配受付だけを請け負っている。

 佐藤隆一さん(62)は、降りやんだ雪の晴れ間に、道路に面した自宅前の除雪に出た。2階まで届きそうな雪の山に、スノーダンプとスコップで挑むが、雪山はそう簡単には低くならない。

 「今年も道路脇の雪壁は4㍍近くなっている。18年豪雪の年は5㍍を超えた。まだ12日なのにこの雪。この先が心配だ」。

 10年ほど前に屋根の除雪が大変と融雪屋根に改修した。自宅裏が山の斜面に近いため落雪式ではすぐに屋根に雪がつかえしまうため、費用はかかるが融雪屋根に、隆一さんの父が改修した。 

 だが、今冬のこの連続降雪。「一日で灯油100㍑を使った日もあった。融雪を止めれば屋根の雪は融けなくなる。費用はかかるが仕方ない」。 80代の両親と暮らし、家を守る。妻は松之山内の賃貸住宅で娘夫婦と暮らし、食事などは届けてくれ、高齢者世帯をサポートしてくれている。

 十日町市の積雪観測地点のなかでも松之山の数値は高い。さらに集落が点在し、それを結ぶ「生活道路」の確保は、まさに「命の道路除雪」でもある。熟練の除雪車オペレーターが早朝から出動する。集中降雪時には24時間体制での除雪出動になるが、最初の除雪の跡が分からなくなるほどの降雪になる。この「命の道路」確保がここ松之山はじめ、山間地の冬の最重要課題であり、住民の命を守ることでもある。

(2021年1月16日号掲載)

定数削減案を否決した十日町市議会(14日、市議会議場で)

 十日町市議会の定数24を2人削減し、22人に改定する議員提案は14日本会議で採決、賛成少数で否決された。提案者の藤巻誠氏は「人口が5万人を割り、コロナ禍で地域経済が大きな打撃を受けているなか、市議会も努力を見せる必要がある」と削減案を説明。一方議員からは「なぜ3人でもなく4人でもないのか。6月の方針は議論の末に決めた事」などと疑問視する質疑があり、起立採決の結果、賛成6の賛成少数で削減案を否決した。

削減案否決、「次期の宿題」

市議会定数 賛成6人、会派方針より「個人判断」も

 議員定数論議は今年6月、会派ごとに協議し、全協で各会派が総意を表明。その結果、だいち(4人)以外の5会派はすべて現状維持。「次期市議選は現状24人で行う」方針を議会総意とした。14日本会議では削減案に対し大嶋由紀子氏は「提案理由にある議員報酬引き上げには反対。議員の質こそ問われている」、宮沢幸子氏は「人口減少、コロナ禍による地域経済への影響などは総意を出した6月時点でも含まれていた要素。削減が3人でも4人でもない、いきなり2人削減提案は乱暴ではないか」など削減反対の質疑をした。

 これに対し藤巻氏は「報酬引き上げは別の条例改正が必要。今年4月労基法が改正され、会社員と議員活動の両立が難しい状況になり、ますます若い世代が出にくくなっている。適正な報酬が必要」、さらに「本来は特別委員会で議会のあり方全般を協議すべきものであり、今回の削減案はその議論を求めているもの。議論を始めてほしい」と答弁。さらに賛成の立場から小野嶋哲雄氏は「市経済が低迷するなか、先ずは市民目線で考える事が必要。市民がいまの議会をどう見ているかである」と述べた。藤巻氏は「定数削減は4年に一度しかできない。報酬引き上げは議会決議でいつでもできる。改選を前に削減を議論すべきだ」と定数削減の必要性を繰り返した。

 さらに、提案者に名を連ねる樋口利明氏が質問を求めたが、鈴木議長は「提案内容を充分に理解しての提案者であり、質問は認められない」と質問を認めなかった。

 採決は起立で行い、賛成6人(藤巻誠、樋口利明、小林正夫、太田祐子、小野嶋哲雄、庭野政義の各氏)の賛成少数で削減案は否決された。今期市議会は4月30日が任期満了。改選は4月18日告示、25日投票で行う日程が決まっている。

採決で見えた市議会の「真意」

 市議会の「真意」を垣間見た、そんな印象の採決だった。定数削減案は賛成少数で否決された。

 来年4月30日、任期満了を迎える十日町市議会。議席数は24。8年前の前々回、それまでの定数26を2人削減。4年前の改選は24で改選、それがいまの市議会。このまま現状維持で改選を向かえると、市町村合併以降、定数を変えないで臨む初めての改選となる。3年前2017年人口は5万4714人、今年10月の推定人口4万9791人、約5千人減少している。

 12月定例市議会最終日の14日、議員提案の「定数2人削減、改選議席22」に改定する定数削減案の採決は、会派方針に従った議員、議員個人で判断した議員に分かれた。6月に出した「議会総意・現状維持」は、6会派が意見集約を持ちより、1会派は「定数削減」、5会派は「現状維持」。鈴木議長が「6会派総意の決定として定数24人で次期改選をする」と議会総意をまとめた。14日の採決では、この会派方針のままに採決に臨んだ議員が多いが、「6月の時と情勢が大きく変化している」と、独自の動きを見せた市議がいた。

 今回の削減案の提案者、藤巻誠氏はその1人。同じ提案者の樋口利明氏の会派は削減派。削減案の説明資料は 新潟県20市の議員定数、全国の平均値などから「十日町市議会の定数は多い」と印象づける資料。さらに市民の声などが市議に届いており、「市民感情を考えれば、現定数のままでの改選は市民理解が得られない」とする市議もいて、6月時点と議会の雰囲気に変化が出始めていた。だが、削減案は否決された。

 この否決に「議会の真意」が見えた。本会議最終日の削減案採決までの本紙取材では『定数削減は必要』とする議員が一定数いた。ただ、「それが今かと言うと、このタイミングではない」や「提案者のスタンドプレーだ」、さらに「会派の総意に従う」など、定数削減の必要を言う一方で、今回の削減案には賛同できないとする「議員個々の事情」を示唆する人もいた。

 今回の採決で、会派方針に従わなかったのは元議長の庭野政義氏。「議員は市民の負託を受け、市民第一で活動している。コロナ禍で市民がいかに大きなダメージを受けているか、一番身近な我々が動かなくてはならない。人口減少はまだまだ進む。世の中の大きな変化に議会はどう対応するか、市民が大変な時に、緊急性への対応に乏しい議員では、どうしようもない」。市民代表の議員としての問題意識を見失ってはならないとも言う。

 削減案採決では、賛成6人だったが、全市議への取材ではないが、本紙取材の削減賛成者を含めると「12人」になる。ここに「市議会の真意」があるのではないか。

 今回十日町市議会が出した「総意」は、『大きな宿題』を次期へ先送りしたに過ぎない。改選まで4ヵ月余の市議会への市民の視線は、さらに厳しくなるだろう。

                                               (恩田昌美)

(2020年12月19日号掲載)

学区適正化方針、選挙論点に

市長選・市議選 校区民の疑義噴出、「議会は議論を」

 市町村議会12月定例会の真っ最中。十日町市議会は来年4月30日、任期満了を向かえる。その市議会で「なぜ?」の疑問符が次々と飛び交っている。市民からは「なぜ議会は動かない」と、さらに大きな疑問符が沸き起こっている。議会内では小中学校再編整備に関わる『学区適正化方針』に対する市教委と設置責任者の市長の取り組み姿勢への疑問。市民からは、小学校は5年計画、中学校は10年計画という中で「地域の実情を見ていない。住民代表の議会は何をしているのか」と、保護者やこれから当事者となる校区民から疑問の声。議会への期待感と、動かない議会姿勢への不信が交錯している。さらにこれに議員定数問題が重なり、「市民の声を聞いているのか。なぜ議会は特別委員会設置など徹底議論をしないのか」と厳しい意見が聞かれる。特に市教委が示す学区適正化方針への地域住民の関心が強く、5ヵ月後に迫る市長選、市議選の『選挙論点』として急浮上している。

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 市議会12月定例会一般質問は7日〜9日まで14人が行った。うち4人(大嶋由紀子氏、安保寿隆氏、小野嶋哲雄氏、藤巻誠氏)が「学区適正化方針」を取り上げた。安保氏は、文科省が平成27年1月27日付で示した『公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引〜少子化に対応した活力ある学校づくりに向けて』を取り上げ、その方針内容と市教委の取り組み姿勢を指摘した。

 手引では、少子化の現状や一定の学校規模の確保を提示しつつ、「…教育上の課題があるか総合的な観点から分析を行い、保護者や地域住民の共通理解を図り、学校統合の適否を考える必要がある」とし、さらに「小中学校は地域コミュニティの核としての性格を有し、地域と共にある学校づくりが求められることを踏まえる」必要性を述べ、学校統合に関する留意点や小規模校を存続させる場合の教育の充実などを手引的に記す。

 この資料を住民説明会前に地域自治組織に配布したのか安保氏は質問。市教委は「配っていないが学区適正化方針の中でその旨の事は記述している」と答弁。この市教委の取り組み姿勢にさらに疑問符が出た。

 市教委はこの学区適正化方針を10月27日の定例教育委員会で「3対2」の賛成多数で決めた。その骨子は35会場で開いた住民説明会の前に市教委が示した当初方針と変わらないもの。その基本部分の適正規模は「小学校は1学年1学級以上、中学校は1学年2学級以上の学校規模」。当初方針と変わらない学区適正化方針に対し、議員から多くの疑義が出た。

 大嶋氏は「誰もが気軽に話し合える場が必要ではないか。吉田地区の教育を考える委員会のように多様な世代で構成された、そういう形での検討が必要」。小野嶋氏は「学区適正化の方針案は旧町村部の地域振興策を根本から否定し、負のスパイラルを生み出す愚策に見える。学校再編が先ではなく地域振興を議論した中で進めるべきではないか」。さらに藤巻氏は「学区適正化の今後の進め方はどうするのか。市総合計画に『義務教育学校』が入らないのはおかしい。下条地区では義務教育学校の話が出ているなか、総合計画に入っていないということは、議論の前提が崩れることになる。義務教育学校も論議の中に残すべきではないか」とする。

 さらに安保氏は「文科省の方針に対し、市教委が行ってきたことは反論ではないか。小規模校を残す算段について目をそらした方針。地域の活性化、子どもの成長過程をどうするか大きく抜けている。是非もう一度住民の意見を聞き、作り直すという思いで取り組んでほしい。このままでは行政は一度決めた事は曲げないという一方的な印象を市民に残したまま、元気の出ない行政、元気の出ない市民にしてしまう。それを私は非常に心配している」と厳しい言葉で市教育行政の姿勢を指摘している。

 この市教委の学区適正化方針に対する校区民の関心は大きく、多様な意見が多数出ている。「議会はしっかり住民の思いを受け行動してほしい」と議会に期待する声が出ている。一方で議会内からは「この問題は特別委員会を設けて、しっかり論議する必要がある」とする意見が聞かれ、残る任期でどう議会が動くか市民は大きな関心を寄せている。

市長選・市議選 校区民の疑義噴出、「議会は議論を」

 さらに議員定数問題。藤巻誠氏と樋口利明氏が議員提案した『定数2人削減、22人に改定』の定数条例改正案は本会議最終日14日に提案説明、質疑、採決を行う。

 一方で議会は今年6月、会派総意で「現定数で次期改選を行う」とする議会方針を出しているため、議会内には「なぜ今さら」とする意見がある。だが一方で、今期議会の議長の議会運営への疑義も噴出している。

 「2年前の議会人事の時、鈴木議長は個人的な意見としながらも議長就任後、この議会では定数問題は論議しないとする発言を早々にした。これは大きな問題。十日町市議会は議会改革特別委員会を常に設け、定数だけでなく議会のあり方改革に取り組んできた。今期議会は、それを最初から放棄した。そもそもここからの取り組みがおかしい」とする意見が議会内にある。

 さらに、今回の定数削減提案者は「人口が5万人を割った。6月の時と大きく情勢が変わった。再度の議論が必要。このまま次期改選では市民理解は得られない」とする。議会内には独自に市民の声を聞く議員も現れ、「30人ほどの集いで聞いたが、誰一人いまのままでいいという意見はなかった」、あるいは「かつては特別委員会で公聴会を開き、地域自治組織代表が意見を述べた。そうした取り組みも今回はなかった」と議会運営姿勢への疑問の声も上がる。

 定数削減問題はここにきて『6月の方針』以上に市民の関心度が高まっている。それだけに「議会は何をしているのか」とする声が議会にストレートに向けられる情勢となり、来春の市議選の前哨戦にも影響する様相になってきている。

(2020年12月12日号掲載)

出生数の減少が深刻。女性人口増加策が求められる(5日、めごらんどで)

出生数減少、最低更新続く

1月から十日町205人、津南35人、栄村4人

 人口減少が年々進む一方で、その主要因でもある「出生数」が毎年最低を更新している。十日町市は5年前には「毎日1人の赤ちゃんが誕生している」状態が、今年は1月から11月までの出生数は205人。年内までに3百人に届かない状態だ。津南町は10年前から「年間60人の出生」と言われてきたが、今年1月からの出生数は35人、こちらも過去最低となる見込み。栄村は10年前に年間10人を割り、ひと桁になっている。人口減少の主因は出生数を上回る死亡数の自然減だが、一方で増加の決め手になる「出生数」の激減が、人口減少に拍車をかけている現実が、妻有新聞社の11月までの調べて明らかになっている。

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 年間出生数は、人口減少と共に年々減少傾向にある。データ表にある十日町市の2000年数値は合併市町村の合計で500人台にあったが、合併後の2005年には484人、約14%減少。以降も5年ごとの数値が物語る通り減少が続き、今年2020年は1月から11月までの出生は205人、年末までの1年間で250人を割る見込みで、直近5年間で百人以上の減少になる見込みだ。

 これは十日町市が策定の人口ビジョンでも明らかで、「女性人口の減少」がそのまま出生数の減少に直結している現実がある。同市の20代・30代人口は2019年までの10年間で20代は約750人、30代で約980人減少(本紙4月4日号詳報)しており、人口減少の要因である出生数の激減につながっている要素が見えてくる。

 同様な傾向は津南町でも見られ、2000年には年間100人台の出生数がこの20年間で3分の1にまで減少し、それがそのまま町全体の人口減少につながっている。 

 人口の増加要因である出生数増には女性人口の増加が欠かせず、その増加に至っていない現実がある。同様に栄村でも事態は深刻で、2005年以降、年間10人以下の出生数となり、今年は1月からこれまで4人にとどまっている現実。同様に女性人口の減少がその大きな要因になっている。

 一方で全国的な「地方移住」傾向が見られる。今月3日、NHKニュースは首都圏、特に東京の人口流失(転出)を報じ、4月からの半年で5千人を超える転出が見られるとしている。その現実が数値に表れている。転出状況を見ると、4月は転入が多く4532人増加。5月は逆に転出が1069人増、6月は再び転入が多く1669人増。だが7月から転入を転出が上回る月が続く。転出増が7月2522人、8月4514人、9月3638人となっている。

 この転出増加がすぐに地方移住に結び付いているデータはまだないが、その転出先は近隣県に多いとされている。だが一方で、首都圏で開く「地方移住セミナー」などは、毎回盛況で参加数を上回る応募があり、「地方移住志向の増加」を示している現実がある。

 この傾向は、ここ妻有地方も受け入れ体制の整備とニーズに合った施策の打ち出し、情報発信が求められている。十日町市は「女性人口増加」に特化した施策を今年度に取り組み、新年度以降も新たな「女性人口増加策」を打ち出す方針だ。

 この地方移住傾向は、地域おこし協力隊の応募にも見られる。協力隊は「西高東低」とも言われ、温暖気候の西日本が人気のなか、「その自治体に魅力を感じることが第一」とされる選択肢の用意も、自治体には求められている。それは「必要とする人材」の具体化であり、その受け入れ対応が課題になる。

 待ったなしの人口減少問題。その基本的な要素になっている女性人口と出生数。この課題にどう取り組むか、自治体のさらなる「挑戦と本気度」が試されている。

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