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妻有まるごと博物館

まるごと
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ブナもやし

津南星空写真部・照井 麻美

 ウドにコシアブラ、木の芽、タラの芽などこの地域には雪や自然のおかげで美味しい旬の味が堪能できるということに毎年感動しております。

 その中でほとんどの方が食べたことのない、知らないという「ブナもやし」を紹介したいと思います。

 ブナもやしは聞いて字のごとく橅です。

 雪解けのブナ林で足元をよく見ると3センチほどに芽を出したブナの実が顔を出していて、初めて見つけた時はひまわりの双葉のように見えました。

 ブナの木は十日町の美人林でも有名ですが、あの木が食べられるの? と私も最初は驚きました。

 しかし、枯れ葉の間からちょこんと芽を出したブナは味も見た目も豆もやしによく似ていて、小さいうちは柔らかく、軽く茹でて食べられるほどです。

 まさに「春の山は食べ物に困らない」とはこのことだと思うと同時に、自然は本当に大切にしなくてはいけないと改めて感じました。

 近年の大量消費・大量廃棄からすれば、そこにあるものを食べる分だけいただくという古の教えは今とても見本にすべきところがたくさんあるのかもしれません。

 先人の知恵でもある山菜。山の恵みを大事にいただきたいと思いました。

(2023年5月27日号)

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コウガイビル

県自然観察指導員・南雲 敏夫

 気持ちの悪い生き物としては最優先されそうな種でこれが好きだと言う人はよほどの変わり者かも。

 このコウガイビル、実は益虫扱いでナメクジやカタツムリなどを主食として生活している。

 花壇の大切な花やつぼみを食べるナメクジや小さなカタツムリなどを捕食してくれるので、外見は気持ち悪いが有難い存在なのです。

 最近はミスジコウガイビルと言う外来種も確認されていますが、これなどは長いものでなんと1メートル近くも有り、色も黄色でかなり不気味。

 ヒルと言う名前が付いているが血を吸う事もなく人畜無害であるが外国産のものは有害種もあるとの事。

 コウガイビルは分裂するという事で、切れれば切れた分だけ増殖してしまうという再生能力をもっている。プラナリアの仲間でもあるためちぎれると、ちぎれたそれぞれのパーツから再生してしまうので切らない方が良いと思う。

 これから梅雨の時期などを迎えると家の周りや畑のまわりなどでよく見かけると思いますよ。

(2023年5月20日号)

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ミツバアケビあれこれ

県自然観察保護員・中沢 英正

 5月は樹の花の季節である。ホオノキ、トチノキ、タニウツギなど多くの種が咲き競う。

 ミツバアケビは4月下旬から5月中旬にかけて花をつけるが、他と比べると色、大きさとも控えめである。

 花は雌花と雄花があり、同じ株につく(写真)。大きめが雌花で、細かく集まるのが雄花である。

 雌花は受粉を終えると秋には長さ10センチほどの大きな果実となる。中には甘い果肉が入っている。種子の多いのが難点だが、子供にとっては貴重な甘味だった。果皮も食用となる。詰め物をして揚げたものは少し苦い大人の味だ。

 花時に伸びる新芽は「キノメ」の名で人気の山菜である。こちらも少し苦味持ちだ。暖かい陽射しを浴びながらのキノメ摘みは楽しいものである。

 蔓は昔から編み物の材料として重宝されてきた。絡んだものより地面を長く伸びたものの方が良質とされた。

 四季を通じて目立たぬ姿だが、人との関わりは深い。

(2023年5月13日号)

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大割野①

津南案内人・小林 幸一

 大正8年頃から大割野や宮野原では旅館や飲食店、仕出し屋が続々増え始め、大正11年になると大割野では空前の発電所工事景気に沸きました。文化面では大正座という興行屋も出来、歌舞伎や新派劇、浪曲や活動写真発に、発電所関係者が持ち込んだ絵画や書道にテニスやスキーなども盛んだったようです。   

 また大正13年に電話が開通し、電力会社や工事関係者の他に銀行やホテル、運送店に写真店、旅館や料理屋、蕎麦屋に呉服屋など大割野だけで60軒ほどの電話番号が載っています。

 当時の戯れ唄で「割り野照る照る 十日町曇る 山の上郷に 金が降る」と大割野の他に上郷でも景気が良かったことが伺え、大割野には芸妓だけで50人ほど居たと言われています。また、華やかだった頃の大割野には大割野一之町〜四之町、旭町・翁町・中津町・陣場町・曙町・栄町と呼ばれた地名があり、現在でも当時の古い建物をリメイクし旧町名を復活した大正ロマンの香りのする町づくりも良いかもしれません。

 <津南町史編さん資料集より 第19集『津南郷と電源開発』から田村喜一氏の「電源開発の生活・文化・風俗に与えた影響」より引用>

(2023年5月6日号)

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